遠隔操作はやめてください。
「どうしてお前がそれを・・・。」
「それは女の子の秘密ですよ。」
あくまで教えてくれるのはゲームの事だけみたいだ。だが神出鬼没の彼女がそれを知っていてもなぜか不思議とは思えない。
「で、情報とはなんだ。」
「いきなりですか。つまらないですねぇ。」
「お前がいいだしたんだろ。」
「はいはい、そうでした。」
北条はわざと唇を尖らせすねたフリをした。
「最近、というよりは昨日死んでからいろんなイベントが増えたと思いませんでしたか。」
イベントとうのは選択肢とかバトルの事だろう。つまり僕が1番気にしていたことだ。
「ああ、確かにそうだが。」
「それはなぜか。1回死ぬごとにこの世界がゲームに近づいていくからなのです。」
「どういうことだ?」
「少し分かりにくかったですか。簡単に言えばあなたがゲーム機の中で主人公を操作するのと同じようにあなたも誰かに操作されるということです。それこそ選択肢などで。」
「操作!?だれに?というより俺はちゃんと意思を持っているぞ。」
「その意思自体あなたの意思かどうかすら分かりません。考えてみてください。ゲーム機の中の人だってまさか誰かに操作されているとは思ってもいないでしょう。」
続けて彼女は言う。
「詳しいことは分かりませんが1つだけアドバイスをしておきます。少しでもプレイヤーに抗ってみてください。」
それだけ言うと北条は消え去った。
抗うという事は少しでも当たり前でない選択肢を選べということだろうか。今は彼女のアドバイスを素直に受けることにした。
「今の話は何だったのですか。私にはまったく理解できませんでしたが。」
北条に気を取られて神春の事をすっかり忘れていた。
「その・・・いまやってるゲームの話でさー。あいつとはゲーム仲間なんだ。」
今のはすばらしいいいわけだった。(自画自賛)これでうまく信じてくれるといいのだが。
「それにしてはおかしすぎましたが?」
ぐはっ。神春は石動のように単純ではないようだ。しょうがないすべてを話すか。
「なるほど。なんか様子がおかしいと思っていたのですがそういうことでしたか。」
「信じてくれるのか?」
「もちろん親友ですから。」
親友は大切だ。石動の時に感じられなかったものを初めて感じられた。いつのまにか友達から親友になっていたのはこの際どうでもいい。
「ところでその北条さんとは一体なにものなのですか。」
「同じ学年の1組とは知っているけどそれ以外は・・・。」
「じゃあそれについては私が調べておきますね。大庭さんはみんなから嫌われるのをがんばってください。」
どういうことだろう。
「だって、抗うってことはみんなから嫌われる選択肢を選ぶってことじゃないですか。」
あ、なるほど。




