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現実ゲーム  作者: フリー88
生徒会長選挙編
26/43

アイ リスペクト イスルギ

 僕、石動、新田の3人は屋上で昼ごはんを食べながら作戦会議をしていた。なぜ今更こんなことをするのかって?チラシを配っている時に気づいたことだが、このまま単純にチラシを配っているだけでは到底もう一人の立候補者の岩清水秋雄には勝てないと思ったからだ。彼は僕と同じ2年で学年1の秀才、かつ大変真面目な性格の持ち主。つまり僕が多少公約を捻ったところで勝ち目がない。

「で、何かないかな?みんなが僕を支持したくなるような事。」

「お金をばら撒くとか?」

「却下。」

 まったく新田は真面目な顔をして何を言い出すんですか!支持をしようとは思うかもしれないが確実に立候補を取り消されるだろうし、停学にもなるだろう。第一そんな金があるわけがない。

「それじゃあ、大庭のサインを配るとかは?」

「却下。」

僕のサインをもらって嬉しいやつがいったいどこにいる!そんなのしたら支持率は上がるどころか0へまっしぐらだぞ。いい加減、考えて意見を出して欲しい。

「定番ならボランティア活動とかはどうだ。公園の掃除とかさ。」

 おぉ、やっとまともな意見が石動の口から飛び出した。うーん、そろそろ石動の認識をいい方向に改めるべきだろうか。ここ数日の石動の働きっぷりは素晴らしいものだ。今までは能力を隠していただけなんだろう。僕の頭の中でそう結論づけられ、石動の賢くなった騒動はこれにて一旦終止符がうたれた。

「それならやってみる価値はあると思う。早速明日の朝からやろうか。」

「それって意味あるの?確かに町の人達からの評判は上がるだろうけど、これは学校の選挙よ。」

「ふっふっふ、甘いな新田よ。ゲームやアニメではな公園の掃除によって町の人からの評判が上がれば、噂になって学校にも入ってくるものなんだ。そうなれば当選間違い無しだ!」

「あくまで、ゲームの中だけどね。」

ぐっ、そこをつっこんでくると何も言い返せないじゃないか!折角かっこよくポーズまでとって決まったと思ったのに。

「まあ、それでもやってみて損はないんじゃないか?」

 ナイスフォローありがとうございます,石動さん!

「それはそうだけど、私はやらないわよ。朝は眠いんだから。」

「別に構わないよ。元は関係のない人にそこまでやらせちゃ悪いからね。」

 話はうまくまとまり、昼休みは終わった。


『キーンコーンカーンコーン』

今日のだるい授業も終わって帰ろうと靴を履き替えていると。

「久しぶり、とでも言うべきでしょうか大庭さん。」

後ろを振り返ると北条がいた。会うのは大体一週間ぶりといったところだが、実際には一ヶ月ぐらいは会っていないい気がする。それもこれもこの一週間が忙しかったせいだ。

「で、今日は何のようだ?また情報か?」

「失礼ですね、私はここに通ってる学生なんですよ。」

「でも最近話しかけてくるのはこのゲームのことだけじゃないか。」

「もういいです。分かりましたよ。情報言えばいいんですよね。」

半分逆切れ状態だ。僕はただ事実を述べただけですよ。

「プレイヤーが風邪から復活したので選択肢とかもまた出てくると思いますよ。」

はぁ?風邪?何を言ってるんですか?風邪と選択肢がどう関係しているんですか?疑問符が次々と頭の中に浮かんでくる。

「その、ですね・・・・プレイヤーは風邪をひいてて、しばらく安静にしてろと言われてたのでこのゲームの操作がしばらくできなかったんですよ。といってもミッションを出すとか私に隠れてちょっとはやってたみたいですけど!」

 愚痴っぽく少し怒った口調でそう言う。

 北条とプレイヤーの関係はいったいなんなんだ?天童先輩は作られた存在とは言ったが、今のだけ聞くと夫婦にしか聞こえないんだが。

 そしてもう1つ。プレイヤーって風邪をひくのですか。てっきり何でもできる神のような存在と思っていたのだが。いや、神ですら風邪をひくということなのだろうか。

 このゲームのことについては考えれば考えるほど謎が深まっていく一方だ。とにかく今大事なのはあの選択肢が復活するということだ。


 北条と別れ(正確には北条がどこかに消え去った)、一人歩く帰り道。あのめんどくさい選択肢が復活することに大きなため息をついた。

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