第53話
「お待たせいたしました!!皆さんお待ちかねの今話題の歌姫達!!!このセントラルステージでついに彼女たちの歌声を披露する事が出来ます!!」
「「「うおおおおおおおお!!!!!!」」」
観客たちのボルテージも最高潮に上がったステージに、いよいよ俺達は飛び出そうとしてきた。
心臓が高鳴り高揚する!今まで俺達がやってきた事を今!!ここにぶつけるんだ!!
「彼女達こそ今我々が求めている存在!!彼女達こそこの街のホープ!!!」
「皆……よくここまでついて来てくれたね……!今まで辛かった事も、苦しかった事も……ここで全部出し切ろう!!」
リーダーの兎耳少女、ラビルが俺達に声を掛ける。思い返せば辛かった事ばかりだ……。
でも!ここで皆と最高のステージを作る為だと思えば笑顔に変えることが出来る!!
「コウ!!」
「クルミ……」
「センター……任せたわよ……!適当にやってたら……すぐにその席譲って貰うんだからね!!」
「クルミ……。うん!任せて……。私、全力で歌うよ!」
「……ふん!!」
可愛らしいピンク髪の美少女であるクルミが俺に激励をくれる。
一方的にライバル視してきたクルミも今では本当に頼れる……相棒だ!
俺は皆を見渡す。
思い返せば皆最初はピリピリしていた。……皆の生い立ちとか状況とか考えれば当然の事だ。
でも今は……最高のチームだと断言できるよ!!
「さぁ!!!登場してもらいましょう!!!Lumi♡Twinkleの皆さんです!!!」
「行くよ!!Twinkle~~~~GoGo!!!」
ラビルの掛け声と共に、俺達はステージへと駆け出す!!
ここからが俺達のステージだ!!
…………いや待て!!!!!前振りが長いよ!!!?
どうしてこうなった!!?なんで俺がヒラヒラのアイドル衣装着て、皆とアイドルやってんだ!!?
というか時代設定とかどうなってんだ!!?ここ!!
俺はようやく正気に戻り、気絶しそうになりながら、なぜこんな事になっているのかを思い返していた……!
◆
「やはり他の三人の勇者達にも助力を願うべきです」
始まりはマリィの一言だった。
魔族の爆破事件から早三週間。
街の復旧作業も順調に進められており、完全に元の街に戻るにはまだ時間が掛かるけど、それでも街は活気を取り戻しつつあった。
そんな中、マリィ達とのお茶会に珍しくエイシャも交じって談笑していた時、話は事件の事になった。何とか今回魔族達を退けた訳だが、それでもギリギリの戦いだった。
今後の戦いに備えて、戦力をどうするかと話していた時にマリィが他の勇者達の事について言及したのだ。
「あまり気乗りはしないな……。奴らの素行は褒められたものではない」
エイシャは顔を顰めて言った。
まぁ気持ちは解る。
俺は直接他の勇者達に会ってないから噂程度しかしらないけど、それでも彼らのやっている事は度が過ぎてると思う。……まぁもしかしたら……根も葉もない噂かもしれないけど、火のない所に煙は立たないのだ。
それに、他の勇者の素行のせいでエイシャも少なからず被害は受けているだろう。勇者の評価とかで。
「それは解っていますわ。しかしこのまま私達だけで戦い抜くのは不可能だとも思っています。あの魔族は魔王様直属の配下九天王を名乗っていました」
「九天王……だと?」
「はい。恐らく彼らこそ、魔王軍の本当の主力戦力なのでしょう。たった一人の魔族にあそこまでの苦戦を強いられたのですよ?あのレベルの魔族に徒党を組まれ攻め入られれば……」
「……なるほどな……」
マリィの言葉にエイシャも思う所があったんだろう。腕を組み目を瞑って考え込んでしまった。
……うーーん。九天王?……なーーんか聞いたことあるような……。
「九天王なら私も知ってるわ」
俺が頭を捻っていると、俺の隣で今まで黙っていたミリヤが口を開いた。
「ほう?」
「私を操ってた魔族がそう名乗ってたわ。あいつも滅茶苦茶な魔力を持ってたし……」
あーーー!!そうだあの魔族!!あいつも九天王って言ってた!!
「でも……あいつ黒騎士には手も足も出てなかったし……今のままで大丈夫なんじゃない?下手に他の勇者を仲間に引き入れても、足並みそろわないかも知れないし……」
「黒騎士様ですか……。でもあの方は神出鬼没なのでしょう?確かにあの方が私たちの仲間として活動してくれるならば心強いですが……」
「あいつは恐らく仲間として引き入れる事は難しいだろうな。俺も奴を仲間にしたいと思っていたが、奴はまさに究極の一騎当千、奴の前では俺達すら足手まといかもしれん」
そんな事ないよ!?皆がいないと黒騎士一人じゃどうしようもない事だらけだよ!!?
「不確定な要素に頼るのは確かに心もとない事はあるな。黒騎士が何時でも登場してくれるとも限らん。ならば俺達は俺達で戦力を増強する必要があるのも頷ける」
「まぁ……確かにね……。でも……黒騎士っていつでも魔族が出たら現れるし……」
「しかし我々は我々で戦力を確保する必要は確かにあると思います。ですが生半可な力では逆に足手まとい……」
ぐは!!!生半可所か、ただの足手まといとしては今のマリィの言葉は非常に刺さる!!
俺がマリィの言葉に一人で瀕死になっている間にも話は進んだ。
「故に……私としてはやはり勇者の力が一番だと思うのです」
「………お前の言いたいことは解った……。……ならば……あいつしかいないな……」
「あいつ?」
ミリヤの疑問にエイシャは大きく頷くと、にやりと笑って口を開いた。
「聖斧マッキャベリに選ばれし勇者、ギーツだ!」
ドーンと効果音が鳴りそうな感じで、エイシャが断言するのであった。
………どうでもいいけど俺がまったく会話に入れてないのに今気づいた!……ほんとにどうでもいいけど!!




