決意の星空
少し書き方を変えてみました。意見が、あれば御願いします。
あと今回はちょっと短いです(^-^)
『やーい! 万年最下位!!』
誰かが俺に呼び掛ける…。そう“いつも”の呼び名で。
『また最下位だったな♪ あんだけ勉強しているのになんで点が取れねえんだ? 俺なんて一夜漬けでテストに望んで、これくらいは取れるのに』
うるさい。そんなの知るか。
『俺なんか勉強してないのに、学年十位に入るんだぜ。下になる奴の気持ちはわからんよ』
うるさい。お前は先生バレないようにカンニングしているだけだろうが。
『しかしなんでそんなに出来ないだろうね? もしかしてわざとやっているの?』
うるさい。そんな訳ない。俺だって…
『いや、考えようによってはある意味才能はあるじゃねえか。どんなに頑張っても絶対に最下位になるって普通じゃ有り得ないし』
『そうだよな♪ まあ、そんな才能欲しくないがな♪』
『言えてる言えてる』
うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!!!!
『『『良かったな、最下位♪ 人の下の気持ちが分かってな』』』
………………頼むから、止めてくれ…………
◇ ◇ ◇
「止めて…くれ……うっ…ん…?」
朔夜が目を覚ますと、そこは暗闇だった。一瞬自分は死んでしまったのか、と思い体を動かすと、身体中に鈍い痛みを感じる。
「痛っ……夢じゃなかったんだな…」
先程のゴブリンとの戦闘を思い出す。ゲームでは絶対に倒せるハズの雑魚キャラなのに負けてしまった。朔夜本人にとってはただのチュートリアルでしかなかったハズなのに…
「……負けてしまったな…。あんなに…イリスの前で大見得切ったのに…」
自分に期待していた人の気持ちを裏切ってしまった。そんな罪悪感が朔夜を心を蝕む。だが、落ち込んでいる中、一つ気になる事があった。
「そういえば…あれからどうなった? イリスは!!!?」
朔夜は身体の痛みを堪えて立ち上がろうとする。何か毛布のようなものを横にのけ、周りを見る。さっきは暗闇で何も見えなかったが、目が暗闇に慣れ少しではあるが、周りの状況が見えてくる。
そこは朔夜のいた森ではなく、草が生い茂る草原だった。更に朔夜は注意深く周りを見ると隣にイリスがいた。いやイリスが横になり寝息を立てて眠っていた。その様子に朔夜は安堵し、膝が崩れる。
(なんだよ、隣にいるのか…。心配して損した)
だが、それは違うと朔夜思う。彼女には余計な心配をさせてしまった。自分が物語の勇者なら、あんな負け方はまずしない。いや、“してはいけない”。勇者なら“勝たなければならない”。それが勇者と名乗る者の使命である。朔夜は眠っている彼女の髪を撫でる。
「ごめんな…。お前が望んだ勇者には程遠くて……」
もっと力があれば、もっと才能があれば、もっと勇者としての決意があれば、と朔夜は思ってしまう。そんな思いは人としても、勇者の在り方としても間違っているだろうが、朔夜は願った。自分を初めて受け入れてくれた人の夢を叶えたかった。それがどんなに許されなくても……
「俺は頑張るよ、イリス。この世界の勇者に…君が望んだ勇者に…なってみせる」
その言葉を呟いた瞬間にイリスが笑った。どんな夢を見ているのだろうか、気になるが朔夜の体がぐらり、と揺れる。昼間のゴブリン戦のダメージが抜けていないため、イリスの隣に倒れる。
「あ…」
イリスと朔夜の顔の距離がかなり近かった。イリスの寝息が聞こえる程の距離に朔夜はいる。朔夜の目がイリスの首から下に目を向ける前に、イリスから目を背ける。その表情は赤く染まっていた。
この反応を見て分かる通り、朔夜の女性経験は無いに等しい。
「なんか誰かに馬鹿にされた気がするが…まあ、いいか」
朔夜はイリスから目を離して、頭上にある星空を見る。さっきは気付かなかったが、星空は朔夜が今までに見た星空よりも輝き、幾千の星が瞬いていた。
「本当に別の世界に来てしまったんだな。イリスにこの世界の事を詳しく聞かないといけないよな」
朔夜は自分が来たこの世界でどう生きて行こうか考えながら目を閉じて、静かに眠りについた。
どうでしたか?
明日も投稿予定ですので、お楽しみ♪




