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最強の勇者と最弱の勇者の物語!!  作者: 双月キシト
第1章 異世界者、再来!?
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世界設定

 


 朔夜とイリスはエメライト王都までの街道を歩く。その間に朔夜はイリスにこの世界の事を聞いてみた。


 「じゃあ、イリス。今向かっているエメライトって国は、この世界…ステンシアの五大王国の一つなんだな」


 「はい、そうですサクヤ様。エメライト王国は主に私達の種族…つまりは人間が住む王国なんです」


 「人間の王国…。じゃあ、人間以外ではどんな種族がいるんだ?」


 「種族は大まかに分けると…人間、獣人、竜人、妖精、翼人のこの五種類になります」


 イリスは指を五本立て、朔夜の前に出す。その数の少なさに朔夜は聞き返す。


 「意外に少ないな。もっと多いかと思ったんだが…」


 「“大きく分ける”と五種類になりますが、その五種類からまた系列が違う種類いるんです。例えば獣人なら犬人族、猫人族、牛人族、狼人族等数多くあり、更にその犬人族からまた系列の違う犬人族がいるんです」


 それを聞いて朔夜は納得する。簡単に言えば動物の分類と同じと理解すれば分かりやすい。脊椎動物として見れば、動物は大きく分けると五種類(哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類)に分かれる。

 そして哺乳類には人間以外にも数多くの哺乳類がいるが、科や目によって分類されている。それと同じように考えれば、この世界の生物の分類はできる。

 イリスは朔夜に更に詳しく国と種族について語る。


 「そして五種類の種族がそれぞれ独立した国をもっているんです。人間の国エメライト。獣人の国サイフィス。竜人の国ドラトーパン。妖精の国アマリア。翼人の国ユーピアンスといいます。勿論自分の種族の国以外でも暮らしている者もいますが、多くは自分の種族の領地で暮らしています」


「成る程な。大体わかったけど、それじゃあ、精霊はどの部類に入るんだ? 今出た種類で近そうな妖精になるのか?」


 「いえ、妖精と精霊は違います。妖精はエルフやドワーフといった種族を妖精といい、精霊は含まれません」


 「精霊って、妖精とは違うんだな」


 「彼らから言えば全く違う…という訳ではないらしいです。詳しい事は私も知りません」


 「そうなのか。じゃあ、精霊は?」


 「え……ええっ、と…」


 朔夜はイリスに質問するが、イリスは少し暗い顔をする。また何か聞いてはいけない内容を言ったか、と朔夜は思った。


 「なあ、イリス…どうかしたか…?」


 「…ああ、すいません! 少なくとも私達人間側の公式見解では、精霊は分類されていないんです…」


 「え…つまり…」


 「はい。“いない”という事になっています。私達人間…いえ、他の種族の人も、そのほとんどは精霊が見えないので、精霊の分類はされていないのです……私には、こんなにも精霊が見えているのですが…」


 イリスは両手を開き“何か”を呼び寄せる。朔夜は周りを見るが何も見えない。しかし、イリぬスは急に何もない空間を抱き締める。その表情はまるで、可愛い子供に愛情を与える母親のように、朔夜は見えた。


 (……自分に見えているものが、他の人には見えない。自分が触れるものを、他の人は触れない。自分の信じている精霊を、他の人は信じていない…。イリスはそんな人生を送っていたんだろうか…)


 朔夜にも精霊は見えないし、触れない。勇者という称号を持っているハズの朔夜(持っているか定かでない)でさえ、精霊を感じることも出来ない。だが…


 「俺は信じるよ、イリス」


 「えっ…サクヤ様…」


 朔夜はイリスが抱きしめている空間を撫でる。朔夜から見れば、ただ何もないように見えている。しかし、朔夜はイリスの話を信じてみたいと思った。


 「大丈夫。俺は精霊が見えないけど、信じるよ。だって精霊がいた方が夢があるじゃん。俺は信じてみたいんだ」


 朔夜の言葉に、イリスは驚きを隠せなかった。たが、すぐに笑顔で「ありがとうございます」とお礼を言い、歩き出す。朔夜はそんなイリスを見る。


 (見えなくても、触れなくても俺は…イリスの言う精霊を信じてみたい。そもそも俺は不思議な事が溢れるファンタジー世界に来たんだし、精霊がいたっていいと思う)


 「サクヤ様…どうしました?」


 「…あ、なんでもないよ」


 イリスに呼びかけられ、すぐに彼女のもとまで走り、イリスに追い付く。


 「じゃあ次は…イリスは魔法については、どのくらい知っているんだ?」


 「魔法ですか? すいませんが私には魔法に関する知識はないんです。私は精霊使いですし、魔法使いに私は会ったことないので…」


 「やっぱりそうか…。じゃあ魔法とか見たこともないのか?」


 「見たことないですね…。サクヤ様は魔法は使え…ませんね」


 「確かに使えないけど、酷くないか!! でもいつか手から火とか出したいよな~」


 「魔法は基礎魔法だけなら、世界の半数の人が使えるらしいですが、一流まで登る人は一握り、と聞いた事があるくらいですね」


 一体どんな魔法があるのか。朔夜は魔法を使える日を楽しみしている。


 「さて、あと聞く事はあるかな、イリス?」


 「え~と、あとはお金の単位とかはどうですか?」


 「あ、それがあるか。やっぱり単位はGゴールドなのか?」


 「いえ、私達の世界では全て共通で、お金の単位はPポイントといいます」


 「……なぜ買い物したオマケの単位なんだろうか…」


 「?」


 「いや…なんでもない。硬貨の種類はどうなっているんだ?」


 「硬貨ですね。硬貨は銅貨、銀貨、金貨、白金貨があります。それぞれ1P、100P、1万P、100万Pとなっています」


 「えーと銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨100枚で白金貨1枚となるのか…」


 「はい、そうです。白金を持っている人は中々いませんけど、金貨なら私も持っています」


 そう言ってイリスはアイテムボックスから、金貨をいくつか出す。金貨の他にも銀貨と銅貨を出し、朔夜に見せる。


 「色々あるんだな。ありがとうイリス。見せてくれて」


 「いえ、大丈夫です。サクヤ様もいくつかお持ちますか?」


 「いや、イリスが持っていてくれ。俺が落としたら申し訳ないし、アイテムボックスに入れて置くなら、取られる心配もない」


 イリスは「わかりした」と言い、お金を鞄の中に入れる。普通ならいくつか朔夜が持つべきだろうが、女性からお小遣いを貰うような感じもしていた為、朔夜は断った。



 朔夜は大体の説明を聞くと、背筋を伸ばしてイリスに質問する。


 「なあ、イリス。あと王都までどのくらいなんだ?」


 「後…五日後くらいで、王都まで着けます」


 普通の人でも、それくらいで着けると判断するイリス。しかし、朔夜口を歪めて笑う。


 「さて、それはどうかなイリス♪」


 朔夜がいきなり笑い出すため、イリスはどうかしたのか、と不思議そうな顔で見ていた。


 「どうしました、サクヤ様?」


 「いいか、イリス。こんな時…絶対に俺達は何かしらのトラブルに巻き込まれる!」


 「トラブル…ですか? どんな事があるのですか?」


 「それはわからない! だが、ゲームなら王都までに着く前に、普通ならありえない異常事態イベントが発生すると相場が決まっているのだ!」


 「あの…」


 「俺の予想では多分盗賊か高レベルの魔物が出てくるだろう! いくらイリスが精霊術を使えるといっても、苦戦をしいられると思う!!」


 「いえ、この街道は…」


 「大丈夫だ! 俺もなんとか“勇者としての力”を引き出すせるように頑張る!! なんとか切り抜けて行こう!」


 歩みを強めて王都までの道を歩く朔夜に対して、イリスは何かを言いたそうな顔をしている。


 そして、二人はまたエメライト王都に向けて、街道を歩いて行く……。


次の話に何かが…!!!(゜ロ゜)

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