第51話
その後エイシャ達と合流した俺達だが、なんとエイシャがダウンしてミリヤが魔族のとどめを刺したと聞いたときはめっちゃ驚いた。
ドヤ顔で、勇者殿!!後は任せた!!ってかっこつけてたのが恥ずかしくなる!!
エイシャがそんなに限界で、ミリヤ達がそんなに頑張ったんだったら俺も行けばよかった……。
まぁでもあの魔族は倒せたのだし、結果オーライなのかな?……一応は一件落着なのである。
そうそう、王宮の牢屋と聖女教会が爆破された訳だが、規模に反して被害は最小限に抑えられたらしい。聖女教会にいた第一王子のレオン様も、側にいた騎士たちと大神父の結界によって守られて大事は無かった様だ。もちろん国王様や王妃様、エレナ達も皆無事だ。
最小限とはいえ当然被害は出た訳なので万々歳とまではいかないが、これだけの被害で済んだのは奇跡だそうだ。
ファリスさんによって王様やレオン様、ついでに教会の人たちに掛けられていた魅了も解除され、皆元に戻った。
当然ファリスさんは罪と問われたが、第二王子による家族と恋人を人質にした脅迫が発覚した事により、彼女は無罪となった……のだが、彼女自身が自分を裁いて欲しいと懇願した。
多くの人の心を操り、操られた人たちは当然の事、リリーナ様含む多くの人を傷つけたのは事実だとして、それを無罪放免にされるのは彼女自身が耐えられなかったらしい。
それにより、彼女は責任を取る為この国からの追放という事になった。彼女自身は極刑を望んでいたのだが、流石に被害者でもある彼女にそこまでする事は誰にも出来なかった。
ファリスさんだけが責任を取りたいとして、彼女の家もまた特にお咎めは無かったそうだ。
最後までマリィや、被害者であるリリーナ様や俺は彼女を説得したが、彼女の意思は固かった。
何ともやるせない最後になってしまったが、一つだけ救いがあるとしたら……。
「俺もファリスと一緒に行くよ!……あいつがああなったのは、俺のせいでもあるしな……!」
騎士団のリックさんという人が、彼女について行くと言った事だ。なんでも彼はファリスさんの恋人だそうで、彼もまた知らぬ内に彼女にとっての人質となっていたらしく、その責任と彼女を一人にしたくないとの想いでついていく事を決めたそうだ。
リックさんは騎士団でミリヤが随分お世話になった人らしく、とてもいい人だったらしい。
ファリスさんとリックさんの旅立ちの日、マリィがファリスさんにペンダントを手渡しこう言った。
「少しでも困った事があったら、聖女教会へ行ってこれを見せて下さい。きっと力になってくれる筈です」
「マリフィセント様……!」
「私は貴女の味方です……ファリス様……。貴女は……犯罪者なんかじゃありません。とても勇敢な……素敵な女性ですわ」
「マリフィセント様……聖女様……!本当に……ありがとうございました……!」
涙を流しながらマリィに優しく肩を抱かれるファリスさんを見て、俺までもらい泣きしてしまった。
こうしてファリスさん達は、俺達に見送られながら、この街を後にするのであった。
なんでも、海を渡った先の国にリックさんの親戚がいるらしく、そこを目指すらしい。俺達は二人が無事にそこにたどり着けるよう、祈る思いで二人を見送るのであった。
第一王子のレオン様は、自分がファリスさんに操られていた間リリーナ様に冷たく当たっていた事、そしてリリーナ様と俺を断罪してしまった事を酷く悔やみ、俺達への謝罪と同時に危うく自決する所だった。
死んでも意味がないとエイシャやリリーナ様に止められなければ、本当にそのまま自ら命を断つ勢いだった!
しばらくは酷く落ち込んでいた様だが、そんなレオン様をリリーナ様が立ち直らせた。
俺はその場にいなかった為見てなかったが、何でもたまたまその場に立ち会ったミリヤから聞いた話だと、なんとリリーナ様がいつまでもうじうじとしているレオン様を見かねて、引っぱたいて喝を入れたらしい!
その効果あってか、それからレオン様はまた、俺達と最初に会った時の様なしゃきっとしたクールな感じに戻った!
そしてそのお陰でレオン様は、リリーナ様に惚れ直したらしく、ファリス様に操られる以前以上にリリーナ様の事を強く想う様になったそうだ。
しかし……。
「はぁ……。黒騎士様……。貴方様はいま何処へ……」
何とリリーナ様は、ピンチを救ってくれた黒騎士に惚れてしまったらしい!!
俺としては初の好意的な感情なので、嬉しい限りだが……そうはいかない!!
何故ならそれを知ったレオン様が今度は嫉妬の炎を燃やし、黒騎士を探し始めたからだ!!
「黒騎士にはリリーナが随分と世話になった(意味深)。直接礼を言わなければならないなぁ……?」
絶対にその礼は碌なもんじゃない!!なので今後この街では、黒騎士への変身は封印となった。リリーナ様には悪いが……。
そんな感じで一週間とちょっとが経ち、街の復旧も順調に行われていた。
俺はマリィの聖女教会の復旧の手伝いとか、騎士団を手伝ってるミリヤの手伝いとかしつつ一週間を過ごしていた。
そうそう、こんな大事件を起こした張本人である第二王子なのだが………。




