才能ある科学者の卵
今回はラブコメ風に書きました。間違いがあればコメント下さい。
6/14に直しました。よければどうぞ
◇ ◇ ◇
出来事が起こる五日前
ナーシャ村
“ナーシャ村”
エメライト王都の近くにある自然が豊かな村である。 村人達は牛や豚などを牧場で育て生活を営んだり、畑を耕し野菜や果物を作ったりと自給自足の毎日を送っている。
また村人同士の仲が良く、数人で飲んでいた酒盛りが村全体に行き渡り最後には祭りなるという逸話があるくらいに村人達は仲が良い。
今日も村では男達は畑を耕しに行き、女達は家事に勤しみ、子供達は仲良く遊んでいた。
そんな村を一人の女の子が歩いていた。
年齢は16~7くらい、背丈は同年代より少し高く見える。栗色の髪を肩まで伸ばし二つに縛っている。服装は栗色の髪に合いそうな緑を基準した上着に、下は動きやすい身体にピッタリな短パンを着て、そして腰には白衣を巻き付けている。
彼女は村の大通りを歩いていると村の人達が声をかけてきた。
「よう、マキナ。ちゃんと食べているか? 体力つけないと旅なんて無理だぜ」
「おはよう、マキナ。今日行くんだって。私もついて行こうかなーーなんてね」
「マキねーちゃん、旅に出るんだろ。いいな、いいな。帰ってきたらたくさんお土産を持ってきてね」
「マキナちゃんももうそんな年かのう。色々な国を見てくるんじゃよ」
色々な人達がマキナの旅を激励していた。本当にこの村の人達は良い人ばかりだと彼女は改めて思った。この村の村長もさっき挨拶した時に「少ないが旅で使ってくれ」とお金をくれた。お人好し過ぎるにも程があるとマキナが村長に怒ったが、強引に渡されてしまった。
「本当にあたしなんかのために………皆、優し過ぎます」
マキナにとって村の人達の優しさはある意味暴力よりも酷かった。それは彼女がそう思っているだけで村の人達は何も悪くないと分かっていても彼女の気持ちは晴れなかった。
彼女はうつ向きながら村の外れの小屋に向かっていた。そこにはマキナが旅をする前に、挨拶をしたい人がいるからだ。
「今日は、いるかな…」
◇ ◇ ◇
そして村の外れにある小屋に着いた。マキナは扉のノブに手を伸ばす前に二、三回深呼吸をした。 そして覚悟を決め扉のノブに触った。
ドカァァァァァァァァァァン
その瞬間、小屋の一部が爆発的した。
大きな爆発音にマキナは一瞬驚いた。しかしすぐに呆れた顔になり「またか」と思いながら小屋の中に入っていた。
部屋の中は爆発の影響か白い煙で一杯だった。マキナはやり慣れた手つきで窓を開けて換気をし、すぐに爆発を起こした張本人を探した。
「“先生”何処ですか。意識があるなら返事をお願いします」
先生と呼ばれる人物を探していると本棚から落ちた本の下から何か呻き声が聞こえた気がする。彼女は本棚の下まで行き、本の山を片付けに入る。
片付けると一人の白衣を着た人が倒れていた。この人がマキナから“先生”と呼ばれる人である。
「先生、大丈夫ですか?」
「何とか大丈夫だよ、マキナさん」
先生と呼ばれる人は何とか立ち上がり服に着いた汚れを叩きながら話す。
伸長は180以上あり高いが体つきは細く如何にも弱そうだ。しかも髪は白髪、服装は白衣、肌の色は肌色々よりも綺麗な白い見た目がさらに弱さを引き立てた。子供とケンカしたら負けるのでは、と村でも噂されている。
そんな弱さを極めたような人を先生と言っているマキナはため息をつきながら、先生に今の大惨事の説教をした。
「先生、また爆発ですか? もう一体何回爆発させれば気が済むのです? あたしはもういなくなってしまうのですよ」
「ごめんね。僕も爆発させたくはないんだけど色々弄くっていたら結果爆発させてしまうんだ。まあ、科学者とってはしょうがないことなんだ…ハハハ」
「あたしも科学者の端くれですけど、爆発なんて一回もしたことないですよ!」
「それはマキナちゃんがまだ科学者として“まだまだ”と言う事なんだろうね、ハハハ」
「爆発を起こす人=科学者ではありません!」
まるで反省した素振りも見せず、先生は笑っていた。先生にとっては爆発なんて日常茶飯事に過ぎなかった。
「笑い事ではないんですよ。いつか爆発に巻き込まれて死んじゃいます。……そうなったらあたし悲しいです」
マキナは泣きそうな顔で先生に顔を向けていた。先生も流石に懲りたのか悪びれた様子でマキナ謝った。
「本当にごめんね。でもマキナちゃんはこれから旅に出て色々な国の技術を学んで来なきゃ行けないんだ。僕にいつまでも構っていたらいけないよ。僕なんかじゃ比べられない程の才能が君にはあるんだよ。その才能を開花させるには旅に出て色々な人に会って知識を学んだ方がいい」
先生は笑いながらマキナの頭を撫でた。まるで父親が娘にするのと同じように彼女をなだめた。
「先生だって凄い科学者です。なんだって出来ます。あたしはそんな凄い先生に教わったんです。だからあたしは凄いんです。それを証明するためにも頑張ります」
彼女は涙を堪え必死に笑顔を作ろうとする。その顔は何事にも負けない目をして、目の前の
「私はなります。先生みたいな立派な科学者に…なってみせます!」
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「それでは行ってきます。たまには手紙を出したりします」
「いいよ。次に帰って来た時の楽しみにしているよ」
小屋から出て先生が見送りをしてくれる。それだけでマキナは嬉しかった。これから何が起こっても頑張れる気がした。
彼女の手には軽い手荷物だけしかなかった。他の荷物は彼女の腰に着いている白衣の下のポーチの中に入っていた。
アイテムボックスと呼ばれる物で大抵の物なら何でも収納したり、取り出したり出来る代物であった。持っている人は少なく、これ1つだけでもかなり高価な物であったが先生がかなり前から作っていた物で旅に出る時に必要だからと貰った物である。
「あと、これは僕からの“贈り物”だよ。受け取って欲しい」
そう言って先生は白衣のポケットから、小さな箱を取り出しマキナの前に出した。
「先生これは?」
「開けて見て」
そう言われて彼女は箱を開けると中には橙色に光る宝石の指輪が入っていた。
「えっ…!! 先生、これ…って…もしかして“そうゆうこと”ですか?」
顔を真っ赤にして(しかし喜びに満ち溢れたら表情で)恐る恐る聞いてみた。つまりこれは“男女が愛の印に左手の薬指に身に付ける”あれなのかどうかを。
「贈り物何てしたことなかったから、君に一番似合いそうな物を送ったけど良かったかな? 大切な人にあげるのなんて初めてだから」
「大切な人!! い、いえいえ、とんでもないです。先生から貰えるなんて嬉しいです。………婚…約…指輪なん…て」
最後の言葉は小さ過ぎて先生に聞こえなかったが、マキナがとても喜んでいるようなので先生は安堵の表情を見せた。
「良かった。“先生”として大切な“生徒”に対して何を選んでいいか分からなかったけど喜んで貰えて嬉しいよ」
この時、確かに不思議な現象が起きた。
さっきまで喜んでいた彼女の笑みが一瞬で凍りつき、一瞬で怒ったような顔になったからである。
「そうですか…“先生”として“生徒”としてですか…。そうですよね…あの“先生”ですもんね。あたしが毎回料理を作っても「ありがとう」「美味しいよ」の一言で終わり…、どんなにあたしが誘惑めいた服を着ても全然無反応で(その後しばらく自分のスタイルに自信を失った)…、挙げ句果てにはあたしが「あたし…先生のこと…好きなんです。」と勇気を振り絞った告白を「ありがとう、先生として嫌われていないか不安だったんだ。」と言って軽く流しちゃうような人でぇすもぉんねぇぇぇーーー」
完全に切れてしまった。何を言っているのか先生は分からず、何故こうなったのか先生は途方にくれてしまった。
「えーと、マキナさん一体どうしたのかな?。僕ちょっと分から…」
「分かりませんよね、あたしの気持ちなんか、分かったらこんなことなっていませんからね」
先生が気倒せる程の威圧感が今の彼女にはあり、今マキナを止めることは誰にも出来ないだろう。
「それでは先生。あたしは今から王都に行きます。まずは王都に行ってからこれからどうするか考えます。それではさようなら」
彼女は後ろを向き走り去る。走りながらある人にこう言った。
「先生のバァァァァカァァァァーーー!!」
まるでケンカ別れをしたように彼女は故郷の村を出ていった……先生から貰った指輪を左手の薬指にはめて…。
栗色の髪のマキナ登場です。
さてどんな物語が生まれるのか?
次は魔法使いの登場です。
ご期待でお待ち下さいm(__)m。