人生ってわからないものですね。
見切り発車ではじめちゃいました。稚拙で不勉強ですがよろしくお願いします。
一応投稿前に再確認はしていますが、誤字脱字がありましたら申し訳ございません。
一度きりの人生楽しまなきゃ損損。一回しかない人生なのだから後悔するような生き方はやめなさい。
先人は上手いことを言う。でも、私はその格言に賛同はできない。
一度きりの人生とはどこからどこまでが一度きりと区切られるのだろうか。
一回きりは本当なのか?曖昧かつざっくりした言い方すぎてよくわからないぞ、と声を大にして言いたい。
だって私は一度きりしかない人生を五回ほど繰り返しそのうちの四回もほぼ同じ体験をしているのだから。
―あぁ、どうかヒかないでください!自分でもイタいこと言ってるなぁコイツ、感はありありと感じてるんで。
いやーでもビビるわけですよ、実際。
だって転生なんて中二病患者か二次元でしかお目にかかれない代物じゃないですか。しかもその転生ってたいていは一度目の転生でしょ?
二度も三度も、ましてや五度目だなんて聞いたこともない。けれどワタシは体験している事でして・・・。それに同じ人生を何度も何度もループしているわけですよ。
ゲームか何かかって感じです
一番最初の転生記憶を垣間見たのは断頭台の上でした。あぁ走馬灯ってこういうことを言うのかなぁ、と半ば他人事のように見たのです。で、ギロチンされて御臨終。
二度目は格の低ーい売春宿で薬でおかしくなって半狂乱になってのたうち回ってた時。もちろんその後、御臨終。その時は快楽薬物中毒による妄想と思ったんだけど、今考えると前世の記憶だったんだろうなぁ。
三度目は実家の犯罪が世間様に暴露されて大騒ぎのときに突然思い出した。が、既に詰んでおり抗う事は不可能で真夜中に起きた火事で焼け死にました。
四度目はどこかの豪華絢爛な場所で着飾った大人に囲まれ、大階段を上った先には若い男女の姿が私を見下していた場で思い出した。
それまで三回分の記憶と今回歩んできた器の記憶が終末さえ違えど、出てくる人物名や色んな施設設備その他諸々の名称や人々ののとった行動内容などほぼほぼ一致していた為、若干の驚きと多分な納得、諦めに襲われた。
あぁ、ワタシは転生者で、乙女ゲームのように何度も何度も同じ内容をループした人生を体験してるんだ。
冷たい牢屋の中でそう理解したが、この人生やはり詰んでおりもう軌道修正不可能らしい。
明日ワタシは断頭台の露となる。あ、ちょっとかっこつけたワタシ。
ーで、今回です。人生こう何度も繰り返すと一回きりの人生の重み、実に軽いですね!
でも、今回はちょっとラッキーかもなのです。五度目の人生と理解したワタシの年齢はなんと5歳です!5歳ですよ!もう一度言います。なんと5歳の幼女だったのです!大事な事だったので三度言いました。
それこそ年端も行かぬこの歳に過去四度のループ人生と一度の社会人記憶。コレはもうこのチート力を生かして、絶望死亡救われない詰みあがり人生を方向修正し幸せ人生へと軌道変更可能フラグでは在りませんか!
一人めちゃくちゃフワフワでバウンドする超高級ベッドの上でおもむろに立ち上がってグーパンを天高く突き上げちやう程度にはテンションMAXになったのです。
取り乱してしまいお目汚し失礼いたしました。では、仕切り直しをいたしましょう。
皆様初めまして。ワタシこと私の現在の名前はイリーナ・ローサ・メルティウスと申します。恥ずかしながらも侯爵の位を国王陛下からいただいており、ネブラワレース王国でも指折りの名家だと評価をいただいております。
その財が身綺麗な手段で成されたのであば胸を晴れるのでしょうが、残念ながら私の過去のループを鑑みるに人を陥れ裏切り騙して手に入れた財であることは疑い様の無い事実でありましょう。
貴族の成り立ちからいって、農民や商人が汗水垂らして働いた作物や給金を税金やら現物接収という形でもって暮らしている身の上で必要以上の税金や作物を奪い取るのはいかがなものでしょう。
私の安寧な人生を送れるように、ひいては一族もろとも滅亡フラグ回避のためには、まずこのデススパイラルを断ち切り正常に回るように改善せねばならない問題です。
生前の経験から私の両親は正直ステキー!と黄色い声を出せるような人間ではありません。
豚さんのように丸々とした体と宝石で見えない指と首。脂でテカッとしたおでこ。まぁ、残念ですよね。どう身内贔屓したとしても鼻で笑ってしまう程度に残念極まりない醜さです。
ですが、奇跡的というかいい意味で運命のイタズラといいますか、私が5歳の現段階ではかなり見目麗しい男女のカップルでした。
転生発覚した当初は目の当たりにした現実に良くも悪くも愕然としたものです。
ただ、両親じーっとよく観察すると私の記憶にある両親の姿と目の前にいる両親の姿はかぶる部分が多々あり、パーツも同じところが確認できるのです。
侯爵家の詳しいお財布事情は把握できていないのですが、子供の私が知りうる限りでは後ろ暗いことには手を染めてはいないように見られました。
イリーナ・ローサ・メルティウス、幼女にできることは限られてはおりますが、できうる限りを尽くして父が大それたことをしでかさないように奮闘してまいります! そして、転生初の幸せ人生の悲願を達成してみせますわ!
♢
その時は唐突でした。
家の中にある庭に降りるために階段を踏み外し、十段ほどを転げ落ち頭を打った時でした。
おそらく気絶していたのでしょう。目が覚めた時には、目の前に涙と鼻水でグチャぐちょになった両親の姿がありました。
文字通り眼前に広がっていたため、ヒィッと悲鳴を上げーてしまった私は悪くないと思います。
しかしショックをうけた両親はさらに顔を近づけて私にすがってきました。
心配してくださるのはありがたいことですが、起き抜けのぼんやりした思考をした年端も行かない娘に対してそれは恐怖とトラウマをうえつけるだけだと思いますの。
私が目覚めた時に大声で私の名を叫んだお父様の声を聞きつけ、駆けつけてくれた執事のじいやとばあやのシェルティ、メイドのリリィナに素早く引き離されたので、精神的被害は少ないと思われます。
ありがとうじいや、ばあや、リリィナ。
できれば当分お父様のアップは見たくありません。いくら容姿端麗なナイスガイでもあそこまでグズグスに崩れた顔を見れば拒否反応を起こしてもおかしくないでしょう。
もっとも現在はシーズン真っ只中ということもあり、両親は立場上社交界に引っ張りだこですので屋敷にいることは多くありませんでしたので考える時間はたっぷりありました。
体は子供頭脳は大人。そういうキャッチコピーの人気漫画が私の最初の人生にありましたが、まったく同意することになるとは当時の私からしたら思いもよらない出来事でしょう。
気絶していたのは時間にしてほんの二時間程度ということですが、そのたった二時間で人生五回分の記憶を映画のように鑑賞していました。
一番最初の記憶は地球で家族に囲まれて幸せそうに微笑む女性の姿でした。
秘書を天職にバリバリ働きながらシングルマザーとして二人の子供と暮らしていました。
そして時折訪れる恋人とのひと時が疲れた体を慰めそれはそれは幸福なものでした。
しかし、仕事中に倒れ精密検査の結果末期の子宮癌とわかり余命宣告を受けることになりました。
苦しい闘病生活の中にもかかわらず決して弱音を吐かず、可愛らしい子供とつねに笑い合うような強い強い女性でした。
病気で亡くなったったあと、文字通りの第二の人生はイリーナ・ローサ・メルティウスとして生まれ、王子様に猛烈な恋心を抱き、家の権力を最大限利用して婚約者の座につきましたが、私を憎く思っている王子が奔走しメルティウス家の悪事を摘発し、公開ギロチン処刑。
三度目は異母弟の存在を認められず虐め抜いていたのですが、とある学校でであった男爵令嬢と恋に落ち、復讐を兼ねて実家の罪を告発し私は落ちぶれた実家の借金の肩代りとして娼館に売り払われ、そこでどんどん身をやつし最終的には場末の最底辺の娼婦として人体実験まがいの快楽薬物を投与され、想像を絶する効用のために急性中毒によりもがき苦しんで死亡。
四度目人生は異母弟と似たような状況だったのですが、男爵令嬢の選んだお相手は私の従僕でした。
なんでもかなり優秀で、近衛騎士も夢じゃない力を持っているらしく、それを見出し開花させた男爵令嬢への想いを貫くため、仕えていた侯爵家の悪事を全部公表し侯爵家を出奔。
その際幼い頃の従者の淡い恋心を踏みにじった私への復讐のために侯爵家に火を放ち、火と煙に巻かれ消し炭になりました。
五度目は王族の方にちょっかいを出したりまたしても男爵令嬢を虐めたりをしたことでイケメンズたちの琴線に触れてしまい、王宮の謁見の間で行われた晩餐会中に両親とともに両親の犯した罪と脚色された私の犯した罪を言及され、捕まり取り調べを受け公開処刑で18年の人生を終えました。
うん、そうとう詰んでおりますね。
一番最初の人生はとりあえず置いておいて、それ以降四度の人生はまさしく乙女ゲームの登場人物になってしまったような感覚です。
必ず同じ女の子が出てきてイケメンと恋に落ち、同じイケメンズが登場し、私は当て馬よろしく女の子を虐め抜きイケメンズに断罪され人生ピリオド。
人が死ぬということに抵抗はあるものの、最初の人生で経験した経験のなかに乙女ゲームというものがありまして。女性向け恋人シミュレーションゲームといますか、そんな話です。
転生ということだけあって、前の人生を歩んだ際に見聞きした固有名詞は靄がかかったように記憶に残っていないのですが、それ以外の人物の容姿や風景など映像に関わるものはキチッと記憶されておりましたので、同一人物が繰り広げる決められたシナリオを踏襲しているという予測が成り立ったわけです。
そういう思考が巡るということは、ありがたくもそれなりに高い頭脳を有することができたのでしょう。
体調が回復し屋敷の散策をしていて見つけた書庫にある小難しい内容の本を問題なく読むことができかつ内容を理解できることには安心以上に驚きもいたしました。
だからこそ、これからしようと思っている滅亡死亡絶望フラグを叩き折る行動が取れると確信もできました。
イリーナ・ローサ・メルティウス、やってみせますわ!大事なことなので、もう一度同じことをいたします。こうなったらもう何度でもして見せますわ!
そして私イリーナ、過去の人生を思い出した結果、口調と思考の統一性がなかなか測れないでいます。
こんな感じのテンションなうえに、まだまだ主人公のキャラがブレブレです(涙)