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いつものように暗い廊下を抜け、
『私立亜麻水女子高等学校』
と書かれた立派な門をくぐり、
桜の咲き乱れる表通りに出ると
ベンツのお出ましだ。
ガチャ。
後ろ座席のドアを開けてベンツに
乗り込むと待ち構えていたかのように
母が口を開いた。
「どうだったの?今日のレッスンは。」
またか…。
「毎日同じ質問されても答えは
一緒よ…。お母様、私やっぱり
ピアノなんて向いてないんだって。」
母は少し眉を潜めたが、
何事もなかったかのように話を変えた。
「今日は夜、眞鍋さんの別荘で
パーティに呼ばれてるから
準備ておいてね。」
そう言い残すと母は自宅の門の前で
私をおろし、デパートの方角へ
向かっていった。