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Dear…  作者: Yui
2/4

✲2✲

いつものように暗い廊下を抜け、

『私立亜麻水女子高等学校』

と書かれた立派な門をくぐり、

桜の咲き乱れる表通りに出ると

ベンツのお出ましだ。


ガチャ。

後ろ座席のドアを開けてベンツに

乗り込むと待ち構えていたかのように

母が口を開いた。

「どうだったの?今日のレッスンは。」

またか…。

「毎日同じ質問されても答えは

一緒よ…。お母様、私やっぱり

ピアノなんて向いてないんだって。」

母は少し眉を潜めたが、

何事もなかったかのように話を変えた。

「今日は夜、眞鍋さんの別荘で

パーティに呼ばれてるから

準備ておいてね。」

そう言い残すと母は自宅の門の前で

私をおろし、デパートの方角へ

向かっていった。

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