第一話 思い出
ありがとうございます!!
「和人ー、そこら辺にある笑真の教科書と筆箱取ってー」
「はぁ?なんで俺がとんなきゃなだよ」
そう言いながらも、話しかけてくれるのがうれしくて、頼られてるのがうれしくて、にやけそうな顔を抑えつつ、「ほらっ」と筆箱を投げてやる。
「よっと。ありがとー」
そうニコニコ笑って、友達のところへ戻っていく彼奴。その後姿を俺はいつまでも見つめていた。
☆★☆
「和人ー、笑真受験するって言ってた?」
小6の秋ぐらいだろうか。そう母に尋ねられそういえば聞いていなかったなと思いLINEする。
『お前、受験すんの?』
しばらくして既読が付き、
『しないかな、学校と家の距離近くなったし』
と返ってくる。そういえば彼奴、小4の時に引っ越したから、『中学校と近くなった~』とか言ってたなと思い出す。
「しないって~」
「じゃ、和人もしなくていいね」
なんか当たり前のようにあいつと同じ学校に行くことになってるけど…。もしかして母さんにバレてる?少し恥ずかしい、いやだいぶ恥ずかしいけど、うまく引っ付けてくれるだろうと信じ俺は何も言わなかった。
次の日俺が学校に行くと彼奴は晴と楽しそうに話していた。
「でね~、もちが……」
「はは、結構どんくさいな」
二人だけでの話題に盛り上がっている所には入れなかった俺はちょうどその時来た恭介のところへ行き、
「恭、ドッヂしに行こうぜ」
そう明るく言ってごまかしたのだ。自分の心にの中に秘めているどす黒い感情を。




