第48話
こ……怖かったぁ!!!
今でも心臓がバクバクと音を上げてる!!
何がそんなに怖かったかって、黒騎士自身爆発はさほど怖くは無かった。食らっても多分大したダメージも受けなかっただろう。
でも……!!
分身やリリーナ嬢、そして第二王子はそうはいかない。あとキーちゃんも!
俺は加速魔法を最大に発動して、分身達を爆発の範囲外まで運んだ。いっぺんに三人抱えて、ゆっくりと迫りくる爆発から逃げるのは結構心臓に悪い!
途中生存者がいないかも探しつつ逃げていた訳だが、そこでなんと数名の生存者を見つけてしまった訳だ。恐らく第二王子に気絶させられて閉じ込められていた看守の人達なんだろうけど、見つけてしまった以上放置は出来ない。
心の中で南無三を唱え(使い方あってる?)、俺は爆発範囲外であろう柔らかい芝生辺りに看守の人達と第二王子を優しく投げ、分身やリリーナ嬢抱えて俺も爆発範囲外へと逃げた訳だが……本当にギリギリだった!!
爆発までの一瞬の時間でこれ程の労働をする事になるとは思わなかったので、爆発後皆の無事を確認した後どっと疲れが出てきた。
「なんで……僕まで助けたんだ……?」
第二王子が呆然と俺に問いかけてくるが、当然助けるだろ!だってこの人、今回の事件に大きく関わってる!!
俺とリリーナ嬢を無罪放免にする為には、魔族と繋がり裏でこの事件を操っていた(多分!)第二王子を生かしておかなければならないだろ!!
それにこの王子、魔族と一体化してるっぽいので多分操られてるか、乗っ取られてるのか分かんないけど魔族側の人間だ。
俺は王子の言葉を無視して、へたり込んでいる王子の両足の骨を踏み砕いた。この黒騎士容赦せん!!
「え……?あ……あがぁああああ!!?」
「このまま逃げられても面倒だからな……。おい小娘、それにお嬢さん。この男を見張っておいてくれるかな?」
「ええー」
「はい!わかりましたわ……!黒騎士様……!」
文句をぶーたれるクソガキを無視してリリーナ嬢の言葉に頷くと、俺は看守達を小突いてみる。
返事は無い……只の屍……ではなく深く眠らされているみたいだ。俺は看守を起こすのを諦め、さてどうしたものかと思案していると、突如大きな爆発音が街に響いた。
そして爆発音の後、吹き飛ばされていく勇者エイシャを見つけた。
俺は直ぐにまた加速魔法を使うと、吹き飛ばされていたエイシャをキャッチする。
「ぐ……お前は……!」
「久しいな?勇者殿。相当のダメージを受けている所悪いが、あそこにいるお嬢さんとクソガキを頼むぞ?キミの相手は俺が引き継ごう」
エイシャの答えを待たずに俺は彼を分身達の方へ投げると、彼が吹き飛ばされてきた方角へと急いだ。
そして……。
「お前か?しょぼくれた花火が得意な魔族は?」
赤い魔族と対峙しているのである。
赤い魔族の周りを見れば、ミリヤとマリフィセントがいる。
どうやら結構ギリギリだった様で、何とか間に合ってよかった。
「黒騎士!!……コウは…!?」
ミリヤは俺を見るなり、俺の安否を聞いてきた。相変わらずぶれないミリヤに少し安心すると同時に不安になる。
そんな俺の事ばっかりで大丈夫か?自分は大丈夫なのか?
「くく。相変わらずだなぁ?安心しろ、あの役立たずは五体満足だよ……」
「役立たずって……!!……はぁ……そう、ありがと……」
一瞬怒り出すかと思ったけど、ミリヤも大人になったものだ。
少しの物足りなさを感じつつも俺をそれを噛み殺し、赤い魔族へとまた目を向けた。
っと次の瞬間、俺の周りに無数の小さな魔力の塊が出現する。これは……。
「魔力爆弾……!」
魔族の言葉と共に、俺の周りの小さな魔力の塊は大爆発を起こす。
「黒騎士!!!」
ミリヤの悲痛の叫び声が木霊する……が……。
「なに!?無傷……だと……!!?」
「……本当にしょぼくれた花火だな……。こんな物で俺も随分手間をかけさせられたものだ。……さて、その礼をしないとなぁ?」
「……ふふ……ふははははは!!流石だ黒騎士とやら!!貴様の実力、確かに噂通り……いや、それ以上だ!」
「ほう?」
「最高に面白いぞ!!故に……此方もそれ相応の対応を取らせてもらおう……!!出て来い!!我が精鋭達よ!!!」
魔族は仲間を呼んだ!!……ってここにきて奥の手が部下の召喚なんかーい!!
大量に召喚された魔族や魔物達は、皆怪しく目が光り、理性を失っている様に見える。
「こいつらは只の兵士ではない……。我の魔力を大量にため込んだ、言わば爆弾魔族達だ!少し触れるだけでも大爆発を起こすぞ!!んさらにぃ!!」
魔族は両手を掲げてそこに大きな魔力塊を作り出す。
さっきまでの小さな魔力の塊とは桁違いの大きさで、それだけで超強力な威力を誇ると解る。
「我の最大出力の魔力爆弾だ!!!さぁ!!受け止めてみよ!!黒騎士ぃ!!!」
俺は多分受けきれる。
だが、あの数の爆弾魔族達とあいつの巨大魔力塊を受ければ、ミリヤやマリフィセントは跡形もないだろう。多分街も……。
あれをどうにかするには、あいつの魔力を超える圧倒的威力の魔法で、あいつの魔力が爆発する前に全部ぶっ飛ばす必要がある(多分)。
ここは……黒騎士秘密魔法その六の出番だな!!!
この魔法、言うならば必殺技というやつなのだが、威力が高すぎるため普段は封印している超強力な魔法なのである。なんとこの魔法ちゃんと技名まで付けた!!
魔族の爆発より俺の魔法でこの辺り一帯を更地にしてしまうかもしれないが、そこは……許してもらおう!!
気合を入れ、魔族達に向かい盾を向けたその時!!
突如空中から雨の様に矢が降り注ぎ、あの魔族が召喚した魔族と魔物を貫いた!
これは……!
「美味しい所だけを取られても困るのでな!悪いが手を出させて貰うぞ!黒騎士!!」
勇者エイシャは遠くの高台に悠然と立ち、そう言い放ったのであった。
……この戦いの決着の時は近い……。




