第49話
「馬鹿な……!!全て我の魔力だけを撃ち抜いただと!!?」
魔族が驚愕の声を上げる。
そういやちょっと触れただけで大爆発するって言ってたけど、どうやらエイシャはあの魔族の魔力だけを全て撃ち抜いたため、爆発はしなかった様だ。……スゴイ!!
動揺した魔族の隙をついて、エイシャは今度は魔族が掲げている大型の魔力塊へと矢を射る。そしてエイシャの矢が魔族の魔力塊へ触れた瞬間、巨大な魔力塊は霧散したのであった。
「お!?おお!!?」
自分の魔力塊すら消し飛ばされた魔族は、更に動揺して後ずさる。……ピッチャーびびってる、へいへいへい!!
馬鹿な事を考えつつ俺はその隙を見逃さない。一瞬で魔族との距離を詰めると、ランスで魔族を貫いた。
「黒騎士!!その魔族、死んでも復活するわ!!気を付けて!!」
「その通りだ……!!我を消し去ることなど……!!できぬわ……!!」
ミリヤの言う通り、この魔族は殺されても死なないのだろう。今、解析魔法をした結果こいつは魔力が残っている限り何度でも復活出来る様だ。つまり……肉体が破壊されても、自分の魔力を残している限りそこから何度でも復活するわけだ。
そして索敵魔法の結果、こいつの魔力はこの周りには無い。恐らく部下とかに分け与えた(爆弾として)魔力だけど、先程のエイシャの攻撃で一網打尽にされた様だ。
あんまりにも遠くには魔力をやれない様で、一応保険として街に数体小さな魔物を解き放っている様だ。その魔物に自分の魔力を分け与えているみたいだな……。
……ふと思ったけど、解析魔法解析魔法って言ってるけどこの魔法、秘密魔法その三の索敵魔法の一種なのである!!言い忘れてた(誰に?)!!
俺はランスに魔力を溜めて魔族を爆発四散させるのを止め、盾で魔族を殴り飛ばす。そして……。
「勇者殿!!合図を送る!!止めは任せた!!」
「!!!」
俺は直ぐ様加速魔法を発動し、街へと翔る。
あの魔族も満身創痍の筈だから、もしかしたら逃げの選択をするかもしれない。早くしないと逃げられてしまう。
俺は索敵魔法を全開にしてあの魔族の魔力を持った魔物を探す。
止まって見える世界で、意外にも魔物はすぐに見つかった。俺は瞬時に魔物をランスで貫き、また次の魔物を探す。
一匹、二匹、三匹と順調に魔物を狩っていく俺だが、最後の一匹(?)に辿り着いた時、槍を振るうのを躊躇した。
何故なら最後の一匹(?)は……。
「お……お前は!?」
「黒騎士様!!」
「……?なんでここにいるんですか?」
王国の騎士に守られている、分身とリリーナ嬢。そして……。
「ふ……ふふふ……。そうか……ザガン様の……魔力を辿ってきたのかな……?」
俺に両足を砕かれ、その後恐らく騎士に拘束されたであろう、うつ伏せに寝かされた第二王子がいた。
「そうだよ……ザガン様は……僕にも魔力を分け与えた……。その意味が……君にも分かるだろう?」
ザガンって誰やねん。いや、話の流れ的にあの魔族だろうな。
つまり第二王子は今、爆弾であり次の依り代である訳だ。……さすがに此処で第二王子を殺してしまうのはまずい。
こいつは事件の首謀者の一人だろうし、何より王族だ。まだ罪も裁かれてないのに俺が殺してしまっては角が立つ所では無い。
あと勇者殿が分身とリリーナ嬢を置いてまた魔族と戦いに来たのは、あの後騎士の人が駆けつけてくれたからみたいだな。
「黒騎士……君がエイシャ様が言っていた……。君にもいろいろ聞きたいのだが……」
長身のイケメン騎士……確かこの国の騎士長の人が俺に問いかけるが、悪いが今はそれ所ではない。
「悪いが急いでいるのでね……。後にしてくれ」
「……解った」
物分かりが非常に宜しい人の様だ。流石はこの国の騎士長、器が非常にデカイ人だ。
そんな俺達を見た第二王子は勝ち誇った様に俺に言った。
「ふ……ふふふ。どうやら僕は殺せないのかな?だとすると……僕らの「黙れ」え?」
何勘違いしているんだ?まだオレのバトルフェイズは終了していないぜ!!
俺はランスを地面に突き刺し、右手に解呪魔法の波動を発動する。
「まさか……その波動は……!!!?」
こいつなんかに取りつかれてたし丁度いい。ついでにそいつも剥いでおこう。
俺の解呪魔法に、想像以上に動揺する第二王子だがもう遅い。解呪魔法の光の波動が辺りを照らす。
「やめ……!!ああ………ああああああああ!!!?消える!!僕がぁ!!消えていくぅ!!!?」
何か思った以上大物が第二王子に取りついていた様で、断末魔を上げながら第二王子の中から消えていった。……そしてそれと同時にあの魔族の魔力も消えていく!!
……よし!!これが合図だ、勇者殿!!後は任せた!!
俺は勇者殿に後を託し、第二王子を見る。第二王子はぐったりと倒れてピクリとも動かなくなっていた。
「君は……いったい何をしたんだい!?」
「……解呪魔法だ。……信じるか信じないかはお前次第だがな……」
その言葉と同時に俺は体を霧状に変化させその場から離れる。
分身が俺の意図に気付いたのか、こっそりとリリーナ嬢から離れて少し人気のない場所へと移動する。
そして……。
「キーーーー!!?」
「あ……キーちゃん見るの初めてだよね?」
霧状となった黒騎士と合体した訳なのだが、分身はキーちゃんをずっと腕に抱いていたため、キーちゃんからすると分身にいきなり黒い霧が取り込まれていった様に見える訳だ。
「キー……」
「大丈夫だよ……心配してくれありがと……」
心配そうな鳴き声を上げるキーちゃんを優しく撫でて、俺はまたコッソリと騎士様とリリーナ様の元まで戻る。
そして戻る道中さっきの戦いを思い返していたのだが……そういや黒騎士秘密魔法その六、結局使ってねぇじゃん!!




