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最強の勇者と最弱の勇者の物語!!  作者: 双月キシト
第1章 異世界者、再来!?
16/33

朝食と精霊術

書き上げました。宜しくです(*≧∀≦*)

 15分くらいで、イリスが朝食を作り上げる。メニューは野菜とハムのサンドイッチ、温かいコーンスープ、小さな果物だった。

 朔夜はサンドイッチを頬張りながら、イリスに昨日の出来事を聞く。


 「じゃあ、イリス。昨日俺が気絶した後の出来事を教えてくれ。俺がやられた後…あのゴブリンはどうなったんだ?」

 

 イリスもスプーンでスープを上品に食べながら話す。


 「はい、サクヤ様が倒られた後、すぐに私がゴブリン達を蹴散らして、サクヤ様を救出しました」


 「イリスが? イリスって、もしかして強いの?」


 「私ですか? いえ、私“自体”は強くないですよ。私は剣を振るう程の力はありませんし、魔法の才能もありませんが、私は“精霊術”を使えるんです」


 「精霊術…?」


 朔夜は聞いたことのない単語に、首を傾げる。この世界には魔法があるのは薄々感じていたが、精霊術という朔夜の知らないワードが出てきたため、朔夜はイリスに聞いてみた。


 「なあ、イリス。精霊術っていうのはなんだ? 魔法の一種なのか?」


 「いえ、魔法とは違います。魔力を行使はしますが、魔法とはまた異なった力なんです」


 「魔法とはまた違った力なのか。どんな力なんだ?」


 そうですね~、とイリスが頭を悩ませて考えている。その姿は可愛く見えるが、朔夜は煩悩を振り払い、イリスに質問する。


 「そんなに説明するのが難しい力なのか?」


 「いえ、この場合…説明と言うより、“信じられる”かどうかが問題ですね」


 「信じる?」


 「はい、そうですサクヤ様。例えば…サクヤ様は、この私の手の中に“何か”見えますか?」


 そう言ってイリスは両手を出して、朔夜に見せる。朔夜はジーとイリスの手を見る。


 「…生命線が長いな」


 「いえ、手相ではなくて、何か…見えませんか?」


 「……いや、何も見えない」


 「本当ですか? 何か手の平サイズの白いふわふわした丸い生き物みたいなものが浮いていませんか?」


 「いや、そんなのがいたら流石に気付くと思うが…」


 イリスは両手を下ろして、「そうですか…」と寂しそうな顔をした。朔夜は自分が何かまずい事を言ったと思ったが、何がダメだったのか最終的にわからなかった。

 

 「精霊術というのは、この世界にいる精霊の力を借りて発動させる力なんです」


 「え~と、さっきから気になっていたんだけど…“精霊”って何?」


 「精霊というのは、私達人間とは異なった存在…。世界の根幹を担う不思議な生物…。常に自然と共存し、森羅万象に宿る魂…と言われています」


 「言われて、いる? 確証はないのか?」


 「はい。今のは昔の学者がそう唱えている一つの学説に過ぎません。私自身も精霊とはなんのか…詳しくはわからないのです」


 果物を食べながら、イリスは右手で何もない空中を撫でる。朔夜にとってはイリスが何をしているのか、さっぱり分からなかった。朔夜の不思議そうな顔を見て、イリスは少し笑いながら朔夜の疑問を解かす。


 「サクヤ様は“見えていない”のでしょうが、今私の撫でている所だけでなく、私達の周りにはたくさんの精霊が集まっているです」


 「えっ!? だって、周りには…何も無いけど」


 周りを確認するが、朔夜とイリスの周りには精霊の影さえ朔夜には見えない。


 「精霊は“普通の人に見えない”です。精霊が見える人もあまりいないので、精霊術の実証が出来ないんです。私から見れば精霊術ですけど、周りの人は精霊が見えないため、魔法と勘違いされる事が殆どなんです」


 「まあ、確かに見えなきゃ確認のしようがないな」


 ここに精霊がいます、と彼女がいくら言った所で人から見えなければ信じてもらえない。朔夜も精霊を信じろ、と言われても信じられるハズはなかった。


 「ええ、サクヤ様が仰った通り、精霊の存在を証明する事は昔から進められていますが、まだ多くの人は精霊は神様みたいに『精霊いる。でも本当はいない』といった迷信の一つとされているんです」


 「でも、イリスはその精霊術を使って、俺を助けてくれたんだよね」


 「そうです。実際見てみますか? 『精霊さん、お願いします』」


 と、イリスは食べ終えた食器を持つと、食器が急に揺れ動き食器が空中を浮かぶ。すると食器の周りに突如水が現れ、食器が揺れ動きながら食器を洗っていく。


 「嘘!!」


 「まだまだ、これからですよ」


 洗い終えた食器は暖かい風で乾かし、全ての工程が終った食器がゆっくりとイリスの手に降りてくる。

 その光景を見ていた朔夜は唖然とした表情で見ている。そして全ての食器がイリスの手に降りて…


 「はい、洗い物終了♪」


 「えええええ!!!! 今のが!? 今のが精霊術!? 凄い……魔法とは違うんだな!」


 「魔法とは違いますね。サクヤ様から見れば独りでに皿が洗われているように見えますのでしょうが、私から見れば精霊が一人一人丁寧に洗っているように見えます」


 朔夜は初めて見た神秘な光景を見て、感動していた。その朔夜の感動している姿を見て、イリスは心配そうに朔夜に聞いてみた。


 「サクヤ様は…精霊がいる事を……信じてくれますか?」


 「当たり前だろ! イリスが言うんだから間違いないよ! これが精霊か!! スゲェなー、俺も精霊術を使えないかな!! 勇者なんだし、チートで上手く修得出来ないかな!」


 目を凝らして精霊を見ようとする。しかし半時程しても朔夜には何も見えなかった。


 そんな中イリスは、朔夜が先ほどの言葉が離れなかった。


 『当たり前だろ! イリスが言うんだから間違いないよ!』


 (思えば初めてでした。人に精霊が見えると言って信じて貰えたのは…)


 イリスは頑張って精霊を見ようとしている朔夜を見る。頑張った所で精霊が見えるとはイリスは思っていないが、その努力している姿にイリスは嬉しくなる。


 (良いもんですね。自分と共感してくれる人がいるって事は…)



 ◇  ◇  ◇



 イリスは洗い終えた食器や寝ている時に羽織っていた布を旅行用鞄に入れていく。そして身嗜みを最低限整える。


 「で、精霊術を使って、あのゴブリンを倒したの?」


 「“倒した”ではなく“吹き飛ばした”が合っていますね。風の精霊の力を借りて竜巻を作り、相手を空の彼方へ放り投げました♪」


 「竜巻…って、規模が凄いな。それじゃ、魔法と同等くらいの力があるのか…」


 「それはどうでしょうか」


 イリスは髪にブラシをかけて、返事をする。髪が解かされると風で綺麗に舞い上がる。


 「どうしてだよ、イリス?」


 「精霊術は、精霊が入ればいる程…強力になります。ですが精霊がいないと発動できないんです。つまり精霊が好まない場所では私の力は、無力に等しいです」


 「例えば?」


 「空気の淀みのある場所…遺跡の中や戦場や墓場は精霊は寄り付きません。それに…」


 イリスは服にゴミが付いていないかチェックする。汚れが付いていると叩いて落とす。


 「精霊術はその精霊の属性にしか力を借りられないのです。つまりここには風、水、土の属性の精霊しかいないので、私はその三つ属性の精霊術しか使えません」


 「充分じゃないか、三つの属性が使えるなら」


 「まあ、そうですね。ですが、この地域にいる魔物の属性はこの四属性のどれかになるんです。この手の属性を持つ魔物の苦手な属性は火の属性なんです」


 「へぇ~そうなんだ」


 「私は“この地域”で火の属性の精霊がいないので、火の精霊術は使えないのです。使える精霊術は相手の属性耐性を持つ精霊術しかありません、つまり…」


 「相手の有利な属性攻撃ができない…」


 「その通りです。火の精霊がいるのは火山とか暖かい気候にいるんですが、そこにいる魔物は耐性属性は火になり、苦手な属性は水になったりするのですが、その水の精霊がその気候にはあまりいないのです」


 イリスの精霊術は、完全に精霊に依存してしまうため、精霊がいなければ使えない。そして精霊の属性はその地域の気候と一緒になってしまい事が多く、その地域の魔物との相性では有利になる事は少ない。


 「“絶対”とは言いませんが、あまり相性で攻める事はできないんです。私がよく風の属性の精霊術を使うのはその為です。風の耐性を持つのはあまりいませんし、風の精霊はどの地域にも殆どいますから、力を借りやすいのです」


 「魔法なら気候や精霊に関係なく、相手の苦手な属性で攻める事が出来るから、精霊術より魔法が重宝されるんだな。意外なデメリットがあるんだな」


 「そこが精霊術が使われない理由の一つなんです。まあ“使わない”のではなく“使えない”のが現状なんですけど…」


 「そうなの?」


 「ええ…精霊術を使うには“色々”ありますので…」


 精霊術は簡単に使えない力らしいと理解した方がいいと朔夜は判断する。


 「ふ~ん。で、その後は?」


 「あ、はい。サクヤ様を救出して、森を出るまで精霊に運んでもらいました。周りの人から見たらサクヤ様は空中を浮かぶ怪しい人に見えていましたね」


 朔夜はその光景を想像してみる。すぐに膝をついて倒れ込む。他の人から見られたらかなり、恥ずかしいだろう。


 「大丈夫だよな!! 人に見られていないよな!!!!」


 「ええ…大丈夫ですよ。誰も通りませんでした」


 内心朔夜は、良かった~と思った。そんな姿を見られたら流石に恥ずかしい。


 「で、すぐに私が傷口に薬草を塗って、隣で看病していたのですが…途中で…」


 「寝てしまったんだな。いや、そこまでしてくれていたんだ。イリス、今更だけどありがとう。イリスのお陰で助かったよ」


 「いえ、私は当然の事をしたまでです」


 イリスはにこやかに笑いながら朔夜に言う。


 「で、これが昨日起こった出来事の全部です。そして…サクヤ様はこれからどうしますか?」


 「ああ、俺? さて、どうするべきかな。一応イリスとしばらく旅がしたいから、イリスと同じ目的地にしようかな」


 「なら、王都ですね。私はエメライト王都に行こうとしていたんですよ。それに王都ならサクヤ様の異世界人という話を聞いてくれるかもしれません」


 「そうか、じゃあ目的地はエメライト王都だな。道は分かる?」


 「はい、この街道を歩けば王都に着けます。では、サクヤ様、参りましょう」


 「ああ、イリス。これから宜しくな♪」


 「はい、サクヤ様♪」



 そして二人は、エメライト王都までの道を歩いて行く。


 そして、エメライト王国で前代未聞の事件が起こるまで、後…六日。




まだまだ、説明が続きます

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