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エセ勇者は捻くれている  作者: 星長晶人
第二章 迷宮都市

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外套の剣士は神の試練攻略会議に出る

週一更新はとりあえずこの章が終わるまで続けられそうです。


あと返信できてないプラス先週書き忘れてましたが、この章が終わったら『模倣』できるスキル一覧を作ろうと思います。

ちょっとこれから増える予定なので今すぐでなくてすみませぬ。

 意識が浮上する。ぼやけた視界に天井が見えて、何度か瞬きをして覚醒すると上体を起こした。


 ……大丈夫だ。寝る前の記憶はすぐに出てくる。


 俺は“水銀の乙女(ワルキューレ)”のメンバーであるネオンにかかった呪いを解くために魔法を行使し、魔力を使いすぎて眠るように倒れてしまったのだ。その直前に部屋へ戻ってきたところまできちんと覚えている。上半身だけ服を脱がされているのは、誰かが俺の眠った後にきちんとベッドに寝かせたからだろう。土足のまま入ってきたのに関わらず、ちゃんとベッドに寝転がっていたのが証拠だ。


「あ、クレト。起きましたか?」


 部屋にはクリアがいた。隣のベッドに腰かけている。こちらに気づいて微笑んできた。


「……ああ」


 少し倦怠感はあるが、体調は問題ない。


「クレトはやっぱり優しいですね。あの子、ちゃんと呪いが解けてましたよ」

「……別に。この街に来た目的の一つでもあるからな」


 解呪できていたなら良かった。あれでダメならまた方法を考えなければならなくなってしまう。面倒だ。


「ふふっ、そうですか」


 クリアはなぜか嬉しそうに微笑んでいる。……お前が勝手に俺を優しいと思うのは勝手だが、それで幻滅するなよ、メンドいから。

 俺はそう思いながらも、俺が何日眠っていたのかと尋ねてみる。


「クレトが眠ってから三日経ちました。その間に起きたことも報告しないといけませんが、それは道中でいいでしょう」

「……どっか行くのか」

「はい。SとAランクの冒険者全てが召集されています。Sランクで無事な者は全員来るようにとのことだったので、クレトが起きるのを待ってたんですよ」

「……お前は関係ないんじゃないか」

「私はAランクに昇格したんです。クレトの上にしないようにしてただけですから」


 まぁこいつも本来なら滅茶苦茶強いらしいからな。自己申告なのでどこまで本当なのかは知らないが、昇格するのも当然か。本当に強いなら近い内にSランクにもなるだろう。


「……わかった。なら行くか」


 俺はそう言ってベッドから下り身支度を整えて部屋を出た。


「……で、なんかあったのか?」


 報告があると言っていた。それについて尋ねてみる。風鈴亭には誰もいない。召集されているからだろう。ユリーシャに会釈しつつ風鈴亭を出て集会所の方へ向かった。


「はい。神の試練とかいうダンジョンが出てますけど、それの攻略は一旦見送って、今日から始まる神の試練対策会議によって方針を決める予定です」


 それでランクの高い冒険者が呼ばれているわけか。


「今日になったのはクレトの魔力が回復するのがあともう少しだったからですね」


 魔力の回復を感知して予定を合わせていたということか。なら目覚めてすぐに会議させなくてもいいだろうに。いや、そう悠長なことも言っていられないのか。ギルドとしても早く対策を立てて攻略開始しなければ街の住人達に不満が募ってしまう。ギルドとしても街全体で一致団結しなければこの状況に対抗することすらできないとわかっているのだろう。


「ただそこで一つ問題が起こりました。“狩り取る旋律メロディ・ザ・リッパー”というパーティが神の試練に挑み、二人を残して死亡したんです」

「……そりゃ随分と無謀なことで」


 少し考えればわかるだろうに、余程頭が足らなかったのだろう。それか自分達は神の試練くらい余裕で突破できる、と自信だけが増長していたのかもしれない。とはいえバカなことには変わりない。


「あんな弱いヤツら、とはいえSランクの冒険者が四人、Aランクが二人もいる強いと認識されているパーティです。それが一階層で全滅とは、ギルドが絶望するのもわかりますね」

「……一階層だけか」

「はい。戻ってきた二人の話によると、一階層毎にボス部屋があるらしいですね。そこで四人死んだと」

「……また面倒な」


 他のダンジョンのように十階層毎ならボスと戦う回数が少なく済んだというのに。だが帰ってきたということは、ボスを討伐することができたということだ。この間会った大剣使いの男ぐらいの実力四人で勝てるなら、メランティナやナヴィが苦戦するとは思えない。ただ一階層でそれなら百階層で待ち受けるボスはどんなに強いのか、って話だ。負けることは考えにくいが、苦戦することは予想できる。犠牲者は出るだろう。余計な戦力を投入すれば投入するほど。


「そうですね。ただボス討伐後に持ち帰った装備品はかなりいいモノだったそうで、次の階層以降が少し楽になるかもしれないとは言ってましたけど」

「……希望的観測だな。いい装備が手に入っても敵が強くなって難易度が変わらない、もしくは強くなっていると考えた方が妥当だ」

「その通りだと思います。クレトと私、同じ意見ですね」

「……誰もが考えつくことだろ」


 なぜか嬉しそうなクリアをあしらいつつ歩いていると、ギルド集会所に到着した。

 扉を開くといつもは酒場のような集会所内が、一つの大きな机を真ん中に置く形になっている。その周囲に冒険者らしき者達がいて、奥にいる顎鬚を生やしたおっさんがギルドマスターなのか、傍らにミリカや他の受付嬢が控えていた。


「ようやく来たか」


 入ってきた俺を確認すると、そのギルドマスターが渋い声で呟いた。俺はとりあえずメランティナ達のいる方へと近寄る。


「これでこの街にいる、無事なA、Sランクの冒険者全てが揃った」


 彼は俺が近づいてきたことを確認してそう口にした。

 大きな長方形の机を囲む形で集結した腕利き冒険者達。顔ぶれの中にネオンらしき幼女の姿があった。どうやらきちんと解呪できたというのは本当らしい。俺がいるのは丁度ギルドマスターの向かいだ。メランティナとナヴィの間になる。


「俺はギルドマスターを務めるゼイルだ」


 大半は知っていると思うのだが、改めて名乗った。


「諸君らに集まってもらったのは他でもない。このディストールの地に、史上五つ目の神の試練が誕生した」


 皆一様にゼイルへと視線を向けている。その目は真剣そのモノだ。


「しかも街の外に出られない上に連絡まで不可能な障壁まで築かれた上で、だ」


 事態は深刻だと訴えるように。


「事態は一刻を争う。物資、特に食糧は他の街からの補給で賄っている。しかし人ではなく物ならばその壁は擦り抜けられることがわかった。“水銀の乙女(ワルキューレ)”リエル、説明を」

「障壁は生物を通さない。魔力も通さない。武器も通さない。けど魔力もないただのモノなら通れると判明した。昨日来た商人に品だけ通してもらってやり取りはできた。書名を各地へ送り物資を送るよう要請してもらっている」

「破壊はできないのか?」

「触っただけで両腕を切り刻まれた。障壁を破れるとしても破った本人は確実に死ぬ」


 リエルは俺をちらりと見て言った。


「なんとか物資のやり取りはできる。でも増援は見込めない」

「そういうことだ。つまり諸君らの手で神の試練を踏破しなければならない。神の試練内部については、二人が詳しいだろう。“狩り取る旋律メロディ・ザ・リッパー”ベルゼド、ディルトーネ」


 ギルドマスターに呼ばれた二人へ視線が向けられる。

 片方は俺が切り刻んだ男だ。あの実力で生き延びたらしい。神の試練も大したことないのかもしれない。

 とは言っても生き延びたことを喜べる身体じゃないな。左腕は肩からなくなっていて、身体の所々に包帯が巻いてある。目は暗く沈んでいて、今もろくな反応を見せなかった。


 代わりに隣に立つ女は余裕そうな表情だ。黒い和服を着ていて胸元を大きくはだけさせた巨乳美女だった。煙管をくわえて悠々とした態度を取っている。あれだけ女に言い寄っておいてパーティ内に女がいるとは意外だったが。

 ……こいつ、よくよく『観察』してみると悪魔だな。メフィストフェレスと同等の実力があると踏んでいいだろう。正体をメロディのヤツらが知ってたかどうかは知らないが、よくもまぁ堂々としてられるな。


「んじゃ、あたしから説明させてもらおうかねぇ」


 煙管から口を放し煙を吹いてから、ディルトーネは笑う。


「あんたらも知っての通りあたしらは抜け駆けして神の試練に挑んだ。ここは隠す必要もないことさ。そして第一階層のボス相手に四人殺されたが、討伐してここにいるってわけだね」


 仲間が殺されたというのに平然と語る様に大半が眉を寄せた。


「元々あたしは助けを求められたら戦うって契約で入ってるんでね。こいつが助けを求めてから参戦したんだよ」


 それらの視線を受けて肩を竦める。その契約が本当なら彼女は他五人より立場的に上だということになる。まぁ悪魔だろうから当然か。となると悪魔として契約、その後人間の姿でパーティ加入したと考えるのが妥当だ。


「あそこは並みの冒険者じゃ太刀打ちできない。見てた限りじゃAランクでも雑魚相手に一対一が精々だろうね。そしてボスと戦うなら神級クエストに単独で挑めるだけの実力がないと一人で倒すのは無理だ。もし全員Sランクだったとしても五階層ぐらいで全滅するんじゃないかね」


 さほど危機を感じていないような口調で語った。それに絶望する者はいたが。


「ここにいるメンバーで神級に単独で挑めるとなると」


 ギルドマスターは全体をゆっくりと見回し該当する一人ずつに視線を止める。


「“水銀の乙女(ワルキューレ)”セレナ」

「“狩り取る旋律メロディ・ザ・リッパー”ディルトーネ」

「“超越せし金豹”メランティナ」


 メランティナの異名は初めて聞いた気がする。

 そして、とギルドマスターはなぜか俺へと視線を合わせた。


「“外套の剣士”クレト」


 まさかとは思ったが、決定的なことを言いやがった。

 ミリカに視線を向けると首を振って否定された。……ならあの街のギルドマスターみたいに街へなにかを張ってたってことか。だがまさかここで言うとはな。


「なっ!?」「外套の剣士だと!?」「嘘よ、全然イケメンじゃない!」「バカな、あんな冴えないヤツが!?」「弱そうじゃねぇか! 嘘つくなよ!」「なわけないよな、俺らを試してるんだろ!?」「私の王子様を返して!」


 散々な言われようだった。

 口々に俺が外套の剣士であるということを否定し、偽者だなんだと言う。


 しかしそれも僅かな時間でしかなかった。


 俺の周囲から濃密な殺気が吹き荒れたのだ。


「クレトをバカにするとはいい度胸ですね」

「ええ、ホントに」

「オレの師匠をバカにするんじゃねぇよ」


 クリア、メランティナ、ナヴィから放たれたモノである。


「……は、はっ! そこの二人は兎も角お前はAランクだろ? 凄まれたって――」

「ならあなたと他にクレトをバカにした人達全員殺せばいいですか?」


 クリアを嘲ろうとして、瞬時に『硬化』した水の刃がその全員へと突きつけられていた。……事前に張ってたわけじゃないな。今さっき伸ばしたモノだ。クリアも百年で消費した魔力を取り戻し始めてるってことだろうな。

 喉を引き攣らせて黙るそいつらを見て満足そうにした後、クリアは水の刃を引っ込めた。それに安堵したような様子のAランク冒険者達。残念ながらここまでのことがあってもベルゼドに反応はない。余程心が病んでいるのだろう。


「……ギルドマスター」

「なんだ?」

「……俺に喧嘩を吹っかけたいならそう言え」


 俺はそう言って、殺気を収めた三人の代わりに三人の殺気を『模倣』した束ねた密度の殺気を放った。


「「「……っ!」」」


 顔面蒼白になる俺と関わりのあまりなかった者達だが、ギルドマスターは額に冷や汗を流しつつも俺から目を逸らさなかった。……それなりの覚悟はあるようだな。


「……それは口外するなとミリカに伝えてあるはずなんだが、伝わってなかったか?」

「無論、聞いている。だが神の試練に挑むのなら、こうして正直に協力を得るしかない」

「……そうか」


 俺は目を閉じ殺気を収める。瞬間、何人かが膝から崩れ落ちた。


「今回君の正体を知らせたのは他でもない。君がいなければ神の試練攻略は不可能だと思っているからだ」


 ギルドマスターはそのまま語り出した。


「君が魔力不足で倒れる前、“水銀の乙女(ワルキューレ)”を中心として解呪の魔法が使える者が風鈴亭へと集まった。図書館から書物も持ち出した。そして君の下で解呪の魔法をそれぞれが使った。その後同パーティのネオンの下で君が全ての解呪を掛け合わせた魔法を行使した」


 ギルドマスターはそう告げた。再びここの面々に衝撃が走る。


「俺はギルドマスターとして、この街全体に『魔法感知』を張り巡らせている。ディストールで使われた魔法の情報は全て俺に筒抜けだ。状況から得た情報と君が行使した魔法を考えれば一つの結論に至る」


 ギルドマスターはそう言って、しばし間を置いて結論を口にした。


「君は、見たモノをコピーするスキルを持っているのではないか?」


 よくぞそれに気づけたな、などと余裕ぶることはできなかった。

 よくも俺の手の内をこんな大勢の前でバラしてくれやがったな、という感情だけだ。

 沸々と俺の中に黒い感情が湧き出してくる。


 ……否定するのは簡単だ。だがそれでは解呪の魔法に説明がつかない。


 真にチートな目にしただけで仕組みを理解でき、改善した上で行使できる“本物”とは訳が違う。俺は偽者だ。コピーしただけの模造品だ。なによりやったらなんかできちゃった、ではなくできるだけ隠していたいという俺の狡さが裏目に出た結果とも言える。


「……だとして、俺になにをさせたい」


 俺は努めて静かに言葉を発した。


「ここにいる全員のスキルをコピーし、君単独での神の試練攻略を頼みたい」


 ギルドマスターの決意を秘めた言葉に、「「「はあぁ!?」」」と何人かがハモって聞き返した。

 ……なるほどな。俺という個人を度外視すれば、最も犠牲者が少ない方法だろう。ふざけるなと言いたい。


「ふざけんな! あんたがいくらギルドマスターだからと言って、こんな得たいの知れないヤツに俺らが培ってきたスキルをコピーさせろっつうのかよ!」

「そうだ」

「ふざけないで! 私達だってAランクの冒険者よ! 私達が足手纏いだって言うの!?」

「そうだ」

「「「……っ!」」」


 Aランクの冒険者達が喚こうが、ギルドマスターの意思は変わらないようだ。誰もが皆ギルドマスターに敵意に等しいモノを向けている。特に“水銀の乙女(ワルキューレ)”やクリア達は敵意だと思われる。


「俺が考えた結果、これが最も確実で効率が良く、尚且つ最も犠牲者が出ない方法だ」


 ギルドマスターは自分の考えを全て吐き出したようだ。集会所内は静まり返っていた。ギルドマスターの確固たる意思が、現状の重大さを意識させるのだ。

 ……つまり彼は、俺が思っているよりも事態を重く見てるってことだな。俺はベルゼド程度のSランク四人でもほぼ全滅ならメランティナを含むSランクの中でも強い冒険者でパーティを組めば攻略可能だと踏んでたからな。メロディの連中もギルドマスターから見れば同じSランク。百階層にも及ぶ神の試練を攻略するには不十分と見たのだろう。

 そして今回のは半分賭けだ。俺が本当に他人のスキルをコピーする能力を持っているかも確かではない。コピーできるとしても上限があるかもしれない。俺が単独攻略を引き受けるかどうかもわからない。だが他の冒険者でも神の試練は攻略できるかわからない。


「……なるほど。ギルドマスターの話はわかった」


 静寂の中、俺は声を発した。


「……確かに俺独りが行くのが最も確実だな」

「なら――」

「……だが選択を間違えたな」

「な……」


 俺はギルドマスターへと厳しい視線を向ける。


「……ギルドマスターとしては俺独りに攻略を任せるという判断は正しい。スキルをコピーするスキルを持っているという推測ができれば、ダンジョンという万が一の対策が物を言う場所において対応力の高さという点で郡を抜く。そんな冒険者がいれば、今回俺がやったように解呪の魔法を掛け合わせて最高位の魔法を創るというような奇跡にも等しい理論上の出来事を引き起こせる。それなら神の試練にも対応し得る。しかも例え俺がダンジョン内で死んだとして、新たにSランクを集めて攻略に向かわせ、攻略できたんならその誰かに外套を被せて(・・・・・・・・・)外套の剣士は生きている、ってことにしちまえば問題ないもんな。俺が外套の剣士だと知る者はここにいるヤツらぐらいで、他のヤツへも口封じを考えておければいい。なぁ、ギルドマスター?」


 なにせ正体不明の強者とされている。いくらでも利用はできるだろう。

 だからこそ俺は口端を吊り上げて笑った。彼は目を見開き、俺がそこまで見抜いたことを驚愕している。この程度、誰にでも思いつくだろう。なにせ外套の剣士は使いやすい。


「……確かにギルドマスターとしては正しい判断だ。なにせ俺独りが神の試練に行けば他の誰も傷つかない。街の人には外套の剣士が攻略に向かっているとでも言って不安を払拭すればいい」


 だが。


「……人としては判断を間違えたな。あんたは、本当ならA以上、もしくはBでも上位の冒険者を集めてこう言うべきだった。『神の試練を攻略するために君達の力を貸して欲しい』ってな。そうして冒険者による神の試練攻略部隊を構成した上で大規模な集団による攻略を指揮するべきだった」


 少なくとも俺はそう思う。せめて、俺独りに押しつけるべきじゃなかった。俺という利用しやすい個人のみを使うのではなく、全力で頑張ってみるべきだった。

 最も確実で効率のいい方法ではなく、全員にとって最善な方法を取った上で攻略してみようという熱意を見せるべきだった。その上で途中から俺が独りで挑むと言い出すように仕向けるなら、言い訳も立ったモノを。

 ……とはいえ、もう遅い。俺はギルドマスターを、この街を見限ることにする。だがダンジョンコアは欲しい。神の試練は攻略する。それで、この街とは終わりだ。壊滅しようが繁栄しようが俺の知ったことではない。


「……だが別に断る気はない」

「な、に……?」

「……当たり前だ。冒険者ギルドのマスターが、俺に『独りで攻略していい』って言ってきたんだぞ? その中にある財宝も、貴重な素材も、報酬である恩恵も装備も全て、俺のモノにしていいってんだ」


 俺はできるだけ悪どく見えるように笑った。


「……なら断わる理由はない。なにせ公式から、独り占めしてどうぞと言われたんだ。まさかとは思うが、独りで攻略しろって言っておいて集めた素材はギルドで回収するとか言わないよな?」

「……あ、当たり前だ」


 もちろん嘘だろう。神の試練は攻略できるのなら宝の山だ。独占を許すわけにはいかない。大幅な利益となるからな。だが俺独りにやらせる手前、人前でそう口にはできない。なにはともあれ言質は取った。これで素材などを独占しても公には文句を言えないというわけだ。


「……良かった良かった。冒険者の長としてこの街を預かるギルドマスターが、そんな人でなしでなくて」


 俺は嫌らしい笑みを浮かべて言った。彼の目に少し悔しげな色が混じる。……考えが甘いな。目の前にいて俺の『観察』から逃れようなんて、ギルドマスターと言えど甘すぎる。それと俺の腐った思考回路を読み誤ったな。俺がネガティウな思考回路をしていなかったらダンジョンで得たモノは自分のモノになると思ったはずだ。どうせ「これはギルドや他の冒険者と決めた方針だ。なら彼らにも報酬を得る権利があると思わないか?」とか言って俺から奪うつもりだったのだろう。


「……当然俺も独占したいからな、断る理由はない。だが受けない理由ならある。一つだけ、条件がある」

「その条件とは?」

「……そこの、ディルトーネって言ったか。あんたが真の姿を見せてくれれば、な」

「へぇ?」


 俺の言葉に、せせら笑うように人共を見ていたディルトーネが笑った。


「これでいいのかい?」


 彼女の煙管から出た煙が彼女を覆ったかと思うと、姿が変わった。元々見た目は人間だったはずだ。だが変わった姿は正しく悪魔。背中から生える蝙蝠のような翼に、頭から生える角。ふりふりと揺れる黒い尻尾やその身から放たれる禍々しい魔力。衣装こそ変わらなかったが紛うことなき悪魔の姿だった。


「「「っ!?」」」


 その姿に部屋中から驚愕と警戒が放たれるが、ディルトーネはと言えばすぐにまた煙で覆われて元の姿に戻ると、そんな他のヤツらが目に入っていないかのように俺へと視線を向けた。


「面白いね、坊や。なんであたしが『変化』してるってわかったんだい」

「『観察』してればわかる。人っぽさがズレてるんだよ」


 俺も明確に理由を挙げられるわけではない。ほぼ勘に近い、「あっ、こいつ人のフリしてるな」という感覚のおかげだ。


「そうかい。それはそれは、気をつけないとねぇ」


 彼女は信じた様子もなくおどけた調子で肩を竦めた。胸元が大きくはだけているせいで目のやり場に困る揺れ方をする。


「あ、悪魔だと……」

「……なんだ、この街の魔法は感知できるらしいから、てっきり知ってるもんだと思ってた」

「気づかなくて当たり前だよ。なんたってそれを調べてからディストールに入ってるからね。この街に来てからあたしは一つも魔法を使ってない。なにせ魔法の種類までバレちまう。あたしの魔法は悪魔だけが使える魔法なんだ。使ったら一発で正体がバレちまうだろ?」


 ディルトーネは震えるギルドマスターへ説明してやる。……シヴェリアーナは獣人特有の優れた五感で怪しげな気配を探ってたな。俺が黒いゴブリンと戦ったのも、事前に知ってたとかだったかな。

 ギルドマスターなら街の危険を守るための工夫を張り巡らせていると考えるべきだな。

 ……しかしあっさりバラしたな。バレても問題ないってことか。


「……じゃあ俺は神の試練に挑む準備に取りかかるとしよう」

「あ、悪魔は……」


 ギルドマスターが驚いた様子で俺を見てきてので、口端を吊り上げて言ってやった。


「……なんだ、神の試練を独りで攻略させた上に、悪魔の対処もしろっていうのか? 職務放棄か、ギルドマスター。そういうのの対処はあんたの仕事だろ?」

「……っ」


 神の試練を攻略できるほどの強さを持った俺に一つを押しつけすぎるとギルドマスターとしての地位が揺らぐ。それは効率的な方法を取っているという風に見せられず、他の冒険者の実力を信じていないという見方をされてしまうからな。


「はははっ。いいじゃないか、あんた。ゼイルあんた、坊やを侮りすぎたねぇ」


 ディルトーネは唇を噛むギルドマスターを笑った。彼は「気安く名前で呼ぶな」と言いながらディルトーネへ険しい視線を向ける。


「悪魔がこの街になんの用だ」

「簡単なことだよ。あたしはこいつらに雇われてここにいる。元々この街に用はないさ。もちろん、この街に来たからには趣味の実験は行ったけどね?」

「なんだと?」

「あたしはこいつらに、『ダンジョンを改竄する方法を教えてくれ』って言われた。コアを弄る方法を教えてやったわけさね。それをなにに使ったかなんて知らないけどねぇ」


 しかし彼女は赤紫色のパッツン幼女とナルシストイケメンを見ていた。明らかにどんな改竄をしたのか知っている。……その方法は知りたいな。ダンジョンコアを、機能を失わせずに回収する方法も知ってるかもしれないし。


「趣味の方は簡単だよ。果たして神の試練は出来るのか」

「なにっ!?」

「実験は大成功、見事神の試練が出来上がった。とはいえ最後のトリガーはなんだったのか、わからないままなんだ。またやり直しかね」

「ふ、ふざけるな! ではこの状況を君が作ったというのか!」

「まさか。あたしがいくら魔王直属の配下だからって、こんな障壁は張れないさ。神の試練を創った存在がいる。そいつらの仕業だね。あんたらの言う神様、とは違うんだろうけど、神紛いの偉そうなヤツらだよ」

「悪魔の言うことを信じるとでも?」

「信じるも信じないもあんた次第だよ。でも『魔法感知』したならこの障壁がどんな魔法で発動してるのか知ってるんだろう?」

「……」


 ディルトーネの言葉にギルドマスターが頷いた。

 彼女の言うことが正しければ、神紛いの何者かが神の試練を創り俺達を閉じ込めたことになる。おそらく『神聖術』などで言うところの神とはまた別なのだろう。


「『神術』の超常遮断障壁、と出た」


 『神術』がなにかは知らないが、言ってしまえば魔法ではないのだろう。だが人が魔法として定義するモノに近いから魔法として感知された、のではなく神が行ったモノだと認識させるためにわざと感知させたのだろう。厳密には魔法ではないのだから、『魔法感知』に引っかかることはあり得ない。


「ん、魔法じゃないね。……そういうことかい」


 ディルトーネもそう言ってにやりと笑っていた。おそらく彼女、魔王側の人間はその神紛いが何者かを知っている。だからこそなにをしたかはわからなくても、誰がやったかはわかるのだろう。それで鎌をかけたのだ。


「まぁいいさ。それがわかれば僥倖だ。さて、あたしを討伐してみるかい、ギルドマスター?」

「当然だ。魔王配下だと言ったな。ならここで倒す」

「そうかい、残念だ。じゃあ死んどくれ」


 ギルドマスターの勇ましい言葉を聞いて、冒険者達が各々の武器を構える。だがもう遅い。いつの間にか煙が室内に蔓延しており、それが意思というか物体を持ったかのように動き冒険者達を絞め殺していく。逃れられたのは、トップパーティ二つと俺達、そしてギルドマスターと受付嬢だけだった。


「……煙い」


 俺は床を踏みつける要領で足を振るい、周辺から煙を払った。


「やるね、坊や。あたしの煙はそう簡単に払えるもんじゃないんだけど」

「……真の姿じゃないから力半分以下とかそんなところだろ。煩いのを減らすのに都合がいいからやっただけだな。ある程度実力のある者だけを残して、本題に入るつもりか」


 ディルトーネはまた肩を竦める。俺が下らないとばかりに言ってやると、笑みを深くした。


「よくわかったね。話が早くて助かるよ。あたしはあまり自分が動きたくなくてね」

「……ダンジョンを改竄する方法を教えたのは事実だろうが、それ含めて本当の目的と見た。あれか、神紛いのヤツらと実際距離を近づけて、居場所を特定するとかそんなところか?」

「いい読みだねぇ。そう、それが本当の目的さね」

「……っていう嘘は兎も角。狙いは神の試練そのモノだな? 考えるに、神の試練を魔王の城にでも改築するんだろ?」

「っ――」


 ディルトーネの煙管から煙とは思えないほどの速度で手が伸びてくる。腰の剣を抜いて斬ったら霧散した。……斬れるのか、あれ。


「……あんたやっぱ、ここで殺しといた方がいいね」

「……そうやって怒りを見せる癖に今の弱い攻撃ってことは、他にも目的がありそうだな。ああ、そうか。ここの立地か。ダンジョンが延々と形成されるここが欲しいのか。なるほど、それなら神の試練が出来るかどうかにも説明がつく。なにせ、神紛いがタダでいい装備を配ってくれるんだからな。魔王軍強化に持ってこい、ってわけだ」


 俺がそう言った瞬間、ディルトーネの気配が消えた。おそらく気配を煙で包んで消したのだろうが、それは奇襲をかけると宣言しているようなモノだ。俺がすぐに剣で後ろを防御すると、がきぃんと煙管が叩きつけられた。後ろを見れば悪魔の姿になったディルトーネがいる。


「これを防ぐか!」

「……ご丁寧に気配消せば奇襲するとわかるだろ」


 言い合っていると、横から蹴りがディルトーネに叩きつけられた。金の軌跡が描かれ彼女の身体が吹き飛ぶ。


「がっ、く……」

「クレトに手を出すなら容赦しないわよ」


 メランティナが続けて、私だけじゃないけどと言ったのに応えるかのように壁に叩きつけられたディルトーネへと近づいたナヴィが拳を振り上げていた。その手には『黒魔導』を纏っている。


「オレも忘れんなよ!」


 笑いながらその拳を振り下ろし、ディルトーネの身体がばきばきと床へ沈んだ。まともに受けたらしく口から血を吐く。……あれ? 弱くないか?


「トドメだな」

「……待て、ナヴィ」


 俺は倒れるディルトーネへと再び拳を振り上げたナヴィを制止した。

 とりあえず俺の中の違和感を払拭したい。


「……おい。例え奥の手があったとしても弱すぎるぞ。そんなんじゃあの白い悪魔にすら負ける。お前そんなに強い悪魔じゃないのか?」


 俺がそう言うと、ギルドマスターやトップパーティが唖然としていた。なにせAランク冒険者達があっという間に殺されたのだからな。それを弱いと言われれば驚きもするか。


「失礼な、坊やだね。じゃあ魔王軍として、名乗ろうか?」


 ディルトーネは血を流しながらよろよろと立ち上がる。


「あたしは魔王軍幹部魔王直属“大罪の体現者(カーディナル・シン)”が一人、『怠惰』担当。ディルトーネだ。よく覚えておくんだね」

「“大罪の体現者(カーディナル・シン)”だと!? あれは先代勇者が滅ぼしたはずでは……!」


 大層なネーミングだが聞き覚えはない。皆が警戒を強めたので余程有名なのだろう。……おかしいな。メフィストフェレスがいるんだから怠惰を司る悪魔ならベルフェゴールだと思うんだが。


「あたしらは襲名制でねぇ。滅ぼされたら次の悪魔が大罪の名を冠するだけさね」

「……おい。じゃあなんでそんなに弱いんだよ。あの白い悪魔なら俺達を相手にした上で勇者まで相手にできるぞ」


 『昇華』を使ったメランティナの蹴りをくらってあれだけしか飛ばなかったのだからそれなりには強いのだろう。しかしあいつが獣の姿になった時はその上で勇者君とその仲間、シヴェリアーナまで加わって足止めできる程度だった。

 名前すら知らない悪魔がそこまで強いとは思えないのだが。いくら獣と契約していたとはいえ。最初勇者や俺を圧倒していたのだから、獣の姿を抜きにしても相当な強さだ。


「白い悪魔? もしかして、あの非力な“絶望”の悪魔のことかい?」


 あいつが非力なわけないだろう。剛毛はあの時剣で斬れないくらいだったぞ。


「……じゃあ聞くが、ベルフェゴールの名前に心当たりは」

「知らないね、そんな名前。なんの名前だい?」


 ……嘘は、言ってないな。


「……じゃあメフィストフェレスの名前は」

「メフィストフェレス? なんだい、それ?」


 ……これも嘘じゃない、か。


「……ああ、くそ。わけわかんねぇ。おい、ディルトーネ。手を組め。ここで殺さないでおいてやる代わりに協力しろ」

「悪魔の、しかも人間に敵対する魔王軍のあたしにかい?」

「……それが事実なら、お前らの魔王様を狙ってるヤツがいるんでな」

「勇者が召喚されたのは知ってるよ、噂は早いからね」


 ……じゃあなんで俺の存在を知らないんだよ。俺が異世界人だと知った上でスキルも把握してるのが普通だろ。


 さて、どちらを信じればいいのか。どちらも信じるに値しないが。口裏を合わせて俺を翻弄している可能性もある。だがディルトーネはあの性悪女よりマシそうだ。手を組んで話を聞くならこちらに決まっている。


「……じゃあ白い悪魔の上って誰か知ってるか?」

「なに言ってんだい。あいつは誰の下にもつけられずに捨てられた、はぐれ悪魔だよ」

「……白い悪魔を手中に収めて力を与えた、強い悪魔がいるって言ったら?」

「そんな物好き聞いたこともないねぇ。なにせあいつは落ちこぼれ、直接的な攻撃手段に乏しい“絶望”の悪魔さ。地力で言えばあたしの三割に満たないだろうね」

「……それがおかしいんだよ。だから手を組め、って言っただろ。こっちの知る情報を伝える代わりにそっちの情報も寄越してもらう。断るなら仕方ない、ここで殺す」

「殺れると思うかい?」

「……ナヴィの一撃を避けられない、受けても血を吐く。その程度の実力で俺から逃げられると思ったら大間違いだ」

「……」


 「そうだそうだ、師匠は強いんだぞ!」じゃないんだよナヴィ。今真面目な話してるからちょっと黙って。


「……今から五秒以内に答えを出せ。さもなくば殺す。断っても殺す」

「とりあえず話し合うってのは」

「……四」

「待っとくれ考えるから」

「……三」


 考える暇は与えない。与えれば策を思いつく。


「……二」

「わ、わかった。でも条件が」

「……一」


 俺は剣を構えて『黒魔導』を剣に纏わせる。加えて雷と風と『白魔球』を纏わせ、剣の力で発火させた。そこから放たれる魔力は、俺がディルトーネから感じる魔力のおよそ二倍ぐらいにしてある。これで彼女が本気なら死を予期してもいいくらいだろう。


「……ぜ」

「組む! 組むよ、組むから!」


 俺が剣を振り下ろそうと柄を握る手に力を込めると、直前で慌てたようにそう言った。……ホントに慌ててるように見えるな。ならいいか。


「……そうか。それは良かった」


 しかし剣は軽く振り下ろして斬撃を放ち、ディルトーネの眼前で消えるように調整する。彼女は身体を硬直させているが、そこに俺は歩いて近寄り、剣を収めた。そして手を差し伸べる。


「……賢い判断のできるヤツは嫌いじゃない」


 にっこりと、俺ができる最大限の爽やかな笑顔で言った。


「クソくらえだね」


 ディルトーネは言いながらも、俺に敵わないという判断をしたのか大人しく手を握る。手を引いて立たせてやった。手を放して机の方にいる者達の方を向く。


「……さて、ギルドマスター。俺はこれから神の試練に挑む。ちゃんと、外套は着ていってやるよ」

「人間の裏切り者が、生きて帰れると思うのか?」

「……あんたは賢くないな、今のを見ても俺に殺されないと思ってるらしい。あんただけでなく、街の人達を含めてな」

「市民に手を出す気か」

「……俺は残念ながら英雄でもなければ勇者でもない。ただの人間だからな。俺は俺独りに面倒なことを押しつけてきたあんたのいるこの街を見限った。だから殺してもなんとも思わない。それに、この街に守るだけの価値があるとは思えなくってな。……まぁ、要は嫌いなヤツらを殺すのに躊躇する、なんて人間だとかどうとか関係ないだろ?」


 だから、あんたは間違えたと言ったんだ。俺が強者だと睨んだなら公に俺へ押しつけず秘密裏に俺の単独攻略を促すように画策するのが良かったとは思うが。でもそれは結局バレそうだな。まぁ俺を利用しようとした時点で失敗だった、ということにしておこう。


「……なんてことだ」

「……そう落ち込むなよ。ちゃんと神の試練は攻略してやる。その後で俺を指名手配するなりなんなりすればいい。俺も、これが終わったら冒険者を辞めようと思うしな」

「なんだと」

「……それもあんたの判断の結果だ。こんな面倒事を押しつけられるなら、冒険者としてやっていく意味はない。人間に味方する気もさらさらない」

「……」


 俺が言うと、ギルドマスターはがっくりと肩を落とした。


「……さて、行くか」


 俺はメランティナ達に告げて、ギルド集会所を後にする。もちろんディルトーネは腕を引いて来るようにさせた。


「……私達も行っていいか?」


 そこで“水銀の乙女(ワルキューレ)”のリーダーたるセレナが俺に聞いてくる。


「……好きにすればいい」


 俺は簡潔に応えて集会所を後にしようと扉に手をかけた。


「クレトさん。神の試練、生きて帰ってきてくださいね」


 まだミリカは俺のことを見限らないらしい。Aランクの冒険者達を見殺しにした時点で見限っていいと思うのだが。

 俺はミリカには応えずに、集会所の扉を開き外へ出た。

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