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東の主婦が最強  作者: くりはら檸檬・蜂須賀こぐま
第18章 壊れゆく世界
117/334

18-3 逃亡

 サンサーラの海沿いには廃墟となった村が点在している.かつては漁業で栄えていた小さな村だ.アメリア大陸との交易が活発になり,住民が都市部に移住して打ち捨てられ,過疎化して廃村になったのである.

 シノノメとハメッドは逃げ延び,そんな村の一つにいた.ほとんどの家は完全に廃墟と化していたが,海のそばの船小屋は屋根と壁が残っていた.漁船を収容するために頑丈に作られていたらしい.

これなら何とか身を隠すことが出来ると考えたシノノメは,とりあえずの避難場所に選んだのだった.

 天井が高く,小さな天窓しかないので少し薄暗かった.

 シノノメは床に転がっていた船の櫂などを片付けて埃を払い,簡単に掃除して少しだけ休憩ができる場所をテキパキと作り上げた.普段不思議な主婦魔法を使っている身であるが,本当の意味で主婦らしい仕事なのかもしれない.

 魔法の絨毯を敷き,床に腰を下ろした.水圧洗浄掃除機を使ってMPを消費してしまったので,回復させなければならない.ハメッドも慣れない戦闘で随分消耗していた.

 シノノメはアイテムボックス――エプロンのポケットから,牛乳瓶を取り出した.

 「それは……?」

 ハメッドが不思議そうに見た.

 「しぼりたてジャージ牛乳味のポーションだよ」

 「ジャージ牛乳? それを言うなら,ジャージー牛乳じゃないんですか?」

 「違うよ.西の方に住んでる,ジャージを着た元気溌剌げんきはつらつな牛からとれる回復力抜群のミルクだよ.失礼します」

 説明すると,シノノメはごくごくと喉を鳴らして飲んだ.

 「はあ……?」

 「ぷはあ,牛乳はおいしいね.でも,これは一人分でMP回復がメインだから,ハメッドさんにはこれをあげる.これならHPもMPも回復できるよ」

 シノノメはそう言って琥珀色の液体が入った円筒形の瓶を取り出した.

 「何ですか?」

 「ウイスキー味のポーション,いびき二十一年だよ」

 ラベルに大きく漢字で‘鼾’と書いてある.

 「はあ……強力そうですね……」

 ハメッドはどこかで聞いた様な妙な名前に,首を傾げた.

 「そこにゴブレットがあったからこれに入れるね.ちゃんと洗ったから汚くないよ」

 そう言いながらシノノメが渡したのは,どうやら海神への供物を入れるための杯である.よく見ると船小屋の壁には日本でいう小さな神棚,祠のようなものがしつらえてあった.


 ……逃亡の身なのに,何だか郊外に酒盛りに来たようだ.

 少し調子が狂うハメッドだったが,シノノメはあくまで真面目な態度だったので,ポーションを口に含んだ.芳醇な香りが口腔内に広がり,たちまち体が熱くなった.

 

 「ちょっとアルコール分が多いかもしれないから,気を付けてね」

 「それはつまり,酔っぱらうっていうことですか??」

 「うーん,そうかも」

 天真爛漫で屈託のないシノノメの表情を見ていると,ハメッドの口元はわずかにほころんだ.

 窓の光に,宙に浮かぶ埃がきらきらと反射している.

 静かだった.

 ハメッドは高ぶっていた気持ちが少しずつ落ち着いていくのを感じていた.


 「シノノメさんは……本当に,マユリが言った通りの人ですね……」

 先ほどまでは口に出すのも苦しかった娘の名前が,ポロリと自然に口を突いて出た.

 「というと?」

 「すごく強いのに,ちょっと頼りない姉かドジな母親みたいだ,と言ってました」

 「えー,何それ?」

 シノノメが苦虫を噛み潰すような顔になったので,ハメッドは笑った.

 「……マユリちゃんは,自分から出て行ったの?」

 ハメッドの気持ちが整理され始めたことを察したシノノメは,そっと尋ねた.


 それは,少しでも自分の気持ちを吐露しやすいようにという,ささやかな気遣いだった.

 これこそ今までシノノメに欠落していた,表情やしぐさ,状況で相手の感情を類推する能力――感情移入の働きである.

 彼女の壊れてしまった心――脳は,仮想世界での様々な試練の中で,徐々に失ったものを取り戻しつつあった.だが,本人は気づいていない.


 「家出したというのは違います.今思えば……あれも全て,五聖賢とシェヘラザードの企ての内だったのですね」

 「どういうこと?」

 「マユリが難病で入院中であるということは,もう本人から聞かれたと思いますが……」

 シノノメは頷いた.

 「五聖賢の一人,ジャガンナートは,そういった現実世界の生活に不満があるような子供たちに目をつけて声をかけているのです.マユリにも以前からアプローチがあったようです」

 ポーションを注いだ杯をゆっくり口に運びながら,ハメッドはポツリポツリと語り始めた.

           

               ***

 

 “カカルドゥア政府の薬品研究所がテロリストの攻撃を受け,壊滅状態.”

 “犯人は,‘東の主婦’シノノメと‘聖騎士パラディン’ヴァルナ.”


 そんな広報ニュースがサンサーラの町を駆け巡ってすぐ,マユリは私邸の執務室にいた父に詰め寄った.


 シノノメはあくまで無実で,自分に会いに来た事.

 ハメッドの部下,アングリマーラが子供を売買する話をしていた事.

 アングリマーラと話していた謎の男の事.

 秘密の部屋に隠されていた,禁制の品々.


 それまで黙っていた全ての事をぶちまけ,もしナジーム商会が本当に子供の誘拐に関わっているならば,すぐに辞めてほしい,とマユリは訴えたのだ.そして,その事実を公表し,シノノメにかけられた無実の罪を取り去って欲しいとも言った.

 マユリは聡い子供だ.これ以上隠し事は出来ないと判断したハメッドは,残酷な部分――臓器を取り出していたこと――は除いて,アメリア製武器の密輸や奴隷の売買,薬を開発するための実験体にしている事を告白した.


 だが,その事実はマユリに衝撃を与えるには十分だった.

 自分を治療するための薬を開発する目的で,仮想世界とはいえ父が残酷な悪事に手を染めている.

 父が,現実世界の自分を犯す病が,ひいては父にそれをさせている自分自身が――マユリには許せなかった.


 「もう,私は……私が嫌.こんな私,いなくなってしまえばいい……」


 マユリが泣きながらそう言った瞬間――彼女の影の中からぬっと男が現れた.

 

 整った顔立ちだが,二重瞼の目がぎょろりと大きく印象的で,肌が浅黒い.

 口髭を生やし,短髪が緩くウェーブしている.

 ゆったりとした夜闇の様な群青色のマントを羽織っていた.

 男はマユリの後ろに立ち,そっと肩に両手をかけた.


 「お迎えに参りましたよ,マユリさん」

 男は軽く腰をかがめ,優しくマユリに語りかけた.

 「あなたは……?」

 「私は,カカルドゥアの五聖賢の一人,ジャガンナートと申します.人々を心安らかな彼岸に導くのが私の役目」

 ジャガンナートの声は低く優しく,就寝前の夢物語を語るように心の奥底に心地よく流れる.耳にしたマユリは,どこか人工的なにおいのする安らぎを感じていた.

 「あなたに招待状をお渡ししました. ご覧になりましたか?」


 ……いつまでも夢の中に留まっていたいと願う子らへ。

 この護符に祈るがいい。

 永遠に夢が続かんことを。

 さすれば、願いは叶えられん。

 やがて時は満つ。

 時来れば迎えられよう。

 すべての苦しみが無い世界へ。

 

 ジャガンナートは詩を詠む様に囁いた.


 「じゃあ,あなたが……」

 「はい,私が笛吹き男です.参りましょう.苦しみに満ちた世界を捨て,永遠の夢を見ましょう.もう二度と目を覚まさなくてもよいのです」

 ジャガンナートの声と言葉は,耳に心地よい.マユリは強い眠気を感じ,瞼が重くなった.


 「き,貴様! マユリから手を離せ! その子はどこにも行かせないぞ!」

 ハメッドはつかみかかろうとした.

 が,ジャガンナートに見つめられると身体が動かなくなった.

 「おや,心外ですな.ハメッド殿.私達五聖賢の力を知らぬあなたではありますまい?」

 「おのれ……」

 「あなたの娘さんは,私達と共にいる事を望んだのだ.辛く苦しい世界を捨ててね.……シェヘラザードによると,新しい画期的な薬が完成したという事だが……」

 「何! 何だって! じゃあ,その薬をよこせ! 私が協力したから出来た物じゃないか!」

 「だが,子供達の犠牲のもとに出来上がった薬を,マユリさんが望むかな? それに,私たちと同じ至高の人間になれば,もう,苦しむ事も無い.辛い治療も終わりだ」

 「そんな,そんな馬鹿な!」

 ハメッドは自分の意思に従わなくなった体を必死で動かそうとした.足を引きずり,肩を上下させ,必死で娘に近づいていった.

 「良いではありませんか.時々この世界にあなたも娘さんに会いに来ればいい.あなたがアクセスすれば,いつも笑顔の元気な娘さんがいる」

 ジャガンナートは群青色のマントを大きく広げ,マユリを包むように覆った.

 マユリはぼんやりと焦点の合わない目で父親を眺めている.


 「違う,そんな物はまやかしだ.私は現実の世界で,また二人で一緒に暮らすために,ただそのためだけに,あんなに惨い事を,汚い事をやったのに……!」

 ハメッドは足をもつれさせ,床に倒れた.それでも必死で身体を起こし,娘の身体にとりすがろうとする.


 「さ,行きましょう」

 ジャガンナートはマユリを連れ,ゆっくりと足元の影の中に沈み込んでいった.

 「由莉奈! うわああああああ,うわああああ!」

 ハメッドは声にならない声で絶叫した.

 後には赤い半蛇の獅子を染めた護符が一枚残されていた.


          ***


 「その護符が,これです」

 ハメッドは懐から護符を出し,シノノメに差し出した.

 護符は強く握り絞められたらしく,皺くちゃになっていた.

 「うん,それ,前にマユリちゃんに見せてもらったよ」シノノメは頷いた.「きっと,前からマユリちゃんを自分たちの仲間にしようと,ずっと狙っていたんだよ」

 「そうですね……私は結局,奴らの手の上で踊らされていただけという事です.無理は承知の上です.お礼はどんな形でも差し上げます.どうか,彼女を取り戻してください」

 ハメッドは床に手を突き,深々と頭を下げた.

 「お礼なんてそんな……マユリちゃんの事なら,頼みは断れないよ」

 「……ありがとうございます.私の不始末で,こんなことになったにもかかわらず……」

 「いいから,頭を上げて」

 シノノメに促されたが,ハメッドはうつむいたままだった.

 「折角うちの旦那さんに,治療するなら神戸の……遺伝子治療研究所の病院が良いって,教えてもらったところだったのに……」

 シノノメも少しうつむいて,空になった牛乳瓶を見た.

 「神戸の?」

 ハメッドは顔を上げた.

 「うん,何だか知らないけど,リケンとかと共同研究してるって.わかめスープの会社みたいだけど」

 「それは,理化学研究所のことですね? そうか.立ち入ったことをうかがいますが,シノノメさんのご主人は医療関係者なんですか?」

 「……神経外科のお医者さんなの.すごく手先が器用で,脳や脊髄や,細かい神経や血管まで治しちゃうんだよ.それに,それだけじゃないの.神経の再生医療や,超微小手術についての研究もしてるし」

 何故かシノノメは饒舌になっていた.

 「一緒にオーストラリアの研究所に行ったこともあるよ.共同研究の提携を結ぶために話し合いをしに行くって言って,私もついて行ったの.研究助手のおばさんたちととっても仲が良くて,結婚祝いにコアラのケーキを作って待っていてくれたの.そして……」


 ……あれ,喋れば喋るほど,言葉――想い出が出てくる.でも,何故だろう? 言葉が出るのが気持ちいい……


 少し得意そうに夫の話をするシノノメの様子を見て,ハメッドは目を細めた.

 「ご主人の事を誇りに思われているのですね.きっと仲が良いご夫婦なのですね」

 そう言われてシノノメははっと気づき,真っ赤になった.


 ……思わず喋っちゃった.一体,私,どうしたんだろう.


 それは,今まで話せなかったことに対する無意識の反動だった.これまでプライベートの事を仮想世界で話すのは嫌いだった――とシノノメは思っているが,記憶が曖昧なために言葉が出なかっただけなのだ.

 ハメッドとの会話は,彼女の記憶を少しずつ呼び起こしていた.


 恥ずかしくなったシノノメは慌てて話題を変えた.

 「でも,どうして私に頼もうと思ったの? お金があれば強い傭兵や,魔法使いを雇うことだってできるでしょう? もちろん,マユリちゃんのことはよく知っているから力になりたいけど,五聖賢ってすごく強いよ? お父さんは私の事なんてあまり知らないでしょう?」


 「はい,マユリと仲が良いからという理由だけではありません」

 ハメッドはゴブレットに残っていた琥珀色の液体を煽り,一気に飲み干すと,顔を引き締め,盃を置いて正座した.

 「それは……」

 言葉を継ごうとしたハメッドの額に,シノノメは妙なものを見つけた. 

 ――赤い光の点が映っている.

 これは!

 シノノメは反射的にその光の正体を直感した.

 「危ない! ハメッドさん!」

 シノノメは慌ててハメッドを押し倒し,床に伏せた.

 

 ブシュッ.

 ブシュッ.


 ガスが噴き出すような鈍い音がしたかと思うと,壁に二本の黒い棒状のものが刺さった.

 樹脂の様な,石のような奇妙な質感だ.だが,深々と壁に穴を穿っていることから,それが銃弾並みの威力を持つものであることは分かった.棒は明らかにハメッドの頭のあった場所を通ってきた.

 よく見ると,赤い光の点は二人の姿を探すように床の上を動いている.壁板の隙間を通り,狙う場所を探しているのだ.


 「あれは?」

 「あれ,きっとあの,何て言うんだっけ.レーザー光線.鉄砲についてるやつ.狙いを定めるの」

シノノメは動く点を睨みながら言った.

 「あっ! ……レーザーサイト,レーザー照準装置のことですね!」

 「でも,あんなものがついた鉄砲を持っている人なんているはずないし……」

 「いや,思い当たる人物が一人います.やはり五聖賢の一人,イシュタルです!」


 ブブブ……という鈍い音ともに,天窓から大きな黒いものが入って来た.


 「ドローン? ユーラネシアに?」

 

 それは,バスケットボールほどもある巨大なスズメバチだった.だが,体が半分黒い金属質の機械になっている.スズメバチはシノノメの言葉に反応し,宙で旋回すると尖った尻の先を向けた.先端に巨大な黒い針と,レーザーサイトのように光る照準器を持っている.先ほど発射したのはこの針だったのだ.

スズメバチはレーザーをシノノメに向けた.

 シノノメの額に赤い光が浮かぼうとする瞬間,シノノメは叫んだ.

 

 「グリルオン!」

 

 ドカン,と爆発音がして青い炎が立ち上る.

 キィ! と甲高い音をたて,スズメバチは消し炭になった.

だが,ブブブ……という鈍い音が小屋の外から聞こえてくる.一匹や二匹ではない.板壁の隙間を通り抜け,室内にはレーザーサイトの光が入り乱れた.


 「イシュタルは半機械化,兵器化した動物を使う女です! 死ぬ前は中東のテロリストで,豊富な武器の知識を生かした無人兵器の軍団を操るのです!」

 

 スズメバチの群れは次々と天窓から小屋の中に入って来た.

 レーザーサイトが光り,黒い棘が放たれる.


 「グリルオン! 両面焼き! ノンフライヤー!」

 

 シノノメは床を転がりながら連続して魔法を放った.

 スズメバチたちはあっという間に黒焦げになり,地面に転がり落ちた.

 

 「うー,ブルブル! キモい! でも,このくらいならロボットっぽいから何とかなるもん!」

 逆に半機械状のサイボーグだったのが幸いしてか,シノノメの虫嫌いによる思考停止は起こらなかった.


 「すさまじい威力だ……」

 ハメッドは目を剥いた.自分が見込んだ相手とはいえ,空飛ぶ小型装甲ドローンともいうべき兵器があっという間に倒されていくのだ.ヴォーダンの時といい,苦戦しているものの,五聖賢の圧倒的な力にシノノメは互角に対抗していた.


 「やっぱり追跡されてたんだ! 逃げよう! ハメッドさん!」

 「だが,どこに!?」

 「さっき友達に連絡したの! 海の方に逃げよう!」

 「海?」

 「おそうじハリケーン!」

 船小屋の壁を吹き飛ばし,シノノメとハメッドは飛び出した.

 遠くからブブブ……という不気味な羽音が聞こえてくる.増援部隊らしい.

 シノノメはウッドデッキを蹴り,走り出す.ハメッドは慌ててシノノメを追いかけた.


 「どこへ行くんです!? いや……いかん,これは! 奴らの狙いも海に追い詰めるつもりだ!」

 スズメバチの群れは,陸の方から迫って来る.

 長く海に突き出した桟橋をシノノメが走る.ハメッドもやむを得ず後を追いかけた.

 「くそっ,こちらに逃げるしかない……だが,シノノメさん,これは敵の罠です!」

 桟橋の床板を鳴らしながら,シノノメはそれでも走った.


 ボオオオオオオ…… 

 霧笛が聞こえる.

 沖合からカーブしながらやって来る船影が見えてきた.

 外輪を高速回転させ,同時に帆をいっぱいに膨らませて風を受け,白い波を蹴立ててやって来る.


 「あれ! アーシュラの船! 助けに来てくれた! 紅の鯨亭だよ!」」

 シノノメはハメッドの方を振り返って指さした.

 だが,ハメッドの顔はこわばっていた.

 「シノノメさん……あそこに……!」

 逆にハメッドが桟橋の先端を指さしている.

 シノノメはもう一度振り返った.


 自分たちと船の間を遮るように,いつの間にか桟橋の端に人影が立っていた.

 海の反射光を受けるその女性は,この世のものではないと思うほど美しかった.

 ゆるくウェーブした輝く金髪が揺れ,ゆったりまとったギリシャ彫刻の様な白い服が風にはためく.透ける体のラインは,完璧なまでに均整がとれていた.白く細い左右の手を腰の前で組み合わせている.

 抜けるように白い透明な肌に対照的な唇は深紅だ.


 「あいつです! あいつがイシュタルです! 死の兵器を操る美の女神!」

 「イシュタル……!」

 シノノメは睨みながら,それでも減速することなく相手の方に走っていった.


 「ごきげんよう,東の主婦」

 イシュタルは花が咲きこぼれるような満面の笑みを浮かべた.

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