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第63話 これって私が可笑しいの!?(魔族ベリアル視点)

「いや可笑しいでしょ!!!?」


 私の叫び声が事務所内に木霊する。

 

 私の名前は魔王様直属の配下九天王ベリアル。魔王軍の栄えある最高幹部の一人である!


 私は今、人間界のルセリオ王国首都、セントリアでアイドルプロデュース会社エーデル・アークの社長をしている。

 魔族なのにアイドル会社の社長?と思うかも知れないけど……くほほ!そう思ったお前は随分と青い事になるわ!!


 この街の技術力は実に素晴らしい。魔族の私から見ても多分世界一なんじゃないかしら?

 

 そして何より素晴らしいこの街の発明は……そう!!あのスフィア!!!

 あの魔道具スフィアだけど……本当に(無駄に)素晴らしいの!!!


 なにせ人々の希望とか、喜びとか……そして音楽とかを吸収して増幅させる力を持った魔道具!!なんて……無駄な事にこの街の人間は力を入れているのかしら!!あの魔道具のエネルギーは凄まじいものがあるというのに!!


 でも私はそれを鼻で嗤うなんて事はしなかった。


 そう!!

 人間どもの希望を最大限の絶望に変えてやるのよ!!くほほ!!


 あの子達アイドルが最高に輝く舞台……セントラルステージで、人々の希望を絶望に変える!!

 具体的にはライブ中に不慮の事故とか……そういった類のものでスフィアを絶望に染め、人々からの希望を奪ってヤル!!……って息巻いてたんだけど、実際あのスフィア、絶望とかには全然反応しないの!!


 でもあのスフィアのエネルギーはまーじーで莫大なので……私は計画を変える事にした。


 それが私もアイドルプロデュースして、私がプロデュースしたアイドル達を優勝させ……その時のスフィアのエネルギーを根こそぎ私がもらうって計画!!

 なんでわざわざ自分のアイドル優勝させる必要があるの??って疑問に思うかもしれないけど……そこには深い訳がある。


 それは……私が育てた子達が優勝した時の方が、私自身の喜びとしてスフィアのエネルギーを奪えるって事!!……ん?ちょっと何言ってるか解らないって?


 そもそもスフィアのエネルギーを奪う為には、私自身の喜びエネルギーみたいなのが高くないと、奪えないってことが解ったの。

 魔道具スフィアのエネルギーが他のアイドル達の時に莫大に貯まったのを盗んでも、直ぐにエネルギーが萎れてしまう。


 でも、私の子たちが優勝した時、私の喜びエネルギーがスフィアの側にある限り、スフィアのエネルギーが萎むことが無いという事が解ったの!!!そしてそのエネルギーを取り込むことも出来ると!!

 

 なぜ解ったかというと、暇つぶしにやった子供たちに歌を教えて歌わせた時に、思った以上にその子たちが歌が上手くて私や周りの人間たちのテンションが上がり、そしてその時におもちゃのスフィアが反応して……そのエネルギーを取り込むことが出来たから!!

 

 つまーり!!私が手塩をかけて育てたアイドル達が優勝したその時!!会場のスフィアのエネルギーを私が根こそぎ頂いて……私は見たことも無い程の究極の力を手に入れるって訳!!!


 長々と説明したけど……だからこそ私はアイドルプロデュースしてるって訳!!


 さて、そんな私の可愛いアイドル達、Devil's(デビル) Wink(ウインク)なんだけど……なんと今年はセントラルステージの舞台に立てそうなの!!!


 あの子たちは本当に……頑張った!!

 

 この街の裏通り、つまりスラムにいるような餓鬼どもを集めて……ここまで頑張って育て上げたのだ……嬉しさも目白押しねん!!


 そしてセントラルステージまで最後の難関……セントラリア・ルミナフェスにてあの子たちは三位の成績を収めた……!!

 ランキング上位五位まで行けるセントラルステージの切符を……まさにつかみ取る事が出来たのだ!!本当に頑張ったわ!!


 でも私の喜びは……驚きに塗りつぶされた……。


 だって…………Lumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の新しいセンターの娘……あれ白銀の(エンシェント)ドラゴンじゃね??


 え??なんで???


 Lumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)のメンバーは、不慮の事故で今は二人抜けていると聞いていた。

 今年の初めから勢いがあったLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の失踪に私は……普通に同情してた。

 

 一人はライブ中の事故、そしてもう一人は……多分公表されてはいないし、一部の人間しか(私は魔族だけど)知らないだろうけど……なにやら連れ去られて……ドラッグを飲まされていたらしい。

 今裏通りなどで話題のドラック、舐めるキャンディ型ドラッグ『ハッピー』……。


 それを大量に摂取させられていたらしく……もはや廃人も同然だったそうだ。可哀そうに……。


 ……あ!!誓って犯人は私じゃない!!


 そもそもそのドラッグを作っているのは、この国の人間のマフィアの連中だそうだし、そのマフィア……ラ・ローザ・ネーラの連中はあくまでこの街ではなく、この街よりかなり離れた街のマフィアだ。


 でも……最近そのマフィアの連中も、少しずつこの街に侵出してきているらしくそのドラッグもその影響らしい……。嫌な世の中ね……。


 ともかくそれでLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)は今年は難しいかと思っていたが……なんでも新メンバーを加入し、また復活したという事は聞いていた。


 でもその新メンバーが……白銀の(エンシェント)ドラゴンなんて聞いてないわよ!!?


「いや可笑しいでしょ!!!?」


 私の叫びがまた、誰もいない事務所に木霊する。


 いやいやいやいや!!勇者はなにしてるの??あれは罠なの???私をおびき出すための罠!!?

 

 白銀の(エンシェント)ドラゴンが私達魔族に狙われてる事なんて、勇者達からしたら周知の事実でしょ?え?知らないの??

 いやいや、隣の国で私と同じ九天王を三人も打ち倒した勇者だもの!!知ってる筈よね!!?その時白銀の(エンシェント)ドラゴンも居たって聞いてるし!!!


 そんな白銀の(エンシェント)ドラゴンを公衆の面前で歌って踊らすなんて……何考えてるの!!?

 あれじゃ私達に狙ってくれって言ってる様なものだ!!


「あーーーーもう!!私はそれ所じゃないってのに!!ドーしろって言うのよぉ!!?」


「随分とお悩みの様だなぁ?」


 その瞬間空気が沈んだ。いや、淀んだ、と言えばいいのだろうか?

 

 ここは私の事務所、私の城……だというのに……彼が現れた瞬間、その全てを奪われた感覚。

 圧倒的強者との対峙……、絶対的な捕食者との対峙………彼の名は……。


「バ……バエル……様……!」

「おいおい?俺たちゃ同じ立場……九天王だったか?……なんだろ?様付けはいらねぇよ」


 魔王様をも超える武力を持った魔族最強の男、バエルが私の前に現れたのだった……。

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― 新着の感想 ―
ベリアルさん、身内判定が緩いのかアイドルだと人間相手でも不幸には同情出来るぐらいだから、力を得ても延々とプロデュースにそれを注ぎ込んでレジェンドになれそう。穏便に生き残ってほしい
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