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最強の勇者と最弱の勇者の物語!!  作者: 双月キシト
第1章 異世界者、再来!?
13/33

チュートリアル

レビューをくれたお陰で、お気に入りが20近くまで増えました。


これは軌道に乗るべきか!!

 (何故だろう。ゲーム展開では絶対に負けない最初の敵なのに、まずゲームの操作を馴らす為のチュートリアルイベントの筈なのに…)


 朔夜は目の前の敵を見る。目の前の敵はゴブリン。しかもたったの三匹。この程度なら苦労なく倒せる敵の筈なのに、朔夜は誰にも聞こえない小さな声で…


 「……全く勝てる気がしない」


 愕然と項垂れる朔夜だが、敵は待ってくれない。ゴブリンの一体が、朔夜目掛けて走って来る。

 そして持っている棍棒で、朔夜を殴り付ける。


 「ギャァァアス!!!!」


 「うわっ!!」


 何とか朔夜は、棍棒を避ける。だが敵を更に棍棒を振り回す。それを何とか剣で受け止める。だが徐々に押され始める。


 「くっ!! …この…小さい体に…何処にこんな力が…」


 「ギェギゥギャハ」


 「何語…だ…よ、それ!」


 ゴブリンは醜悪な顔で笑う。残り二匹のゴブリン達は加勢する必要もないと判断して、ゲラゲラと笑いながら応援している。


 「サクヤ様!!」


 そんな中、イリスは少し離れた場所で待機している。その表情は不安で、今にも泣きそうな顔をしている。


 「サクヤ様、大丈夫ですか! 今から私が加勢します」


 「えっ良い……いや、イリス…大丈夫だ、ここは俺が…やる」


 一瞬イリスに加勢して貰おう、と思った朔夜だが、流石にここで助けてもらったら、あまりにも情けない。


 「ですけど…」


 「大丈夫…だよ、…直ぐに…終わるからな!!」


 朔夜は力を込めてゴブリンの棍棒を弾き、ゴブリンの脇腹に横蹴りをする。ゴブリンは横蹴りを食らい、吹き飛ぶ。だが、直ぐに起き上がり、朔夜に詰め寄る。控えていた二匹のゴブリンも立ち上がり最初のゴブリンと共に加わる。


 「「「ヴギィッ、ギャハ!!」」」


 「一匹だけでも、苦戦しているのに、まだ来るか」


 「サクヤ様…」


 イリスは心配そうに朔夜を見る。瞳には涙を貯めて今にも泣きそうだった。イリスのそんな悲しそうな顔をしているのに、朔夜は奥歯を噛み締める。

 (俺のせいで…そんな顔をさせているのか?)


 朔夜は剣を強く握り直す。


 (俺のせいで…泣いているのか?)


 朔夜は目を瞑り、深呼吸をして目の前の敵を睨む。さっきまで朔夜を纏っていた空気が、ガラリと変わる。


 (俺が…勇者なら、そんな悲しい表情をしなくて済むのなら!)


 朔夜は剣を構える。型も何もなく、ただ剣を水平にして敵に向けるだけだが、その剣は気のせいか輝きを放っている。


 「だったら、俺は勇者になってやる!!! 俺を必要としてくれる人がいるなら、俺は物語の主人公を演じてやる!!!」


 その言葉には、嘘も偽りもない。ただ一つの真実を、朔夜は彼女に言う。


 「サクヤ…様…」


 イリスは自分に向けられた言葉に感動して、涙を流す。

 朔夜はイリスのその顔を見て、安堵するが直ぐにゴブリンに目を向ける。彼女との約束を果たすために。


 「さあ…来いよ、ゴブリン共!!! お前の戦闘チュートリアルなんてスキップしないで倒してやるよ!!」


 「「「ギャァシナカ」」」


 朔夜が叫ぶのと同時にゴブリンは突っ込んで来る。恐怖や焦りが朔夜を包み込もうとするが、朔夜はそれを無視してゴブリンを迎え撃つ。


 「ヴギィッ」


 ゴブリンの棍棒を横にスイングさせる。それを朔夜は紙一重(本人は回避しているがギリギリ)で避ける。他のゴブリンも朔夜に攻撃するが、何とか回避する。


 (なんとか見える。これがいわゆる異世界者特有の身体能力アップっていう特典か!?)


 ゴブリンは何回も攻撃するが、全く当たらない。そのうちゴブリン達は息を上げてしまう。そんな絶好の攻撃のチャンスを朔夜は逃さない。朔夜は走りだし、ゴブリンに詰め寄る。そして、自分の持てる力を持って、ゴブリンに袈裟切りする。


 「うぉぉぉぉーーー、いぃっけぇぇーー!!!!」


 ゴブリンは朔夜の剣で、胴体を真っ二つに……されなかった。


 「あれ!?」


 切り裂く瞬間に、他のゴブリンが切り裂かれる寸前のゴブリンの腕を引っ張り、回避させたのだ。


 「えぇぇーー嘘!?」


 そして、朔夜が油断した瞬間に、もう一匹のゴブリンが朔夜の死角から、朔夜の右足目掛けて棍棒を降り下ろし、朔夜の足は鈍い音が鳴り、朔夜のダメージを与えた。


 「痛っ! こいつ…足を!」


 朔夜はその場で、崩れ落ちる。足を見ると腫れているが、折れてはいないようだ。だが、この足で歩くのは少し困難であり、戦闘を行うのは不可能に見える。


 「野郎…やりやがったな」


 ゴブリンを見ると、仲間うちでハイタッチしている。そして朔夜に目を向け、嘲笑っている。


 「サクヤ様!! 危ない!!」


 「大丈夫だ…これくらい、良いハンデだ…」


 「でも…」


 「心配するな…イリス。俺を信じてくれ!」


 ゴブリンは負傷の朔夜に一気に襲ってくる。だが、朔夜は持っている剣を鞘にしまう。そして、姿勢を低くし、剣を握る。


 (さあ、見せてやる! 俺の大好きな漫画、椰子呂龍慶の“抜刀術”を!!)


 『抜刀術』とは、納刀したままの剣を、抜刀と同時に相手を切り裂く技術。抜刀した時の速度で切り裂く為、相手を有無を言わさずに切ることができる。


 (これなら足を痛めていようが関係ない。近付いた時に切り裂けばいい!)


 そんな思惑とは知らずにゴブリン達は朔夜に突撃する。そして、ゴブリンが朔夜の間合いに入る。


 「今だ!!! 食らえ!!!」



 朔夜は思い切り剣を引き、抜刀する。
















 ……が、剣が鞘に引っ掛かり抜けなかった。


 「えっ!?」


 朔夜の間抜けそうな声を出す時に、ゴブリンが棍棒で朔夜の傷ついた足に、追い討ちをかける。


 「ギャハ!」


 「痛った!!」


 そして、もう一匹がジャンプして、朔夜の左肩に棍棒を叩き込む。骨がきしむ嫌な音が聞こえた。


 「ウゥエット!」


 「ぐぅは!!」


 最後の一匹がジャンプしたゴブリンの肩を踏み台にして、更に大ジャンプをする。そして、かなりの高さから、自身の全ての力を使って朔夜の脳天に棍棒を叩き込む。


 「テェリッオー!」


 「ゴハァ!!!! なんで…そんなにチーム…ワークいいんだよ…ガク」


 「サクヤ様ーーー!!!!」


 朔夜は力尽きて倒れる。薄れ行く意識の中で、イリスの声が聞こえた気がするが、更に頭に重たい衝撃が加わる事で、朔夜の意識を刈り取った。



...(。_。)φ


書いている自分が驚く程の弱さだ…

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