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現実ゲーム  作者: フリー88
出会い編
16/43

僕は迷子です。

 水曜日の朝となった。

 昨日あの後は夢葉とは少し気まずかった。なにしろこちらを見るたびに何気に恥ずかしそうにしてくるからだ。本当にこいつは僕のお嫁さんになろうとでも考えているのだろうか。もしそうなら今のうちにきっぱり断っておくべきだが・・・。


 それはそうと早く学校に行かなければ遅刻するではないか。急いで家を出て50m直進したところにある、いつもの交差点に差し掛かった。いつもなら右に行くところなのだがここで選択肢が出た。


1、右に行く。

2、直進する。

3、左に行く。


 さてどうしよう。抗うのなら反対方向の左に行くべきだがそれでは学校に着かないではないか。ええい、もう左にいってやろうではないか。獣道に進むと決めたのだから。

 僕は遅刻0欠席0の記録を捨てる覚悟までして左に進んだ。


 その後も学校に頑張ってたどり着こうとするもことあるごとに選択肢に邪魔をされ今はもうまったく知らない道にきており迷子となっていた。もうすでに学校は始まっている時間だ。

 そうやって途方にくれているときなぜか同じ学校の女の子を発見した。

「ねえ君、なにしてるの?」

僕が尋ねても特に驚いた様子もなくのほほーん、としていた。

「道に迷っているんです。」

もしかしてこの子は僕と同じく選択肢によってここにきたのではないか。初めての仲間ではないかと思って甘い期待を抱くがすぐに打ち砕かれた。

「私、方向音痴で。だから毎日こうして迷子になっているんです。」

なるほど本当の迷子か。というより毎日迷子になるとはどういうことだ。同じ道だから何度か行けば流石に覚えるだろ。


「ところで、君名前は?」

「私は3年5組天童莉亜です。」

なんとこんな人が先輩だと!?後輩にしか見えなかったのだが。

「すいません、先輩でしたか。僕は2年の大庭希です。」

「いいよ、慣れてるから。それで希君はどっちいくの。」

いきなり希君ですか。それはおいておくとしてこの道左にいけばいいのか右に行けばいいのか。こんな事を聞いていても仕方がない。恥をしのんでそこにいるおばさんに尋ねよう。


「すいません、大手町高校はどういけばいいですか?」

「あら、その制服は大手町高校ね。転校生?」

当然の反応だ。普通の生徒が道に迷うはずないから転校生だと思うのは。

「いえ、そうではないんですが・・・。」

「まあいいわ。そうね・・・ここを右にいって3つ目の信号をまた右にいけばすぐに見えると思うわ。」

「ありがとうございます。」


 おばさんの言ったとおり進むと見事学校に着いた。時間は1時間目が終わったところ。まずまずといったところだ。

 そういえばあれから選択肢が1度もでなかったなあ。どうもこのゲームは気まぐれらしい。


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