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現実ゲーム  作者: フリー88
生徒会長選挙編
21/43

プレゼント?なんですか。

 時刻は1時5分前。昼ごはんを食べた後これまた彼女の提案でお化け屋敷の列に並んでいた。こちらは30分ほど並んで次が僕たちの番となった。

 神春さんがお化けが怖くて僕に抱きついてくる様子を想像して、今度こそは僕がしっかりやらなくては、と意気込んで中に入った。


 廃墟となった病院を改造しただけあって流石に雰囲気はある。さっきのジェットコースターでは少し怖がってしまったもののお化けは大丈夫だ。いつ神春さんが飛びついてきてもいいように堂々と胸を張って歩いていると・・・。

「ウガァーー。」

 突然左横から全身血まみれの男が出てきた。でも、僕は大丈夫だ。いつでも神春さんが抱きついてきていいように体勢を整える。

 あれ?5秒ほど経ったが何もしてこないではないか。ふと彼女のほうを見てみると怖がる気配もなく、じっくりとその血まみれ男を観察してた。

 はい、なんとなく予想はしていました。ジェットコースターが余裕だったのだからお化け屋敷も大丈夫なことぐらい。でもせめて、血まみれ男を単純にスルーするのではなく、観察するという超余裕っぷりはやめてください!

「お化けとか怖くないんだ。」

「はい、あんなもののどこが怖いんですか?ただの作り物ですよ。私はどうやってあの衣装を作っているのかの方が気になります。」

 尤もな意見だが、一緒にデートする彼女にそれを言われては困ってしまう。というよりなぜ衣装が気になるのだ?

「もしかして、キャーとかいって怖がって欲しかったですか?ならやりますよ。」

 それだけ言うと今度は右からでてきたゾンビのようなやつに「キャー」と棒読みでいった。

 言われてから無理矢理やられてもまったく意味がない。それにどうせやるなら抱きつくまでして欲しかった。

「どうでしたか。私のキャーは。」

自分の棒読みの演技に自信があったのか妙に嬉しそうに尋ねてくる。そんなに嬉しそうにされてはもうこう答えるしかない。

「う、うん。よかった・・・と思うよ?」

「そうですか。なら良かったです。」

安心したようにうなずいて僕たちはまた歩き出した。


 その後も僕を喜ばせようと、お化けが出てくるたびに棒読みのキャーがあった以外は特に何もなくお化け屋敷から出てきた。

「次はどこに行きますか?ゾンビファイティングとかどうですか?」

ゾンビファイティングとは次々と出てくるゾンビを剣で切っていくゲームだ。

「うん、いいよ。」

また渋々了承した。


 その後も彼女のペースでことは進み、時間は4時半、閉館時刻の5時半を考えるとあと一つのアトラクションが限界だろう。ならば行くところは一つ。もちろん観覧車だ。これは彼女に委ねることはできない。

そう思った矢先。

「次は観覧車に乗りましょう。最後ですし。」

予想外の提案だ。まさか神春さんのほうから言ってくるとは。てっきりもう一度ジェットコースターに乗ろうとでも言うのかと思った。

「うん、いいよ。」

僕はもちろん快く了承した。


 僕たちは観覧車に乗り込んだ。徐々に高度は上がっていく。しばらく経つと頂上まで来て僕たちの街は点のようになっていた。

「わあーきれいですね。」

「うん。」

ちょうど窓から赤く染まった夕日が出てきてそれは絶景に値するレベルだった。

「そんな大庭さんにもう一つプレゼントです。目をつぶっていてください。」

いきなり、彼女にそう言われるが、言われたとおり目を閉じる。なんだろうプレゼントとは。1度お土産屋によったからそのとき買ったおそろいのキーホルダーとかだろうか。わくわくしながら何か想像していると、思いもよらないプレゼントが飛んできた。

「えっ。!?」

唇には生暖かく柔らかい感触。目を開けると彼女の顔があった。

「えーー、何してるの!?」

そう、僕はキスをされたのだ。

「ただのプレゼントです。」

恥ずかしそうにそれだけ言うと目もそらして黙ってしまった。


 観覧車を降りたあとも何か大きな会話があるわけでもなく僕の初めての遊園地デートは終わった。


 次の日、昨日のことに少々浮かれつつ、また、彼女にどう接せればいいのだろうかなどと考えながらいつもの時刻に学校に着いた。

「あれ?」

 この時間ならいつもは来ているはずの神春さんの席には誰もいなかった。寝坊でもしたのかなどと考えながら神春さんがやってくるのを待つがいっこうに現れない。ついに時間はホームルームの始まる時間になった。

「はい、今日はみなさんに連絡があります。」

 僕たちのクラスの担任である丹船先生が入ってくるなりそう言う。今日は神春さんが風邪でお休みとかそのあたりだろうか。だが、僕の想像も数十秒後には淡い期待へと変わっていた。

「非常に残念ですが、神春さんがご両親の都合で転校ということになってしまいました。急なことだったのでお別れはできませんでしたがこれからもクラスの一員と思ってがんばっていきましょう。」


 一瞬何が起こったのかわからなかったが数秒後にはすべて理解できた。彼女がなぜ席にいなかったのか、昨日観覧車に乗る前の「最後ですし」の真意、観覧車内でキスをされた意味も・・・。

 昨日それに気づけなかった自分自身を後悔してもしきれなかった。



 昨日は新しい話を更新できずすみません。

 知っていらっしゃるかたもいるとは思いますが21話のあとがきに書いたとおり「1話から18話までを少しづつ改良していきます。大まかな内容はまったく変わりませんが細かい部分は変わっていくと思います。別にこれまで読んでくれた方は読み返さなくてもこれから読む上ではまったく支障はありません。」ということなのでよろしくお願いします。ちなみに1月16日12時30分時点で2話まで改良しました。


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