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「くっ、離せ!俺を誰だと思っている!!何者だ!汚い手で俺に触るな!」

「・・・・・・うっそーん。」

「しっ。静かにしないとバレる。」

 

のっけから暴力的場面に遭遇してちょっと泣きそうです。自分の不運さと男たちのお仕着せの悪役っぷりと少年のイタすぎる発言に。


「だれだっ!」

「見られたぞ!」

「そりゃあ、こんな堂々と裏路地で誘拐劇を繰り広げていたら見ますわよね。」

「突っ込むとこそこなんだ。というか、なんだか騒ぎが起きそうな道じゃないこと?ってズンズン進んで行って、ものの見事に騒動に巻き込まれる、そのトラブル体質には驚くを通り越して呆れるよ。」

「え〜、だってお目付役もいませんし、せっかくの王都ですし色々見て回りたいじゃありませんの。」

「その気持ちわからなくもないけど、護衛なしに危険に進んで突っ込んでいくっていうのはどうなのさ?僕ら強いけど子供なんだよ?」

「ですけど、大人がいたらこのような裏路地止められるに決まってますわ。」

「僕も止めたけどね。無視して行っちゃったけどね。僕が危ないことに巻き込まれたくなかったから止めたけど、勝手に行っちゃうんだもん。まぁ、なにも着いてかなくてもよかったけど、どうせ暇だったし。心配したわけじゃないからね。」

「ありがとう、うれしいわ。」

「ふんっ。」

「無視するな!」

「助けろよ!」


 セルアとお話ししている最中に割り込んで入ってくるのはマナー違反だと思います。

 しかもどう見ても典型的な悪役と上流階級の子息ですね。


「おいお前!お前この国の上流貴族の娘だろう!貴族なら俺を助けろ!!」

「なんで貴族の娘がこんなところにいるんだ?!」

「知るか!だが、見られたんならしょうがない!一緒に連れて行こう!」


 黒服悪役がじわじわと距離を縮めてきます。それにしても、言動が正に悪役(さんした)の典型的パターンですね。

 相手が三、四人程度だったら簡単に退治できそうですし。


「うふふ。」

「まさかやるつもり?」

「だって面白そうじゃない。それに、逃げるよりこちらの方が確実に逃げられます。」

「あの子供、連れ攫われてるよ?」


 セルアが指差した先にはグッタリとした少年が男に攫われるところでした。


「なんで逃げなかったのかしら。無能ねぇ。」

「普通の貴族の子供には無理だよそんな芸当。」

「セルアだって出来ますでしょう?」

「あの三人とあなたに鍛えられているのに、出来なければマズイでしょう。僕だって最初は本当に使い物にならなかったじゃない。」

「それもそうね。」


 じゃあ、私たちの目の前の悪役だけ倒して去りましょうか。


 そう小声で話すと、セルアは眉をひそめながら何か考え事をする。


「どうかして?」

「いや、あの子供、何処かで見たことあるんだよね。でもどこで見かけたか思い出せなくて。王都にいた頃は親に連れられていろんなお屋敷に行ったからなぁ。」

「とりあえず上流階級の子供なのね。」

「うん。それは間違いない。」

「でしたら、私たちも一緒に捕まった方がいいかしらね。ここで目の前の悪役を片付けるのは簡単ですけど、向こうの悪役はその間に逃げおおせますわね。子供を助けて親に恩を売るのもアリかしら。」

「悪どいね。」

「チャンスを無駄にしない敏腕商人と言って。」

「アキンドってなにさ・・・?」


 そんなこんなでセルアと今後の流れを確認し合い、私たちはそのまま大人しく黒服悪役に捕まることにしました。


 さて、どうなるのかしら?少しは楽しませてくれるのかしら?



 ◇



「おいお前!何で俺を助けなかった!!」

「・・・張り倒していいかしら?」

「その意見否定しないけど、余計五月蠅く喚きそうだからヤメテ。」

「なんだお前ら!俺を無視する気か!?二人で勝手に話を進めるな!!」

「・・・やっぱり沈めましょう。無理です。煩いです。イラッとします。」


 お目覚め開口一番文句はないと思うのは私だけではないと思います。しかも語尾にはこれでもかとスタッカート含みの(エクストラメーション)付きの言葉とか、耳と頭に響くだけですわ。

 あれから私たちは大人しく黒服悪役に捕まり眠らされました。そして馬車に乗せられどこか王都郊外の屋敷でおろされました。幸か不幸か三人一緒の部屋に放り込まれました。

 最初に目が覚めたのは私でその後セルアが程なく目覚めお互いの無事を確認し合い、現状把握と分析の話をしこれからの行動確認を終えたところで冒頭に至ります。


 起きぬけにすぐさま怒鳴り散らせるなんて、スゴイですね。感心してしまいます。この子現状把握とか絶対出来ないタイプですわね。

「なっ、俺を誰だと思っているんだ!?俺はこの国の・・・」

「ちょっと静かにしていてくださいません?話が進みませんの。」

 少年の唇をなぞるように指を動かし、唇を強制的に黙らせました。いわゆるお口チャックというやつですね。

 もごもごもがー、と大暴れしていますがこれもコレで煩いのですが。どうしましょう、お手上げなのですが。


「起きたか。」


 ドアが開き黒服悪役が三人と一人のボス的な男が入ってきました。人相は残念ながら仮面(マスク)をかぶっているので窺えません。


「手荒な真似はせずにここまで運んでいただいたのですね。」

「あくまでもあんたらは巻き込まれたクチだからな。怪我させて後々問題が膨らんでも迷惑だ。」

「と言う事は私たちは生きて返して下さるのですね。」

「さぁ、それはあんたらの動き次第だ。・・・ところでなぜもがいている。手足を縛ったが口まで閉ざした覚えはないぞ。」


 後ろでもがいている少年の事を指していますがそこはスルーします。重要なのはそこではありません。


「あんたらは魔法がまともに仕えるようだな。手足を縛っても無駄か。」

「理解が早くて助かります。」

「で、どうしてわざと捕まった。魔法が使えるなら逃げる事も可能だっただろう。」

「それは私の利益の為です。」

「このガキを助けて親に恩を売るって事か。」

「・・・。」


 にっこり笑って返答とします。このボスはどうやら黒服悪役(さんした)のようにいかにも、と言う感じではなくインテリ系な人間と見ました。魔法能力も低くはなさそうです。私には叶わないでしょうけど。


「魔法は厄介だな。一応この部屋には魔力干渉阻止の結界を張らせて貰った。余計な事はするなよ。あんたとガチンコ対決はしたくないからな。」

「・・・自分の力量と立場分かってるじゃない。三下だって。」

「何だと!?」


 おぉう、随分と挑発しますのね。そして簡単に挑発に乗っかりますのね、さすが三下さん。


「バカか、そんな簡単な挑発に乗ってんじゃねぇよ。だから三下だって言われるんだろうが。」

「アニキっ!」

「黙れ。」


 やはり格が違いますね。少し苦労しそうですわね。


「ちょっと厄介だねアンタ、手ごわそう。まあアンタは僕たちの敵じゃないけど。」


 この子も舌好調ですね。僕たち(・・・)って私も入っていますけど、明らかに私の方がセルアの中では格上に扱われていますね。

 ツンデレですね!手足が縛られてなければギューッと抱きしめられましたのに!


「フッ。お前ら面白い人間だな。言うこと聞く人間だとは思えないが一応忠告しておくが、大人しくしてろ。」


 そう言って男たちは出て行きました。

 想像以上に面倒な事態になってきましたわね。そんな面倒な人間に目をつけられているこの少年は一体何者なのかしら?

 嫌な予感しかしないのは気のせいであって欲しいのですが、そう上手くいきませんよね、きっと。


「やっぱり面倒な事態になった。どうするのさ。」

「そうねぇ、やっぱり強行突破かしら?」

「やっぱり結局そうなるんだね。」


 これからの行動が決まったところで、例の少年と話して見ましょうか。

 気が進みませんが、我が家の利益のため頑張ります。


「ねぇあなた、これからそのお口チャックを解いて差し上げますけれど、五月蝿く喚きましたらもう一度お口を縫い付けてしましましてよ。よろしいこと?」


 あの五月蝿さは耐え切れないので、半ば本気でお願いしました。決して脅してはおりませんよ?誤解無きよう。

 憮然とした表情ながらも、一つ頷いたのを見ると先ほどと逆方向に唇をなぞりお口チャックを解いて差し上げました。のですが。


「この女!俺を誰だと思ってるんだ!俺はこの国の時期国王レオパルドゥス・リゲル・ウェネラティオだぞ!!」



 ブチのめして、ボッコボコにして、このどうしよもないクソガキの性格矯正かけていいですか?


「心情は察して余りあるけど、それ殺ったら最悪国家反逆罪だよ。このガキなら権力振りかざしてやりかねないよ。」


 隣でセルアの呆れとため息が混ざった声が聞こえますが、聞こえません!聞きたくありません!


更新をお待ち頂いていらっしゃる皆々様。

話のストックが切れてしまいました(泣)

更新速度が鈍くなると思いますが、ながーーーーーぁぁい生暖かい目で眺めていただければ幸いです。

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