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最強の勇者と最弱の勇者の物語!!  作者: 双月キシト
第1章 異世界者、再来!?
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不思議な鞄と制服の謎

やっぱり進まない。多分二、三話はこんな感じです(^_^;)

 異世界から来た勇者? 朔夜と精霊使いのイリス。二人はエメライト王都の長い街道を歩いていた。イリスは一人で重たそうな鞄を持ち、朔夜は一人手ぶらで歩いていた。


 「…なあ、イリス。鞄持とうか? 女性に重たい荷物を持たせて、自分は何も持たないのは悪い気がするんだけど…」


 今は他の旅人に出会っていないが、もし旅人が朔夜達を見れば『女性に荷物を持たせる性格の悪い最低男』に見えるだろう。だが、イリスはそんな朔夜の提案を断る。


 「大丈夫ですよ。重たくありません」


 「いや、食器やら食材とか入っているから重いだろう! いくら俺は弱くても荷物持ちくらいは出来るよ」


 必死にイリスの荷物を持とうとする朔夜だが、イリスはそれを否定する。


 「いえ、本当に大丈夫ですよ。それに私の鞄はサクヤ様が思っている程の“重さ”は無いんです」


 「え、どういうこと?」


 「そうですね。一回持ってみます?」


 イリスは持っていた鞄を朔夜に渡す。朔夜は鞄を受け取ると、その鞄の“異質”に気付く。


 「えっ!? …なんで、こんなに“軽い”んだ? いくら何でも軽すぎる!!」


 まるで中身がまるで入っていないくらいの軽さだった。試しに朔夜は鞄を地面に置いて開けると、中には黒い液体のようなものが鞄にいっぱいに敷き詰められていた。


 「……なんだ…これ!?」


 朔夜は黒い液体に触れるが、液体に触った感触はなく、まるでどこまでも手を伸ばせる程の広さがある。鞄を逆さにしても、黒い液体は溢れることはなく鞄に張り付いている。


 「この鞄は“アイテムボックス”になっているですよ、サクヤ様」


 「アイテムボックス!? これがそうなのか?」


 「知っているのですか?」


 「ああ、ゲーム……って言っても分からないよな。一応知識として知っているよ。アイテムを入れられる空間で、ある程度の物を収納出来る貴重なマジックアイテムの一つだよな」


 朔夜は自分のいた世界でずっと色々なゲームをしていたので、ある程度のファンタジー知識はある。


 「はい、そうです。サクヤ様も色々とご存じなのですね」


 「まあな。いやー本当に不思議なアイテムだよな。こんなのはこの世界の人なら皆持っているのか?」


 「いいえ、そうではありません。アイテムボックスを作るにはかなりの技術がないと作れない貴重な品で、持っている人はかなり高貴な方や一流の冒険者しか持っていないんです」


 「そうなのか? じゃあ、イリスはなんでアイテムボックスを持っているんだ?」


 「私のアイテムボックスは昔から家にあった物なんです。私が旅をする時に荷物を整理して、押し入れから見つけた品なんです。かなり古い鞄でしたが、私が色々と飾り付けをして可愛い鞄に変えたのですが、どうですか?」


 イリスの鞄は真っピンクにハートのマークがデコレーションされている。朔夜から見ればかなり痛々しい鞄に見える。


 「……うん…良いじゃないかな……たぶん…」


 「ですよね!! 流石はサクヤ様です!! 他の村の人達は私の鞄を見て笑ったり、貶したりするですよ!! まだ皆さんは私のデザインを理解するには早いようですね」


 「そうだね…(良かった、全員がイリスみたいな感性を持っているわけではないらしい)」


 朔夜は鞄しまい、イリスが持つと聞かないため鞄をイリス返す。そしてまた王都までの街道を歩く。

 朔夜は話題を変えようとし、イリスに関する事を聞いてみた。


 「なあ、イリスは何で旅をしているんだ?」


 「私ですか? 私は仕立て屋さんになるために旅をして色々な国の服造りを学ぼうと思って旅に出たのです」


 「仕立て屋…ってことは服屋か。へぇ~まだ若いのにイリスは凄いよな。歳は俺と一緒くらいなのに」


 「私はもう17歳になりました。サクヤ様は?」


 「俺も17歳だよ。なんだ同い年なんだ」


 「ですね。しかしサクヤ様。私達の世界では小さい子どもでも、働いている人は多いんですよ。働く理由は人それぞれですが、大半の方は15歳くらいには働いています」


 「へぇ~結構早いんだな。なら、イリス達は学校とかは行かないのか?」


 「“がっこう”…とはなんですか?」


 「学校が分からないのか! え~と、子どもを集めて、将来の為に勉強する場所かな」


 「サクヤ様の世界には、そのような場所があるのですね。私達は基本勉強は、親から文字や歴史を学んだりするのですが、大半の子どもはきちんとした勉強を受けれない方もいるのです」


 「そいつらはどうするんだ?」


 「自分で勉強をするしかないですね。私も自分で勉強していました。まあ、でも文字が分からなくても出来る仕事はありますから、それで困る人もいないんですよ」


 この世界には学校や学舎はない。朔夜のいた世界でも、そんな国はある。別にそれ自体はおかしな事はない。だが朔夜はイリスの話を聞いて、一つ疑問に思った事がある。

 疑問とは、イリスの服装について…。


 「待て、イリス! 学校が無いなら、どうしてイリスは学校の“制服”を着ているんだ? 学校が無いなら制服は要らないだろ!!」


 「“せいふく”? せいふくとはこの服の事ですか?」


 イリスは自分が着ている服を掴む。。イリスが着ている服装は、白いカッター シャツに青いカーディガンを羽織り、胸元には紅いリボン を付けている。下は黒いミニスカートに可愛らしいフリル が付いていた。

 イリスは不思議そうな顔で、朔夜に質問する。

 

 「何かおかしいところがありますか、サクヤ様?」


 「おかしいと言うか…イリスが着ている服はな、俺の世界では学校に通う人…学生が着るための服なんだよ。そういえば、最初に聞いて置くべき内容だったのに、つい異世界の物珍しさに負けて今まで忘れていたよ…」


 朔夜のいた世界の制服を当たり前のように着ている。これがこの世界の普通の服装なんだろうか。だとすると制服萌えのオタクなら天国であるだろう。


 「そんな服だったのですか。私知りませんでした。……と、いうことは…前に来た勇者様は、サクヤ様と同じ“学生”だったのですね!」


 「なんで、ここで前の勇者の話が出てくるんだ?」


 朔夜は首を傾げる。そんな朔夜にイリスは自分の着ている服について説明する。


 「実はですね、サクヤ様。私が今着ている服は、前に来られた勇者様の服を基にして作った服なんです! 一応前の勇者様は男だったのですが、そこは私なりに工夫して、出来たのがこの服なんです」


 「作った…!? 制服を!! えっ、制服ってそんなに簡単に作れるのか!?」


 朔夜はイリスの着ている服は、少し触る。普通なら警察関係が来そうな展開だが、朔夜は無視して触る。確かに見た目は朔夜の着ている制服(色やデザインは違うが、制服という根本的所は)に似ている。だが、触り心地をみると朔夜の着ている服より、安っぽい布地を使っているように感じていた。


 「凄い…制服を見たことないのに、作ったんだ。イリスって服を作る才能があるんじゃないか!!」


 「これでも仕立て屋見習いですから。でもそれを言われると照れますね! しかし、私でもサクヤ様の服を作るには無理ですね」


 イリスはそう言って朔夜のブレザーをベタベタ触る。イリスにとっては、ただ単に服の生地を調べているに過ぎないが、朔夜にとっては女性との距離が近いため心臓の鼓動が早くなる。


 「一体どうすれば、このような布地が出来るのでしょうか…。サクヤ様は知っていますか!?」


 「いや…俺は、服に関して全然無知なんだ」


 「そうですか…残念ですね…」


 イリスは朔夜から離れて軽く落ち込んでいる。だが、すぐに拳を作り…


 「でも、何時かは…サクヤ様の着ている服を作って見せます!!」


 「そうか、頑張れ。俺も知っている範囲なら教えるから…って聞いていないな」


 絶対ですよー、とイリスが奮闘する。そんなイリスを見て朔夜は優しく微笑む。だが、朔夜はさっきイリスの言っていた事が気になっていた。


 (前回の勇者が着ていたのは、制服…。なら、そいつは俺と同じ学生だったのか…。よく普通の学生が、魔王を倒せたな…。やっぱり、異世界から来た奴はチートみたいな力を授かるのか…?)




次も宜しくお願いします♪

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