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最強の勇者と最弱の勇者の物語!!  作者: 双月キシト
第1章 異世界者、再来!?
11/33

昔の世界

かなり、遅くなりました。すいませんm(__)m






 「これは昔々、本当にあった出来事です……」



 朔夜はイリスが読む童話の内容を聞いていた。内容はわりとありふれた王道の勇者物語だった。

 今から1000年前、世界は悪い魔王が世界を破滅と混沌に包み込もうとしていた。魔王は強くこの世界の住人は誰一人魔王に勝つどころか、魔王に傷一つ付けることが出来なかった。


 「皆は考えました。どうにかあの魔王に勝てる者はいないのか、と」


 イリスは不安な気持ちで読んでくれる。物語が伝わり易いように感情を入れていると思っていたが、彼女は本心でこの先がどうなるのか気になっている様子だった。「本のストーリー知っているよな」っとイリスに聞いてみたが本に夢中なのか無視された。

 ちなみに朔夜はイリスの隣で絵本を見ているが、イリスとの距離が近いため、少し顔が赤い。


 「すると、ある人が言いました。この世界に勝てる人がいないなら、この世界ではない別の世界から魔王を倒せる者を呼ぼう、と」


 そして、この世界の人々は異世界から魔王を倒せる者を召喚した。召喚した人はこの世界にはいない黒髪黒眼の少年だった。少年に事情を説明して魔王を倒して欲しいと人々は懇願し、少年は承諾した。


 「異世界の少年はこの世界で出会った仲間と共に魔王とその軍勢に立ち向かいました。仲間と協力して世界の平和の為に彼らは戦いました」


 イリスは眼を輝かさせながら本をめくっていく。最初は朔夜の為に読んでいたハズなのだが、イリス自身が夢中になり本を読んでいく。朔夜はそんなイリスを見ながら本の内容を聞いていく。


 「勇者とその仲間達は数々の強敵と戦い、そして遂に魔王に勝負を挑みました。魔王の力は強大でしたが、勇者は仲間達と力を合わせて、魔王を倒すことが出来ました」


 イリスは嬉しそうに物語を読む。朔夜は隣で絵本を見ているイリスの笑顔が可愛いと思っている。


 「魔王が倒されると、魔物の軍勢は力を無くしいなくなりました。こうして世界は平和になり、勇者とその仲間達は平和な世界で楽しく過ごしました。めでたし、めでたし…」


 本に閉じて、イリスの顔には何故か満足感に満ち溢れていた。イリスが「どうでしたか?」と聞かれたが、朔夜は「良かったよ」としか言えなかった。

 しかし、イリスの絵本のおかげで簡単な世界の簡単な歴史とこの世界の人にとっての、異世界者がどのように見られていることが朔夜はわかった。


 「つまり昔に世界を救った勇者は異世界者で、この世界の人にとっては異世界者は世界を救ってくれた恩人なんだね?」


 「はい、そうなります。当時の異世界者は、絶望で染まっていた私達の最後の希望でした。圧倒的な力を誇る魔王を倒せるただ一人の存在だったと聞きます」


 もう1000年も前の話。誰もが御伽話としか覚えていない。だが…それでも現在の人々の多くは異世界者を敬い、感謝している。中には異世界者を神と崇めている人々もいるとか。


 「最初の異世界者と俺以外には異世界者は来たことはないのか?」


 「いませんね。この1000年間の内に異世界者は現れたと伝え聞いていません。そうすると朔夜様はステンシアに現れた異世界者では、歴史上二人目になります」


 「歴史上の中で二人目って…聞こえは良いけど、前の異世界者と比べられたら嫌だ…」


 と思った瞬間、朔夜はある“最悪な”設定を思い出す。


 「もしかして俺が呼ばれた理由って、また魔王が現れて世界征服を企んでいるのか? そして魔王を倒す為に、俺が呼ばれた……」


 朔夜の顔面が蒼白に変わる。はっきり言って、“朔夜の力”では魔王に勝つなど夢物語で話にもならない。

 もしかしたら異世界に行けば、神から祝福や女神の加護を貰ってチートのような力を手に入れる事が可能なのかもしれないが、今の朔夜自身には身体能力が上がったり、溢れる程の魔力的な力を感じない。

 そんな心配を他所に、イリスは朔夜の考えを否定する。


 「それは無いと思いますよ。今の魔王は世界を侵略する気は無いらしいですから」


 「えっ、そうなの?」


 「はい。今の魔王が現れたのは今から約300年前くらいでしたっけ? その時は世界の終わりだーとか言っている人が大勢いたのですが、各国々に魔王から『俺様は魔王だが、世界に興味は無いから』という内容の手紙が来たようです」


 「なんだよ、それ! それでも魔王なのか? それに各国の人もそれを信じたのか!?」


 何をどうすれば信じられるのかわからない。そんな平和主義なら魔王を名乗ってどうすれか意味がわからない。本当は馬鹿にされてるのではないか? 朔夜は思ってしまう。


 「いえ、最初は魔王が姑息な手を使ったんだな、と国が思っていたのですが、何年経っても魔王からの侵略行動が無かったんです。こちらから軍を出して行く案もあったのですが、前魔王の力を恐れて誰も迂闊に魔王に挑戦しなかったんです」


 「まあ、仕方…ない…のか?」


 確かに魔王の力は強大だろう。だがあまりにもビビり過ぎではないか? と朔夜は思ってしまう。


 「まあ、他に冒険者達が魔王の首をあげようと魔王のいる領地に出向いたのですが、誰一人帰って来た人はいないそうです。中にはSランクの実力を持つチームもいたらしいのですが……」


 「…………」


 魔王の名は伊達ではないらしい。流石に並みの人では勝てない設定があるのだろうか。


 「ですから、ここ数百年は干渉が無く、各王国は魔王軍の動向を探っているのが現状なんです。お分かりいただけましたか?」


 「まあ、何となく…」


 やっぱり何処の魔王も強いな~と思ってしまう。そして、そんな魔王を倒す勇者も凄い人なんだなと改めて思う朔夜である。



 そんな二人を草むらから、見ている者がいた…




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