第83話
黒騎士秘密魔法その七、最大強化。
読んで字のごとく、黒騎士の能力を最大限に高める魔法だ。
身体能力、自己治癒能力、魔力……全てを一時的に今まで以上に強化出来る訳なのだが、その強化率なんと約十倍!!!
今までの十倍以上の戦闘能力を得ることが出来る超強力な魔法なのだ!!!
ただ当然めっちゃデメリットも大きい。
まず、発動時間が約五分程なのと、発動後自分に返ってくる体の負荷が半端じゃないの……そしてこれが最大のデメリットなのだが……。最大強化発動後は当分の間、黒騎士への変身が不可能になってしまうのだ。
この当分というのが味噌で、実はどれぐらい変身不可能になるのか俺自身分からないのである。
一時間なのか、一日なのか……はたまた一週間や一カ月なのか……マジで分かんない。
黒騎士秘密魔法を七つ考えるにあたって、奥の手的なものが欲しいなーってな感じで考えて作った魔法なのだが……正直デメリット大きすぎるし、普通のままであんま苦戦した事無いから使うことないと思ってたので、その辺の検証を行った事が無かったのがここにきて悔やまれる。
まぁデメリットを恐れて使わない状況でも無いので使うが、もしこいつに勝っても体への負担で俺死ぬんじゃね??
なーんて阿保な事考えつつ……俺は最大強化を発動する。
「おお……おおおおおお!!?すげぇな黒騎士ぃ!!お前の魔力……力……おお!!?体まで治ってんじゃねぇかぁ!?」
バエルが感動した様に、両手を叩きながら言うが……その余裕たたき割ってやるぜ!!!
ちなみにバエルが言った様に、最大強化発動中俺の体はどんどん回復する。それは千切れそうな右腕だけじゃなく、斬られたランスや盾……そして鎧も同様にだ。
まぁ最大強化が終わればまた元通り所か、もっとボロボロになんだけどな!!
後、今はまだ高速魔法を発動中なので、周りが止まって見える程の空間だが……最大強化を発動した俺のスピードはこんなもんじゃ無い!!!
「いくぞ!!」
「くっはは!!こぉい!!黒騎士ぃ!!!」
俺は超高速魔法を更に発動して、超超高速となりバエルに襲い掛かる。
最早止まって見える所か、完全に静止した時の中で、強化した魔力を滾らせてバエルにランスを突き立てるが……バエルはそれを余裕をもっていなす。
くそ!!!やっぱこいつも更に早く動けるのか!!!
「くくくく……。いいねぇ……黒騎士。お前は今、時間を超越した存在になっている!!時間を操るなんざ神々にとっては普通だが、今お前はそのステージに立ってるんだ!!」
「ふん……!神々とは大きく出たな……!まるで自分が神とでも言うつもりかね……?高々少し強いだけの魔族の分際で……!!」
止まった時の中で、俺のランスとバエルの剣が火花を散らす。
さっきは発泡スチロールみたいに簡単に切り裂かれていたランスだけど……強化された今は簡単に切り裂かれたりしない!!
「俺が神ぃ?はは!!笑わせるぜぇ!!神なんざどうでもいいね!!あいつら俺の遊びにちょっかいかけてきやがった癖に、何匹か殺しただけで恐れて天界に逃げて引きこもりやがったぁ!!つまらねぇ連中だぜぇ!!!」
怖すぎ!!
こいつのやる事成す事怖すぎない!!?そういやさっきも神々殺してまわってたって言ってたけど!!
「時間の次は空間だァ!!黒騎士ぃ!!こいつを受けきれるかぁ!!?」
言葉と共に、バエルは大きく振り上げた片手の剣を勢いよく振り下ろす!!
これは……絶対に受けちゃいけないやつ!!!
俺の直感通り、振り下ろされた斬撃は世界を割り……空間に亀裂の様なものを残した。
「上手くよけたな!!だがァ!!まだまだ行くぜぇ!!!」
その言葉通り、バエルは先ほどの様な空間を切り裂く斬撃を、両の剣から次々に打ち出す!!
俺はそれを必死に避けながら、反撃の機会を伺うのだが……こいつマジでヤダ!!!
そーいう大技はちょっと溜めが必要とか、使った後はインターバルが必要とか……そんな感じでバランス取れよ!!!調整どうなってんだよ!!チートだろ!!!
「お前もやってみろよ黒騎士!!お前なら出来る!!!お前なら……俺の所まで辿りつけるはずだァ!!!!」
出来るかぁ!!!
今でいっぱいいっぱいなんですぅ!!!
しょーじきもう限界が近い!!!てゆーか俺、さっきの十倍ぐらい強さが上がってる筈なんだけど、こいつ普通についてくる所かどんどんボルテージが上がっていってる……。
つまりこいつはまだまだ本気じゃないって事だ。
これはまずい……ここまで差があるとは流石に思わなかった。
でも……このままじり貧で負ける訳にはいかない……!!
俺は決死の覚悟で…………最終手段を取ることにした!!これが駄目なら……もう何やっても無理!!
そして俺は……更に最大強化を自身に掛ける!!気分は……界〇拳二十倍だァ!!!
「こおおおおおおお!!!!」
「うおおお!!?更に力が上がるのかぁ!!?黒騎士……お前は本当に……最高だぜぇ!!!!」
目の前が赤くなる。 最大強化を二重に掛けたせいなのか……体が悲鳴を上げてる。
それでも俺は体の悲鳴を無視してバエルに突進していく。お願いだからこれでも普通に対応してこないでくれと心で祈りながら……!!
そんな俺の祈りが通じたのか……初めてバエルが俺の動きを追い切れていないのか、俺のランスに肩を貫かれる。……少し体を捻って致命傷は避けた様だが……このまま魔力を流し込んで内部から一気に破壊してやる!!!
その思いでランスに魔力を溜めようとして……脇腹に鋭い痛みを感じた。……バエルの蜘蛛の足が俺の鎧を貫通して、脇腹に突き刺さっていたのだ……!!
「ははははは!!ダメージ受けるなんて久しぶりだぜぇ!!!もっとだァ!!もっとこおおい!!黒騎士ぃイイイイ!!!!」
「お望みとあらばとことんやってやる!!!消え失せろバエルゥウウウウウ!!!」
俺も自分のダメージを無視してランスに極大の魔力を溜める。しかしバエルは肩に魔力を溜め、内部崩壊を防いでいる様だ!
だがこれでいい!!これがいい!!
肩に魔力を溜めたお陰で……全身の防御するための魔力が少し減った!!!……ここでぇ!!!!
「最後の閃光!!!!」
「おおおおおお!!!!??」
俺は密かに盾にチャージしていた魔力を解き放つ!!!
最大強化を二重に掛けて行われた俺の必殺技は、今度こそ完全にバエルを捕らえて……辺りの空間をひび割れさせながら、バエルを遥か彼方まで吹き飛ばした……!!!
今度は一応街に被害を出さない様に、街と逆向き、かつ少し上空に撃ったけど……なんか今の技のせいで周りの空間がひび割れてる気がする……。
でも………一応勝ったのかな……??
吹き飛んで行ったバエルだけど……今のは痛かったぞぉって普通に戻ってこないよね……??
俺はしばらく、バエルが吹き飛んで行った上空を見ながら戦々恐々とするのであった……。




