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東の主婦が最強  作者: くりはら檸檬・蜂須賀こぐま
第22章 仮想世界の彷徨人(さまよいびと)
162/334

22ー4 精神の境界線

 「今日は! 素明羅スメラテレビの,クリスタです!」

 クリスタは長い耳を振りながら,にこやかにカメラ――といっても,報道魔導士の持つ水晶玉なのだが――に話しかけている.


 ウサギ人の彼女は素明羅のアイドル的プレーヤーだ.

 彼女のキャラクターは現実世界のCMでも使われていて,小型車の宣伝では数年にわたり専属契約を結んでいるのだ.

 素明羅は東アジアの文化が主となっている.今日の彼女はウサギ柄のミニの浴衣を着ていた.シノノメの嫌いな種類の‘キモノ’である.

 手にはマイク代わりの,収音用杖を持っていた.


 「今日,私が来ているのはウェスティニア国境付近の町,ペロアニアです」

 カメラがパンすると,不思議な街並みが映し出された.

 一応茶色を基調とした古典的なデザインなのだが,五,六階建ての集合住宅や商店が立ち並んでいる.

 おまけに地面は石畳ではなく,舗装されていた.

 動物に引かれていない馬車――小型自動車の様な卵型の乗り物が道を行き交っている.

 現代ヨーロッパの都市郊外に来たようだ.


 「現在,この地区はウェスティニアだけではなくノルトランドからも人間が集まり,大きな町になりつつあるんですね.それにしても,どうでしょう,この景色は?」

 クリスタが歩きながら町を手で指し示した.

 「とても現代的ですよね.それでいて,ユーラネシア風でもあります.一体どういう事なんでしょうか?」

 そう言いながら歩いていた人に声をかけて呼び止めた.

 二十前後の青年だ.

 濃紺のパーカーを着ているが,それが現代的過ぎて,その下の中世風の服――麻のシャツにズボン,革のブーツが妙にそぐわない.

 「すいません,あなたはユーラネシアンですよね,地元の方ですか? お名前をお願いします」

 クリスタの目がわずかに頭上に動く.ステイタスを確認しているのだ.

 間違いなくNPC――ゲームキャラクターだった.

 「私の名前はドルトンです.正確にはここの町の人間ではありません.少し前にノルトランドから避難してきたんです.あっちは今,つ国の人たちがものすごい戦争をしているでしょう? とばっちりを食ってはたまりませんから」

 「なるほど.ドルトンさん,どうしてペロアニアに来たんですか?」

 「ここは目覚ましく発展している町で,平和で,仕事もあるって聞いたんです.それに,何より……」

 ドルトンは目を輝かせた.

 「ここでは,外つ国人じゃない,我々の様な一般人でも魔法が使えるんですよ!」

 「まあ,そうなんですね!」

 クリスタは驚いて見せたが,その反応は少し白々しかった.当然テレビの取材前に下調べしていたのだろう.

 「あ,失礼」

 そう言うとドルトンはポケットから二つ折りになった小さな石板を取り出し,開いて耳と口に当てた.

 「あ,もしもし? ああ、水道の配管工事の件だね.今から行くよ」

 ドルトンは石板に向かって喋ると,また折り畳んでポケットにしまった.

 その一部始終がテレビに映る.

 「これ,便利でしょう? 電話機っていうんです.魔法使いが水晶玉で喋ったり,あなた達,つ国人が念話したりするみたいに,遠くの人と話ができるんですよ.仕事がはかどります」

 ドルトンは自慢げに言った.

 現代世界からやって来たクリスタにとっては当たり前のことなのだが,調子を合わせるように少し驚いて見せている.

 「まあ,素晴らしいですね.ドルトンさんはどんなお仕事をされているんですか?」

 「上下水道の配管工事です.今までは町の水くみ場に水路をつなげていましたが,この町では完全に個人の家まで水がパイプで届くんです.しかも,メムの魔導士さんたちのおかげで,蛇口をひねればお湯まで出るんです.まるでどこかの王宮みたいな暮らしですよ.では、僕は仕事が入ったので失礼します」

 ドルトンは会釈して去って行った.

 クリスタがカメラ目線になって再び話し始める.

 「そうです,そうなんです.この町では,魔法職でない一般人も魔法が使えるんですね」

 クリスタの背後を丸っこい乗り物が走り抜けていった.どうやらその乗り物も魔法で動いているという演出なのだ.

 「一体,どういうことなんでしょう? ここで事情を知る方、先ほどの話に出てきた‘メム’の魔導士さんにお話を聞いてみましょう」

 そう言ってクリスタが少し歩くと,その横には背の高い美形の青年と,目の覚めるような美少女が立っていた.

 青年と美少女はそれぞれ学生服に似たデザインの服を着ていた.青年がカッターシャツにスラックス,少女が同じくシャツにプリーツスカートで,赤褐色のネクタイを締めている.ただ学生服と違うのは,二人ともその上に丈の短い濃紺のローブを羽織っていることだった.

 「今日は.二人とも,メムの魔導士さんですか?」

 「そうです.僕はリュージで,彼女はココナです」

 二人は軽く頭を下げた.

 ココナはしっかりとリュージに自分の腕を回している.まるで自分の物とでも言わんばかりだ.頭を下げると艶やかな長い黒髪が揺れた.

 「リュージさんとココナさんは魔法職なんですね」

 「はい,そうです」

 「ペロアニアではみんなが魔法を使えるとか.これはどういうことか,教えてください」

 「簡単なことだよ.器物に魔法をかけて,便利な魔法具をたくさん作ったんだ」

 癖のある赤い髪を揺らしながら,快活にリュージが話す.

 「魔法具と言うよりも……見ていると,まるで現実世界の機械みたいですね」

 「僕たちは現実世界の進んだ文明を知っている.だけど,ユーラネシアでは魔素の関係で精密な機械が動かない.それで,魔法の部品を組み立てて機械を作ることにしたんだ.」

 リュージはポケットから四角い石板を取り出し,表面を指でなぞった.さっきドルトンが持っていたものと同じだった.

 「携帯端末……いや,そこまで言うと言いすぎかな.昔の携帯電話だな.電話しかできないけど,遠くにいる人や,資材の発注,工事の作業なんか,全部連絡ができる.これは僕の発明だよ」

 「発明……というか,応用……ですね」

 明るいキャラクターが売りのクリスタだが,誇らしげなリュージの言葉には少し違和感を抱かざるを得なかった.

 文化の国素明羅には,東の主婦シノノメ以下アイデア自慢ぞろいだ.

 いかにオリジナルの物を生み出すか日々みんなが競い合っているのだ.

 簡単ではないかもしれないが,現実世界の便利な道具の魔法世界版を生み出したところで発明と言うのは 何か違う気がした.

 そんなクリスタの反応を察してか,リュージの顔が少し曇った.

 そうすると,それまで黙っていたココナが突然口を開いた.

 「違うわ.リュージ様が素晴らしいのはそこからよ.魔法具が誰にでも使えるように解放したの.魔法をプレーヤーや一部の魔法職が独占することを辞めたのよ.ね,リュージ様!」

 ココナは少し怒ったように言いながら,リュージの腕を抱きしめる.

 まんざらではないようにリュージが照れ笑いを浮かべた.

 イチャイチャを通り過ぎてべたべたした二人の様子に,クリスタは苦笑した.

 「えー,では,あの近代的な建物や乗り物も,魔法具なんですか?」

 「もともとは,そう.けど,正確には違うな.基本的な道具を作って生産効率を上げることで,次々と色々な物が生まれたってわけ.NPC――ユーラネシアンが発明した物や,工夫した物もあるよ」

 「こうなるとペロアニアは中世でなくって,私たちの世界みたいですね」

 「ええ,そう.今,魔石を使って発電もしてるの」

 「発電まで?」

 「だって,火の魔石を加熱して蒸気をつくることはできるでしょう? 外輪船のエンジンに使われている,魔動機関っていう奴.それを応用すれば,発電だってできるわ」

 ココナは得意そうにカメラに向かってウインクしながら言った.

 「すごい,まさに産業革命ですね」

 クリスタはテレビのフレームをココナに取られないようにカメラに迫りながら言った.

 「でも,大仕事のように聞こえます.他にもたくさんリュージさんの様な魔導士の人がいるんですね?」

 「そうだよ.僕たち移住者……」

 「移住?」

 クリスタの耳がピクリと動く.

 「もーっ,リュージ様! こんなウサギ人の女の子の相手なんてしないで,私と一緒にデートの続きしましょうよ!」

 ココナがいきなりリュージの首に抱きついたので,リュージはにやけながら口をつぐんだ.

 「ちょ,ちょっと……!」

 話を遮られて呆気にとられたクリスタだったが,差し出されたマイクにココナが一気にまくしたてた.

 「私たちは,Magica Ex Machinaマギカ・エクス・マキナ.MEM,‘機械仕掛けの魔法’の使徒.マグナ・スフィアの生活をより快適にするわ.理念に賛同される方,ぜひ集まってください」

 ココナはにっこりとカメラに微笑みかけて一礼すると,リュージを連れてクリスタの前から足早に去って行った.


 ***



 異世界への移住、転生はいかがですか。

 色褪せた人生を、輝く冒険に変えよう。


 ポスターには、鮮やかにそんな文字が躍っている。

 アルバイトの帰り、璃子アイエルは駅のホームで立ち止まり、一瞬目を奪われた。

 人気俳優がにこやかに笑いかける有機液晶掲示板のポスターだ。

 ――詳しくはお近くの区市町村役場まで。

 これは新しい映画やアニメの宣伝でも何でもない。

 れっきとした政府広報のポスターなのだ。ポスターの左隅には、しっかりと内務省の文字が印刷されている。

 

 人工の異世界、マグナ・スフィア。

 名目上は、VRMMO――バーチャルリアリティ・ゲームだ。

 だが、すでに多くの人が感覚的に知っていた。

 それは、灰色の現実世界に変わる血沸き肉躍る第二の別世界なのだと。

 そこでは自分の想像が現実となり、理想の自分になれる。

 広報のホームページは、アクセスがパンク状態だという。

 詳しくは知らないが、人格の電子情報化――ダークエルフのアイエルとして死闘を繰り広げた、五聖賢のような至高の人間――ホモ・オプティマス化に近い物のようだ。

 捨て去った肉体はどうなるのか――それははっきりとは分からない。


 何かおかしなことが起こっている。

 そんな気がしてならない。

 第六世代のVRマシンも、厚生労働省や消費者庁で問題になっている様子がない。

 無意識のうちに洗脳されてしまうかもしれないという危険なもののはずだ。

 だが、そのニュースも公表されることはないようだ。

 稲森ハメッドの会社――サイナップス社だけが製造をいったん見合わせるという発表があったが。

 

 「お待たせ、璃子ちゃん」

 璃子が振り返ると、祥子グリシャムが立っていた。二人はこの駅のホームで待ち合わせをしていたのだ。

 「これ……」

 「うん、不気味だね。水面下で――世界の裏で、とんでもないことが起きつつあるみたいな気がする」

 祥子も璃子と同じような印象を抱いたらしい。形の良い唇を引き結んで頷いた。

 「祥子さんはどんなものか知ってるの?」

 「……病院に来ている生活保護の患者さんが、何人か病院に来なくなったわ。区役所の人が言うには、所定の手続きが済んだので、通院が不要になったって……」

 「シェヘラザードとシンハが話してたことだね?」

 「ええ、きっと」

 駅の周りにたむろするホームレスも少なくなっている気がする。

 気に留めることなく行き過ぎる人の群れが、どことなく不気味でならない。

 二人はホームの階段を降りると、改札口に向かった。

 携帯端末をかざして改札を出ると、外は雨だった。

 二人が屋根の下で雨宿りしていると、黒塗りの国産高級車が滑るように近づいてきた。

 ゆっくり助手席の窓が開く。

 金属質の刺青が顔に入った初老の紳士――塚原が顔を出した。

 「やあ、二人とも。待たせたかな」

 「セキシュウさん! ……失礼しました、塚原さん」

 促され、二人は後部座席に乗り込んだ。

 車は‘人間の’運転手が運転していた。

 大通りや高速道路に対応している人工知能搭載型自動車はあるが、市中の一般道路に対応できる、しかも自家用車に搭載できる小型の人工知能はとんでもなく高価だ。

 それでも人間の人件費よりも安いはずなので、塚原の財力が知れようものだ。

 後部座席には先客がいた。

 線の細い、端正な感じのする青年だ。肌が女性並みにきめ細かく白い。

 「この人は……」

 「私の友人だ」

 「今日は、竜崎です」

 青年は頭を下げたので、二人ともつられるように挨拶を返した。

 「あれ、どこかでお会いしましたっけ?」

 璃子は首を傾げた。初めて会うはずなのに、どこかで見た覚えがあるのだ。

 「それは……竜崎君、いいかね?」

 「あ、ええ……自分で言いましょう。もしかして、僕の本のカバーとか、折り返しに写真が載っているので、それを見たんじゃないでしょうか」

 「本……? えっ、あっ! もしかして、推理小説作家の竜崎さんですか?」

 璃子は思わず大きな声を出した。

 「ええ、そうです」

 「いつも拝読させて頂いてます! ‘部屋’シリーズとか、‘幻想’シリーズ、大好きです。私、電子版じゃなくって書籍版全部持ってます。ああ、本を持って来ればよかった」

 「はは、ご購読ありがとう」

 竜崎ははにかむように笑った。

 「ですけど、作家さんが何で?」

 興奮冷めやらぬ璃子の代わりに、祥子が塚原と竜崎に尋ねた。

 「二人とも、異世界移住の政府広報は知っているね?」

 「ええ……まさか、本当にシェヘラザードはやるつもりなんですね。生産性の低い――社会保障費がかかるような人たちを、異世界に移住――と言えば言葉は良いですが、要は電子人格化して切り捨ててしまう……」

 祥子はマグナ・スフィアで聞いたシェヘラザードの言葉を思い出しながら、噛み締めるように言った。

 「一体、現実世界の身体はどこに行ってしまうんでしょう?」

 「処分されるという噂もある。あるいは、移植用臓器になるという噂もある」

 塚原は鋭い目で窓の外を睨んだ。

 窓を叩く雨の勢いは少しずつ強くなっていた。

 仮想世界のカカルドゥアで起きていたことが、現実世界に逆転して現出しているようだった。

 「ところで、祥子さんはベルトランのブログを読んだかな?」

 「ベルトラン? ノルトランドの王の、ベルトランですか?」

 「少し見てみてくれ」

 前方座席の背もたれについたモニタが起動した。それを操作すると、インターネットの閲覧ができた。

 「ベルトラン」と言うと、音声入力でたちまち検索が開始される。

 ほどなくして黒地に太い簡素な文字で書かれたページが現れた。

 「……ノルトランド戦記……人間の王の興亡」

 「ベルトランと言う名前は、おそらくマグナ・スフィア運営に差し止められているんだ。その中で、彼は赤裸々に洗脳の体験を描いている。ヤルダバオートの接触、どのようにして全面戦争を決断するに至ったか……ちょっとした話題になっているよ。これを書いているのが果たして本物のベルトランかも含めてね」

 「これ、本当に本物が書いているんですか?」

 「間違いない。俺が知る限り、本物ですよ。彼しか知り得ない内容が書いてある」

 竜崎が頷いた。

 「……って、どういうことですか?」

 「彼は、ベルトランの右腕だった、竜騎士ランスロットなんだ」

 「えっ! 竜崎さんが!?」

 今度は祥子が驚きの声を上げた。

 竜崎の額に緩くウェーブした髪がひと房垂れた。そう言われれば、美剣士ランスロットの面影がある。

 「しかし、彼がどうしてブログという形で発表したかだな」

 塚原セキシュウはバックミラー越しに後部座席の様子を見ながら言った。

 「確かに、これって結構なスクープですよね……シノノメさんのことも書いてあるんだ。これを読めばウェブやネットテレビで公開された最後の戦いまで編集されていたって事――嘘だってことが分かっちゃいます。この話、もっと大々的に取り上げられてもいいような気がする」

 璃子はじっとモニタの字を追いながら言った。

 「うん、高価に売れるネタだ。多分、大手の一般メディアでは取り上げてもらえなかったんだろう」

 竜崎が璃子の疑問に答えた。

 「彼のブログの内容が真実ならば、VRマシンの大幅なリコールが必要となるだろうな。なにせ、洗脳機械が市場に出回っているんだ。国内企業がいくつも特許を持っている、日本の重要な輸出品が大打撃となる。だが、経済的な側面だけではないだろう」

 塚原が言った。

 「……つまり、より広く普及させるためにマスコミを操作している……そこまでシェヘラザードやサマエルの手が及んでいるって言う事ですか?」

 「サイナップス社の稲森君にも直接聞いたのだが、実際に人体に悪影響があるというデータがきちんと証明できない限り、余計なことを言うなと省庁から緘口令が下りたそうだ」

 「稲森さん――ハメッドさんですね。娘さんの治療が上手くいけばいいんだけれど……そうか、それは厚生労働省の管轄が関係するのか……」

 「嫌なやり方だね。ハメッドさん、現実でも娘さんを人質に取られているみたい」

 「ああ、デミウルゴス――敵は我々の周りの、どこにでもいるのかもしれない、ということだ。なあ、堀田」

 塚原は運転手に声をかけた。

 よく見ると、先日オフ会の時に車を運転していた体格の良い男ではない。塚原より少し若いくらいの、物腰柔らかな熟年男性だった。

 「それで電子機械音痴の私が復職になったわけですね、会長」

 「何を言う、お前が引退するのは早すぎるよ」

 どうやら気心の知れた仲らしい。塚原は愉快そうに笑った。

 「そうか、それでこういう形で会うことにしたんですね」

 祥子は納得した。璃子は学校帰り、祥子は病院の勤務帰りだ。

 塚原から会う場所の指定はなく、ただ迎えに行くと言われていた。

 塚原セキシュウは大企業の会長だ。動けば否応なく人目に付く。

 「車の中での密会、窮屈で申し訳ない」

 塚原は笑いながら謝った。

 「本当に。美しいお嬢さん二人と会長が密会ともなれば、写真週刊誌のいいネタですよ」

 堀田は笑顔を絶やさずに言った。

 「そんな歳ではないよ」

 「ですが会長、私には皆さんが口にされてる、その名前が引っ掛かるんですがね」

 「というと?」

 「サマエルに、デミウルゴス。ヤルダバオートなんていうのもありましたっけ。その敵とやらは、グノーシス主義者なんですか?」

 堀田が後部座席にちらりと視線を移して尋ねた。

 「グノーシス? ……キリスト教の異端ですね。確か、今はもう信者はいないんでしょう?」

 竜崎が言った。彼は作家らしく博識だった。

 だが、堀田はそれ以上らしい。

 「いえいえ、イランにわずかに。今は千人程度しか信者はいないかもしれませんが、マンダ教として現存しますよ。それに、アメリカやオーストラリアにはグノーシス復古主義とかいって、新興宗教もあります」

 「塚原さん、この運転手さん、何者なんですか?」

 堀田の雰囲気から、彼の知識が口に出した内容以上に渡ることが推察された。竜崎と同じ疑問を抱いたのか、祥子と璃子も肯く。

 「ははは、ただの雑学自慢の運転手です」

 塚原が応える代わりに、堀田は快活に笑った。二人の表情から察するに、おそらく塚原の相談役のような存在なのかもしれなかった。

 「デミウルゴスって、創造主って意味でしょう? 自分でそう名乗るって、すごい思い上がりですよね」

 祥子が言うと、当然相槌を打つと思った堀田は首を傾げた。

 「そうでしょうか? お嬢さん。私には、自嘲に聞こえますが」

 「自嘲?」

 「ええ」

 堀田がハンドルを切ると、車はゆっくりと郊外へ進んでいった。


  ***

  

 唯は、いばらの森を歩いていた。

 随分長い。

 足元は暗く、よく見ながらでないと石や下草に足を取られてしまいそうだった。

 今までの夢よりも辺りはずっと暗かった。

 悪夢なんだろうか。

 唯は少し後悔していた。

 突然現れたマリーンに驚いて、走り出してしまった。

 そんな悪い人には見えなかったけど……意識の中に入るって、どういう事なんだろう。

 そんなことができるんだろうか。

 そうだ。

 そう言えば、夫が家で英文論文を読みながらそんな話をしてくれたことがあったような気もする。

 何か特殊な機械を使えば、意識不明の人ともコミュニケーションがとれるって……

 意識不明……

 私も……?

 そこまで考えたところで、唯は異様な気配に顔を上げた。

 あたりに生い茂っていた荊が網を編むように折り重なり、前方で蜘蛛の巣の様な壁を作っていた。

 

 「ここで、行き止まり?」

 不気味な道だったが、怪物も出てこなかった。

 引き返そう……そう思っていると、ざわざわと茂みが揺れた。

 尖った木の枝がガタガタと音を立ててぶつかり、壁の中心がざわざわと揺れて配列を変える。不気味だが不思議な光景に、唯は目を奪われた。

 やがて枝の木組は、壁の中央に不気味な顔を形作った。

 壁に巨大な面が貼り付いたようだ。

 顔には毛髪と眉がなく、目を瞑っている。

 「あなたは……」

 その顔の主に唯は思い当たった。

 顔は唯の声に反応したかのようにゆっくり瞼を持ち上げ、露わになった虚ろな瞳を時計仕掛けの様に動かした。

 瞳はしばらくさまよっていたが、やがて唯を見つけると焦点を合わせた。

 「おお……」

 唇が動いた。

 「これはこれは、東の主婦、シノノメ殿ではないか」

 「シンハ……」

 巨大な顔は、魔王と化したシンハのそれだった。


 ***

 

 「いけません。唯さんの精神領域が、徐々に無意識野に引っ張られていきます」

 現実世界の唯の傍では、谷安マリーンと国島、そして夫である黒江が固唾を呑んでモニタを見守っていた。

 「唯の視覚野に写っている映像……暗い。すごく暗いけど……国島君、何とか拾えないか?」

 「とっくにやってます。何でしょう? 暗闇の中に何か不気味な顔みたいなのが見える……」

 「一体どうなってるんだ」

 黒江は別のモニタに目を注いだ。精神科の毛利から読み方を教わった精神図が映し出されている。神経伝達物質や脳の電気活動をもとに作成した意識活動を表す画像だ。

 味も素っ気もない氷山の様な模式図だが、氷山の水面から浮かんだ部分が徐々に小さくなり、ノロノロと水の中に水没しようとしていた。

 水面下は人間の無意識、自分を破壊しようとする死の衝動、デストルドーの領域だという。

 他のモニタにも目をやる。

 経時的機能MRIでも、電気活動が徐々に鈍くなり始めている。

 何が起きているのかよく分からないが、悪いことが起きていることだけが分かる。

 

 「私が介入したのに、こういう結果になって……先生、すみません……」

 谷安が謝るが、この状況では他に手がなかったことは誰の目にも明らかだった。唯は黒江の顔を認識できない。精神科医に介入してもらうことも考えたが、警戒心を抱かせないように年齢が近いマリーンに頼んだのだ。

 

 「谷安さんのせいじゃないけど……唯は一体どんな患者さんの意識の中に入ってしまったんでしょう?」

 「ちょっと他の稼働しているVRPIを全部チェックしてみます。今の時間は、入院患者の治療を行ってるはずです」

 谷安は猛烈な勢いで電子カルテを操作しながら各部署に電話をかけ始めた。

 「げっ!」

 先に声を上げたのは国島だった。

 「この顔、俺……知ってる……でも、これは、まるで……」

 「分かりました!」

 谷安が院内用携帯端末の通話ボタンを切りながら叫んだ。

 「こいつ……魔王だ!」「鳥井先生です!」

 国島と谷保が同時に別々の答えを叫んだ。

 二人が顔を見合わせる。

 「鳥井先生が治療中……でも、魔王? 魔王……そうか」

 黒江は国島の言葉の意味を理解したように小さくつぶやいた。

 「魔王って、国島君、どういう事よ?」

 「いや、俺も初め、鳥井先生に似てるって思ったんだけど……これ、この前マグナ・スフィアの特別配信で見た魔王にそっくりだ……」

 「魔王? ゲームの魔王?」

 「魔王になった凶悪なプレーヤーがいたんだよ。臓器売買や人身売買、挙句の果てには食人に近いことまでやって、さらには……マリーン、カカルドゥアって知ってっか? ゲームの中の超大国を滅亡させようとしたんだ。これ、そいつの顔にそっくりだ。」

 「じゃあ、鳥井先生がそのプレーヤー?」

 「そうとしか思えねーよ。だけど、これ、ヤバいよ。だって、ゲームの中でその魔王を倒したの、黒江先生の奥さんなんだよ! 東の主婦、シノノメなんだ!」

 「唯さんがゲームの中でアバターを倒して、そして……鳥井先生が現実世界で倒れたっていうこと?」

 「ゲームで倒された腹いせに何するかわからねーぞ! お前は意識不明の重体だって吹き込んで、滅茶苦茶にするんじゃないのか!?」

 「そんなもんじゃないわ! 鳥井先生は重度の閉じこもり状態、完全な統合失調状態にあるの! 意識が接触すれば、危険水域にある唯さんの意識がどうなるか! 自己破壊衝動タナトスに満ちれば、精神崩壊――もう、もう……帰ってこれない!」

 ふと見ると、二人の言葉が聞こえているのかいないのか、黒江は黙ってモニタを見つめていた。


 「あ……すんません、先生……」

 「黒江先生……」

 国島と谷安は黒江の横顔を見て、慌てて口を閉ざした。

 言葉は少ないが、彼こそ今の状態に一番困惑し、動揺しているはずだ。

 黒江の拳は固く握りしめられ、白くなっている。

 これ以上自分たちにできることは、何があるというのだろう。


 だが、黒江は唐突に立ち上がった。

 その目には強い意思の光を宿していた。

 「先生?」

 「大丈夫ですか?」

 「ここは少しだけお願いします。僕に……考えがあります」

 「考え?」

 黒江はその問いには答えずに、VRPI管制室を出て行った。


 ***


 「ふふふ、何故俺がここにいるのかと思っているな」

 顔だけのシンハはそう言って笑った。声に合わせて木々が揺れ、暗い空間に声が響く。

 「……夢の中なら、何が起こってもおかしくないもの。これは悪夢ね?」

 唯は半身になって身構えた。

 いつでも魔法を放つことができる姿勢だ。相手は木の化け物らしい。火で燃やすことは簡単だろう。だが、何故だろう。今までにない悪寒を感じる。

 「ふふ、お前はここが自分の夢の中だと思っているのか」

 「……違うの?」

 「ここは俺の意識の中だ。心地よい暗黒の精神の中。全知を得るために奔走した俺だが、こうやって無明の闇に身を浸すのも心地よい」

 唯は辺りを見回した。

 枯れ木と漆黒の闇しかない空間。

 寂しいというよりも、不気味だった。

 「視覚も聴覚も嗅覚も触覚も……一切の感覚がない。静かだ。俺にとってはお前が意識への闖入者だ」

 シンハは歌うように言葉を紡いだ。

 「……あなたはずっとこの淋しい場所にいたいのね。ここには出口はないみたいだから、帰る」

 意識に入り込んだという言葉に少し引っかかったが、唯は踵を返して帰ろうとした。

 「まあ、待て。お前は自分がどうなっているのか知りたくないのか?」

 ピクリ、と唯の身体が震えた。

 それは知りたい。だが、知りたくない事実でもある。

 「……いい。あなたの口から答えを知るんじゃなく、自分で探すから。だって、あなたの言う事は信用できないもの」

 半分は強がりで、半分は本心だった。

 どんなことを言っていても、この男はあのシンハを名乗ったプレーヤーなのだ。

 自分の夢の中に現れて、嘘をついているのかもしれない。本当のことを教えてくれる保証など無い。

 「はっはっは、さすがは東の主婦だな。大した気丈さだ」

 シンハは面白そうに哄笑した。

 風が轟々と震えた。

 冷たい風だ。吹かれていると心の底から冷えてくる気がする。

 シンハの冷酷な心を反映しているのかもしれない。

 「だが、その態度とは裏腹に、心の中は疑念と不安で満ち溢れているのだろう? 何故自分はこんなになっているのか、いつから自分はこうなっているのか」

 唯はシンハの言葉に背を向けて去ろうとした。だが、やって来た道の荊がザワザワと揺れてそれを阻もうとする。まるでシンハの手で唯を押し包もうとしているようだ。

 「……そして、現実の自分は、今どうなっているのか」

 耳を塞ごうとしても、地の底から響いて来るようなシンハの声が沁み込む様に脳に入って来る。

 体が底知れぬ闇に引き込まれていくような錯覚を覚えた。

 大丈夫。

 私には、あれがある。

 唯は両手を握り合わせ、ぬくもりを思い出した。

 夫と心と心がつながった時、愛されていることを知った時、抱きしめられた時に心の中に灯る光だ。

 手の中に温かい光を放つ星が出現した。

 そうだ。

 このぬくもりがあれば、何も怖くない……。

 唯は星を頭上に掲げた。

 闇を照らし、唯を包む暖かな光が放たれた。

 帰り道を閉ざしかけていた荊の枝が、光を恐れるように後退する。

 顔だけのシンハは少し眩しそうに目を細めたが、やがてニヤリと笑って口を開いた。

 「フハハハハハ、愛される喜びとでもいう奴か」

 「そうよ。あなたみたいに冷たい心の人には分からないでしょう!」

 唯は胸を張った。だが、足が震えている。

 「だが、光はいつか消えるのだ。光が消えれば闇が訪れる。幽玄ゆうげん、虚無こそすべての物が還る場所だ」

 「あなたは闇の中で眠っていなさい! グリルオン!」

 声とともに立ち上がった青い炎は、あっというまに荊の森を舐めつくした。

 「おう、そうだ。この炎も、やがて燃える物を失えば消えるのだ」

 炎の中でシンハの笑い狂う声がする。

 唯は駆け出した。手足にまだ燃えていない荊の枝が絡み付く。まるで闇の中に潜んだ幾本もの黒い手が伸びて、彼女の身体を捕えようとしているようだった。

 「くっ! 放しなさい!」

 光る小さな星を掲げ、必死に手足を動かした。

 いつしか燃える森の奥から唯は抜け出し、唯はとぼとぼと歩いていた。

 辺りは真の闇に塗りつぶされていた。

 ふと少しだけ後ろを向く。

 すでに炎は燃え尽き、後ろには深い闇があるだけだ。

 だが――闇の深淵から何かに見つめ返された気がした。

 ぶるっと体が震えると、星の光が揺れた。

 「大丈夫、大丈夫……」

 自分に言い聞かせる。

 突然、両肩を後ろから何かに掴まれた。

 何か黒い物――闇そのものが人間の形になって、唯の耳に囁いた。


 「……眠り続けるお前が……まだ愛され続けていると思うのか?」


 「きゃぁっ!」

 唯は光る星を黒い顔に叩きつけると、再び駆けだした。

 一心不乱に、ひたすら明けぬ闇の中を走った。

 地面に落ちた星はかすかな燐光を残し、くすんだ小さな石の塊になっていた。


 ***


 「ああ、もしもし?」

 塚原セキシュウは携帯端末を耳に押し当てた。

 「そうか……そうか。我々も今着いたところだ」

 竜崎を自宅のマンションに降ろし、彼の車は神経精神治療研究センターの地下駐車場に停車していた。

 塚原は璃子と祥子に車を出るように促すと、短い会話を終えて電話を切った。

 表情が険しい。

 「会長、私はここでお待ちしています」

 「ああ、ありがとう」

 運転手の堀田に声をかけ、不自由な体に鞭打つようにして、塚原は足を速めた。

 そんな様子を見て、慌てて璃子が先を歩いた。

 障害物がないか確認するためだ。

 黒豹のエルフ‘アイエル’は行動も機敏だ。

 「よく気づくお嬢さんだね、璃子さんは」

 隣に付き添う祥子に塚原は声をかけた。だが、声の調子はあくまで厳しい。

 「……どうしたんですか? さっき車の中で少し仰っていた、シノノメさん――唯さんの異変ですか?」

 「そうだ。しかも、どうやら事態は急変して、もはや猶予がないようだ。大変申し訳ないが、今日急いで協力してもらわなければならない」

 「急変?」

 璃子が素早く病棟に上がるエレベータの扉を開けて待っている。

 急いで乗り込むと、すでに三階のボタンが押してあった。

 塚原は移動階を示すディスプレイを見ながらしばらく沈黙していた。

 「急変って……大丈夫なの?」

 璃子が不安そうに尋ねたが、詳しい状況が分からない今、祥子には何も言えなかった。

 塚原も慎重を期すためか、あえて言葉にするのを避けているように見える。

 エレベータが二階を過ぎたとき、塚原がふとつぶやいた。


 「……こんなことは初めてだ。彼が救いを求めてくるとは……」

 

 廊下に出た三人は速足で唯の病室に向かった。

 塚原の杖がたてる音が、やけに高く廊下に響く。

 引き戸のドアを開けると、入口に背を向けて座る白衣の人物がいた。


 「黒江君……」

 塚原の声かけに少し遅れて反応するように、白衣の人物は振り返って立ち上がった。

 「ああ、塚原さん……それにお二人とも……来て頂いてありがとうございます」

 黒江は軽く会釈した。

 「こ、こんにちは。えーと、シノノメさん……唯さんにはいつもお世話になってます……」

 璃子は何と言っていいかわからなかったが、とにかく頭を下げた。

 祥子はじっと黒江を見つめていた。

 誠実で優しそうな人だ。

 だが、ただただ――彼を見て思う印象は、‘疲れている’だった。

 落ちくぼんだ目に、血色を失った肌色。

 体格が変わってしまったのか、着ているコートタイプの白衣は皺だらけで大きすぎるように見える。

 そして――首筋に見えるひきつれた瘢痕。

 何度も何度も繰り返し行われたに違いない。

 CV――中心静脈点滴(Central Venous line)――心臓付近までカテーテルの先端を挿入して、高カロリーの点滴を強制的に注入する処置を繰り返した痕だ。

 見るだけで痛々しい。

 「それで、早速お願いしたいのですが……」

 黒江は言い難そうに口を開いた。

 この人物が声を荒げることなど想像もできないような優しい声だった。

 「お話は、ここに来る車の中で少しお聞きしました」

 「では……」

 「私たちのどちらかが、その――VRPIシステムで唯さんの意識の中に入ればいいんですね」

 祥子はそう言うと、璃子の方を向いて頷いた。璃子が軽く頷き返す。

 「事情からすると――医療関係者である、私が適任だと思います」

 「ですが……実は今急速に意識が混乱していて……彼女の意識に接触すると、あなたにも何らかの神経症状が出るかもしれません……」

 黒江はとても申し訳なさそうに言った。

 「それでも……私はやります」

 「すみません……ありがとうございます」

 黒江は深々と頭を下げた。

 祥子がふと見ると、傍らのベッドには以前見たのと同じ姿で唯が眠っている。

 夢を見ているようだが、心なしか悲しそうな表情をしている様な気がした。


 「シノノメさん……」


 雨はいつの間にか止んでいたようだ。

 部屋には暖かな茜色の日差しが差し込んでいた。

 介護する者がよほど大事に彼女の身体をケアしているのだろう。

 ベッドサイドは清潔で、良く整理されていた。


 「では、私と一緒に彼女に直結しているVRPIシステムの管制室に来てください」

 黒江はそう言いながらく様に足を踏み出した。

 璃子と塚原は見守る様にそっと唯の顔を覗き込んでいる。


 「待ってください」

 祥子に声をかけられ、ドアの前で黒江は立ち止まった。

 一瞬温和な彼の目に炎の様な灯がともるのを祥子は見逃さなかった。


 「何です……?」

 「ここで、一つだけ教えてください」

 「現在の病状ならシステムルームで……」


 黒江は慌てて祥子に背を向けた。焦る気持ち――内心の怒りを隠そうとしているように見える。

 意外に大きな背中を見て、祥子は確信した。

 ……例え一言も言葉をかわせなくとも、妻を守ろうとする不屈の意志。

 ドアノブを握りしめる黒江の手に力がこもっているのを見て、祥子の胸はいっぱいになった。

 この人はどれだけの物を自分の妻のために捧げてきたのだろうか。

 祥子は喉を詰まらせながら、言葉を継いだ。

 

 「黒騎士は……あなたなのですね」

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