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現実ゲーム  作者: フリー88
生徒会長選挙編
27/43

選択肢にバトルに・・・・

 選択肢復活の話を聞いた帰り道、雨が降ってざあーざあーと地面に打ち付ける音が広がる。先ほど急に降り出してきた。もちろん他の大体の人はこのことを予想している訳がなく、雨に打たれながら走る人、あるいはびしょびしょになった体をタオルで拭きながら雨宿りをする人などは多く見られる。

 一方僕はというと、かばんの中にいつも折り畳み傘を入れていたのが功を奏して雨に打たれずにすんでいた。

 そんな中、家の近くの公園の横を通りかかるとダンボールに入って「くん、くん」と大雨に打たれながら悲しそうに鳴く犬の姿があった。犬について詳しい訳ではないがトイプードルとマルチーズの雑種だろうか。トイプードルっぽい顔だちだけれども基本の色は白、耳や脚の部分だけは茶色という犬だった。

「誰が捨てたのかな?」

雨でずぶぬれになっている様子を見ていると可愛そうになって家に連れて帰りたくもなるがそうはいかない。父親が大の動物嫌いだからだ。

 仕方なく持っていた傘でその犬が濡れないようにだけして、その場から立ち去った。いい人に拾われますように。僕のこの願いは叶うだろうか。


「傘はどうしたの?ずぶ濡れじゃない、お兄ちゃん!」

あの後傘がなくなったせいで雨に打たれながら走って帰ってきた。玄関には水滴が滴り落ちるほど濡れていた。

「とりあえず風邪引くからお風呂に入って!」

夢葉に心配された僕は帰ってきていきなり風呂に入れられた。


『ざっばーん』

風呂につかり、水が溢れ出す。

「ふーっ。」

選挙活動で疲れた体が一気に癒されていく。しばらくその気持ちよさに浸っていると。

「入るね。」

突然脱衣所から夢葉の声がした。今こいつはなんて言ったんだ?なんかよからぬ言葉を聞いた気がするのだが。

「えーと・・・・」

頭の整理ができなうちに宣言どおりタオルを巻いた夢葉が入ってきた。思春期の女の子らしくいくらタオルを巻いていても体のくびれははっきりと分かる。妹とはいえ、あるいはタオルを巻いているとはいえ、流石にこれは駄目でしょ!

「何してんだお前は!?」

「お背中あらってあげるね、ご主人様。」

「何で!?」

「最近ご主人様は疲れてるみたいですから。」

うーん・・・・こっれはつっこむべきところなのだろうか。何でご主人様なのか理解できないし、疲れているからといって妹が背中を洗うっていうのもおかしい。

 何とか言って出て行ってもらわなくては。そう考えている時、ついにあの復活した選択肢が現れた。


1、「よろしく頼むよ」と笑顔で言う。

2、「あー超嬉しいなー。夢葉に背中を洗ってもらえるなんて。どうせなら全部洗ってくれないかなー。」と夢葉のほうを見ながら独り言のようにそう言う。


 え、えーっと・・・・出て行ってもらう選択肢がないんですか!?しかも2を言ったらそれこそ変態じゃないか!他に適当な選択肢がなかったので僕は渋々1を選ぶことにした。

「よろしく頼むよ。」

選択肢に書かれたとおり笑おうとはするが引きつっていたに違いない。

「う、うん。がんばるね。」

改めて言われると照れくさかったのか顔を少し赤らめてそう言った。頑張らなくていいですからね。というよりただ単に背中を洗うだけに頑張る要素なんてないからな。現実逃避か僕は心の中で一人つっこみをしていた。


「き、気持ちいい?」

「あ、うん。」

実際は妹に背中を洗ってもらっても気持ちいいとかは思わないがここで「気持ちよくない」とか言ったら夢葉を傷つけるだけなので止めておいた。一方夢葉は時間をかけて丁寧に僕の背中を洗っていた。顔は見えないが赤らめているに違いない。

「じゃあ、流すね。」

夢葉はシャワーを手に取り僕の背中にかけていく。もうすぐでこの地獄から開放される。妹のタオルを巻いた姿に興奮はしないものの目のやり場に困っていたのだ。後もう少し、後もう少し。自分にそう言い聞かせてただ時が過ぎるのを待っていたがそう思えば思うほど長く感じられるのが人間という生き物。結局洗い始めてから終わるまで5分もかからなかったが僕には1時間に感じられた。


 長かった風呂から出てご飯を食べた後宿題をすることにした。こう見えても僕って真面目なんですよ。

 机の上に数学の宿題のプリントを出す。そういえばここ最近習慣になっていることがある。それはプリントに裏面がないかを確かめることだ。もう二度とあのせいでバトルに負けたくなかったからだ。(10話参照)今日のプリントは表だけ。

 さあ、やるぞ。鉛筆を持って宿題をしようとすると先ほどの選択肢に続いて今度はバトルの画面に切り替わった。


『バトル発生!このプリントの全問を30分以内に解きかつ全問正解せよ。』

今までのパターンとは少し変わっているが、どうせプレイヤーの気分なのだろう。だが、そんなことはどうでもいいし、時間の30分以内についても余裕だ。正直15分ぐらいでできるだろう。問題なのは全問正解せよだ。僕には不可能としか思えない。

 始めからややあきらめムードで問題を解き始めた。1問目とかは楽勝だ。順調に解いていって早くも4問目でつまずいたができる限りの事はやろう。てきとうに式を書いていったら何とか解くことができた。この後も何度もつまずいたがそれでも頑張って解いていく。

 やっとの事で全問解き終わった。と思ったら終了を告げるブザーがなった。かかった時間はちょうど30分。始め15分でできるっていていたのはどこのどいつだろう。

 さて、後は天命を待つのみ。

『パーフェクト!!あなたの勝利!』

採点を終えたゲームの画面にはそう表示されていた。始めはそんな信じられない出来事にただぼーっとしていたがしばらくすると理解ができた。

「おっしゃー!」

あまりの嬉しさに大声を上げてガッツポーズをしていた。だが、素直に僕はすごい。だって不可能を可能にしたのだから。

 しばらく嬉しさに浸っていると画面は次へと切り替わる。

『おめでとうあなたは2レベルに上がった。』

「レベル2?」

またもや意味の分からない設定が出てきたのだった。

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