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最強の勇者と最弱の勇者の物語!!  作者: 双月キシト
第1章 異世界者、再来!?
29/33

王城とテント

すいません。お待たせしました。

今回は少な目です。





 十一時




 ◇  ◇  ◇




 宿屋を後にした朔夜とイリスは王城に向かっていた。王城は王都の真ん中にあり、王城時計台に続く名所の一つとされている(当然中には入れない)

 そして王城の前まで来た二人だが…


 「ですから、この方は…」


 「くどい!! 何度言えば分かる!! そんな被り物で異世界人と偽るなど罰当たりだぞ!!」


 「だいたい千年祭の時にそんな事して君達は恥ずかしくないのか!?」


 「大方祭りの雰囲気でやっているのだろうけど、あんまり誉められた行為ではないな」


 王城の門番をしていた兵士達に説教をされていた。イリスがどんなに朔夜が異世界から来たと言っても信じてもらえず、髪や目の色を見せても「染めたり、魔術を使って黒くしている」と言われ全く信じていなかった。

 イリスはどうにか説得しようと、頑張っているが好転の兆しさえ見えない。


 「王族の方に話をさせて下さい! そうすれば…」


 「今王様と姫様はパレード会場に向かわれ、王城にはいない。そんなに話したければそこに向かえ!!」


 「話せるかどうかは知らないがな。これ以上騒ぐなら牢屋にぶちこむぞ!!」


 「そんな!」


 「もういいよ、イリス」


 これ以上話しても平行線だと感じた朔夜は、イリスの手を掴み王城を去った。兵士達はまだ朔夜達を見ていたが無視をした。関わってもロクな事がないと思ったからである。


 「すいません、サクヤ様…」


 「いいよ、イリス。まあ、最初から信じてくれるとは思っていなかったし」


 今回の件は門番達が正しいと朔夜は思った。彼らは王族の方が留守の間、城を守らないといけない立場にある人が、知らない人がいきなり「この方は異世界から来た勇者です」と聞いて信じるとは到底あり得ない。

 それにこの世界の英雄である“勇者”の名を好き勝手語るものがいるとすれば、いい気はしない。だからこそ、あそこまで怒った兵士達は良い人なんだろうと思われる。


 「ですけど…」


 「仕方ないって。それに兵士達が言っていたように王様はパレード会場にいるようだし、そこに向かえば話くらい聞いてくれるよ」


 「……はい」


 先程の兵士達の言葉な相当きたのか、イリスは暗い顔をして、うつ向いていた。そんかイリスに朔夜は真剣な表情で話す。


 「朝の時も言ったろう、イリス。俺は絶対にお前が“望んだ存在”…勇者になってやる!」


 「サクヤ様…。………ありがとうございます」


 そして朔夜はイリスの手を引きながらパレード会場の元へ向かった。



―――――――――――――――――――――



 同時刻



 パレード会場周辺



 ◇  ◇  ◇



 「隊長。全ての最終チェック、滞りなく終了しました」


 「こちらも隊の配置は万全です。すぐに動けます」


 「後は、時間になるのを待つだけ~」


 会場の近くのテントの一角に集まる魔族。これから彼らにはこの国だけでなく、世界中を巻き込んだ争いを始める。

 そしてテントの中をには巨体の男が居座っている。


 「そうか。一応聞くが“つけられて”はないな?」


 「大丈夫です。ギルド関係者はそれとなく警戒しているようですが、私達に目をつけている者はいないようです」


 「この“変身魔術”も中々優れものですからね。獣人の嗅覚でも気付く奴はそうそういないハズです」


 彼らには変身魔術という「違う生物に化けられる」という魔術が発動している。かなり高等魔術だが、ある魔族の宰相の得意とされている魔術の一つだった。


 「ならいい。だが何で俺は変身魔術は駄目なんだ?」


 「まあ、隊長は体格が大き過ぎるからですよね~。変身魔術は背丈までそんなに変えれませんから、魔術で隊長を人間しても二㍍以上ある隊長は目立ちますか…ぐう?」


 二人が真ん中にいる一人の口を塞いだが、既に遅かった。そんなに表情は変わっていないが、少し口元が引きつっている。


 「…まあ、得て不得意はありますから」


 「そうそう! 隊長にはちょ~っと向かない魔術なだっただけで…」


 「もういい。逆に悲しくなる…」


 溜め息をつきながら、作戦の打ち合わせを続ける。


 「………なる。よし、これでいい。後は手順通り事を運ばせれば俺達の勝利は揺るぎない」


 「はい、隊長!」


 「お任せ下さい!」


 部下達は作戦の内容を確認し、テントから出ていく。最後の一人が出ていくのを確認すると、隊長はため息をつく。


 「勝利は揺るぎない…か。本当にそうならいいが」


 自信がないわけでない。自分の力は国一つ制圧できるだけの力を保有していると言っても過言ではない。

 だが、その力を“上回るほどの力”を持っている者が現れるかも知れない。彼はそれが不安で仕方なかった。


 (例え、刺し違えても…必ずやり遂げてみる。我らが魔王様の為に。そして“あいつ”の為にも)


 そう自分に言い聞かせ、サイモンは作戦の始める。



 そしてエメライトで行われる千年祭と歴史に残る盛大なパレードが始まった。






遂に第一章の終わりが見えてきました。


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