第一章 邂逅
少女の部屋を出ると、先が見えないほど長い廊下が続き、これまた埃を散らしていた。真向かいの、窓からは澄んだ青空が見え、時折雲が陽気にぷかぷかとやってきては、消えていく。
とりあえず右側に見える階段を目指して歩いていると、守られた静寂を貫くように、カツカツと靴の底を鳴らし歩いて来る足音が階段の方から聞こえてきた。足音はだんだん遠ざかっているようなので、上に登っていっていることは容易に予測できる。
得体の知れない相手なので出来るだけ足音を鳴らさないように慎重に階段へと足を進めた。その時…
「きゃっ!」
頭上から聞こえてきた、耳を劈くような高い声と共に、真っ白な塊が階段を転げ落ちてきた。そして、目の前で尻もちをついた後、座ったまま、私の方に体を反転させ、ひたと見据えた。
碧に輝く宝石の様な瞳に、絹の様にさらさらと床に流れる金色の髪。胸元に大きなリボンのついた、薔薇の飾りやレースにまみれた純白のドレスを身に纏い、頭にはお揃いのヘッドドレスまで着けている。
外人のような外見をした彼女は目があった瞬間、サファイアのように煌めく瞳に、涙をいっぱいに溜めた。
「うう…よかった…1人じゃなかった…!」
「あの…貴方誰…?」
と言った瞬間、頭が突然痺れ出した。曖昧な意識のなかで、記憶の断片と断片が結合して行くのが分かった。