定番のイベント
かなり遅くなってしまいました。すいませんm(__)m。
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申し訳ありません。出来れば長い目で見守って頂けると幸いです。
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すいません。少しずつ頑張っていきますので、見て頂けると嬉しいです。
朔夜はイリスの話を聞いて、怪訝な顔をしながら考える。
魔王はいるけど世界を侵略しようとは思っていない。世界は平和であるはずなのに異世界者である勇者(朔夜)が呼ばれた。
(何でそんな時に俺が呼ばれたんだ? 別に世界が平和なら俺が来た意味がない。いや、違うな…)
朔夜はそんな自分の考えを否定する。
(“何故今呼ばれた”ではなく“何故俺が呼ばれた”か…だ。俺には魔王を倒したり、世界を救うなんて、出来るハズがないのに…)
勉強も、運動も人並み以下。自慢出来るような特技や才能の部類も無く、友達という関係を作った事もない。最近は家に引きこもり、ただ大好きなヒーローアニメやゲームばかりするような…そんなダメ人間。
事故にあった日だけは、学校から出席日数が足りないため、制服を着て学校に呼ばれた帰りにあの事故に巻き込まれた。
(本当に、俺はついてないな。普段は外出しない時に限って、あんな事故に合うなんて…。俺に世界を救うなんて、力は無いのに…。ただヒーローに憧れているだけの、ダメな人間でしかない)
朔夜はうつむいていると、イリスが下から顔を覗かせてくる。
「どうしました、勇者様?」
「えっ、いや…何でもないよ。それとさっきから思っていたけど、その“勇者様”は止めて欲しいのだけど」
「いえ、そんな事出来ません! 勇者様は異世界から来た人。異世界者という事は私達とっては、世界を救ってくれた人。つまり勇者様なんです! そんな勇者様をですね…」
「わかった、わかった! とりあえず“勇者様”と言うのだけは止めて。さっきから言っているように、朔夜と呼んでくれ!」
「わかりました、サクヤ様♪」
イリスは、ニコっと笑顔で答える。その笑顔は朔夜にとって眩しかった。今まで自分に向けられた好意な笑顔は、死んだ両親以外にはなかった。
イリスはそんな朔夜の気持ちに気付かず、憧れの勇者に会えて喜びを隠せないでいる。
「勇者様に会えるなんて嬉しいな~。私憧れていたんです。いつか世界を救った勇者に会えるのを…。まさか旅をして一週間くらいで会えるなんて夢のようです♪」
イリスは本当に嬉しそうに喋り、朔夜に語りかける。その笑顔を見て、朔夜はさっきまで考えていた事が馬鹿らしく思えてきた。
(そうだな…考えていたって仕方ない。もう異世界に来てしまったんだ、後戻りも出来ない。それに異世界なんてゲームの中でしかない事が起こったんだ。せっかくの異世界なんだし、充分に楽しめなきゃ勿体ない)
ファンタジーに溢れている世界。それは漫画やゲームの中だけだと思っていた世界。その世界に今、十六夜 朔夜はいる。そう思うと意外にも不安より躍動感が感じていた。これまでの自分になかったものが、この世界になら見つけられそうな気分がした。
(自分のいた世界に“居場所”なんてなかったし、こっちの世界で新しい人生を始めよう! でも、この世界の事を俺は全く知らないし。さて、まずはどうするか…)
朔夜はどうやって、この世界でどう生きていくのかを前向きに考えようとする。しかし…
ガサァ、ガサガサ、サッサ
近くの草むらから、風ではあり得ない程に草が揺れていた。朔夜とイリスがその草むらに注目する。朔夜は普通に草むらを見ていたが、イリスは警戒心を出しながら見ている
「なんだ、小動物かな?」
「だと、いいのですが…」
イリスの言葉に朔夜は疑問に思ったが、揺れていた草むらから小さい何かが飛び出して来た。最初はウサギか何かだと思っていたが、それは違った。
出てきた生き物は二本の足で立つ、二歳くらいの子供に見えた。
「子供…、迷子かな?」
「いえ…あれは子供でもなければ“人”ですらないですね…」
「えっ、どう見てもただのこどもじゃ…」
そういって朔夜は口を閉ざした。子供をよく見る。
子供は体が紫色をしており、腰に布切れを巻いただけで裸だった。手には大きな木槌を持っている。そして、一番注目すべきは、その顔。顔は子供にはない邪悪で醜悪な顔をだった。
「……なんだあれ…。あの子供は親から虐待でも受けて、性格がねじ曲がったのかな?」
「違いますよ、サクヤ様。あれは魔物です」
「魔物っ!? あれが!?」
「はい、名前はゴブリンという低級の魔物です。ギルドの魔物ランクは、確か…Dランクですね。戦闘力はあまり高くないですが、集団で戦うので、多少は厄介になる魔物です」
朔夜は初めて見た魔物を見ていた。元いた世界には絶対に存在しない生き物…それが魔物。魔物を見て、朔夜は初めて異世界に来た事を実感した瞬間でもある。
更にゴブリンが出てきた草むらから更に二匹のゴブリンが出現した。合計で三匹なる。
「あんなのがうじゃうじゃいるのか、この世界には?」
「はい。確かに、この世界には魔物は数多くいますけど、この街道近くに出てくる魔物は珍しいですね。多分、あのゴブリンは住み家を追われたはぐれゴブリンの可能生があります」
「はぐれゴブリン?」
「普通のゴブリンとは違い、ほんの数匹で行動するゴブリンですね。大抵は他の魔物等の餌になるだけですけど。ゴブリンは集団でこそ、脅威になる魔物ですので」
淡々と魔物の説明をするイリスに、少し弱気になる朔夜。魔物がいる世界ではこれが当たり前の知識かもしれない。
「なるほど…。ちなみに、イリス。あのゴブリンと和平交渉は出来るかな?」
「……おそらく無理ですね。ゴブリンは知能が低く、会話なんて出来ませんし、戦闘狂のところがありますから。相手を見て敵わない敵には逃げ出す者もいますが、私達ではまず見た目では怖くありませんから…」
だよな~、と朔夜は思った。ゲームに出てくるゴブリンもそんな設定だし、まず無理だろうと思っていはいたが、一応の確認で質問をしていた。
ゴブリンは朔夜達に詰めよってくる。手に持っている武器を振りかぶりながら…。
(うわ~やる気満々だな。さて、こっちも殺られる訳にはいかないからな。ゲームでいう所の戦闘コマンドは…)
どうしますか?
・たたかう
・まほう
・どうぐ
・はなし
・にげる
(よし、“逃げる”で決定だ!)
頭の中で組み立てた作戦立案で、迷いなく『逃げる』を選ぶ。
(俺は戦った事はないし、喧嘩はめちゃくちゃ弱い。イリスはどうかわからないけど、戦えるようなには見えない。つまり…戦闘を行えるような状態ではないということだ!)
朔夜は目の前にいる魔物から逃げようと立ち上がる。小さいゴブリン数匹くらいなら逃げ出せると践んでいる。
(別にイベントバトルみたいに、逃げてはいけない理由なんてない。大体こんな魔物といちいち相手にしたら直ぐに体力が尽きたり、怪我をする可能生がある)
朔夜はイリスを見ながら、この状況をどうするか決める。
「イリス…分かっているね?」
朔夜はイリスにそう言うと、イリスは一瞬考えて込むが、直ぐに朔夜の言っている事に分かったのか、笑顔で返事をする。
「はい、サクヤ様! 少し待って下さい!」
イリスは自分のバックから何かを探している。多分、逃げる時に使う煙玉とかを探しているのだろう、と朔夜は考えている。
そして、イリスがバックの中から“ある物”を朔夜に手渡す。
「サクヤ様! これを使って下さい!」
「ああ、ありがとう! よし、早速…ん?」
朔夜は手がズシッと重くなった。目を向けると朔夜の手に剣が握られていた。剣はゲームなんかに出てくるショートソードに酷似していた。朔夜は、持たされた剣とイリスを交互に二度見して、イリスに問いかける。
「なあ…イリス、この剣は?」
「はい、ショートソードです。本当はもっと性能の良い剣が良いのかも知れませんが、私が今持っているのかこれしかなくて…。一応私の村の村長さんが『外は危ないから』と言って渡されたのですが、持たされて正解でした♪」
「そうなんだ……。で、イリス…このショートソードを使って、俺はどうすればいいんだ?」
「勿論、あのゴブリンをやっちゃって下さい! 大丈夫ですよ、ゴブリンは集団でこそ脅威になる魔物ですから、三匹程度では怖くありません。それにサクヤ様は異世界者なのですから、あのくらい簡単に倒せますよね!」
イリスの目がキラキラと輝き出す。その目は「朔夜が勝つことは当たり前」である期待に満ちた目だった。朔夜はそんなイリスの目を見てガックリと項垂れた。
(忘れていた…『異世界者は強い』『勇者だから勝って当たり前』とか思っている子だったのを…。)
朔夜はもう一度ゴブリンと剣とイリスを見る。
ゴブリンは朔夜が剣を持っているため、少しずつ詰め寄りながら、攻撃のチャンスを伺っている。
イリスに渡された剣は初めて見るが、とても綺麗で洗練されているようにも見える。多分、あのゴブリンくらいなら、ゲームみたいにバッサリ、と真っ二つに切る事が可能だろう。
そして、イリス。イリスはさっきと同じように朔夜に期待に満ちた目で見てくる。
以上を踏まえて、朔夜は再び戦闘コマンドを選ぶ。
どうしますか?
・たたかう
・たたかう
・たたかう
・たたかう
「…………“たたかう”しか選択肢ないのか」
何故か普通のバトルからイベントバトルに移行、逃げる禁止となってしまった朔夜。剣を握りしめ、戦うことを決断してしまう。
遂に、モンスター(魔物)登場♪
そして、何故か逃げられない主人公(^_^;)
次回はバトルパートです。お楽しみ♪




