第39話 ふざけた王族共に怒りの鉄槌を!!(ミリヤ視点)
ふざけるなふざけるなふざけるな!!
なんでコウが牢屋に入れられなきゃいけないんだ!!
「ミリヤ!!落ち着け!!今、団長たちが国王陛下に直談判しに行った!!お前が動けばそれこそコウちゃんがどんどん不利になっていくぞ!!」
王国直属騎士団の騎士の一人、リックが必死に私を止めようと私の前に立ちはだかる。
この二週間で私は騎士団の皆と随分親しくなった。
彼らは田舎から出てきた私を馬鹿にすることなどせず、むしろ積極的に私の指導をしてくれた。
騎士とはとてもプライドが高く、ギルドに居るようなゴロツキなど見下しているのかと思っていたが、それは私の勝手なレッテル張りでしかなかったと痛感させられた。基本的に騎士は貴族出身の人達ばかりだというのに……だ!
やはり王族がまともだと、貴族もまともになるのだろうか……?
そう思っていた……コウが捕まるまでは!!
いわれのない罪で貴族令嬢と共に牢屋に入れられたコウを見た時、私は怒りで爆発しそうだった。
いや、実際爆発したのだ。騎士団長達が必死に私を止めてくれなければ、私はすぐにでも国王と第一王子に飛び掛かり、その首を掻っ切っていただろう。
大体にしてコウが白銀のドラゴンなのは王族も確認したんだろうが!!
私達を呼び出してわざわざその事を告げたじゃないか!!ボケたのか!!?
……ここで冷静にならなければいけないことは私だって解っている。前回だって冷静さを欠いて、魔族に操られたのだ。同じ轍を踏むなんてことはしたくない……が!!
心の臓から頭にかけて巡るこの熱を冷静に制御する事なんて……!!!
「お前は一体騎士団で何を学んだんだ……。また過ちを繰り返すのか?」
「エ……エイシャ様!!」
私が怒りで震えてどうする事も出来なくなっていると、そんな私に勇者が話しかけてきた。
「……なんでここにアンタがいるのよ……」
「ミリヤ!?エイシャ様になんて口の利き方を……!?」
「よい。俺が許可しているんだ。気にするな」
「え!?……は!承知しました」
リックは私を一瞥すると、一歩下がった。
「コウの事は俺に任せておけ……と、言いたい所だがお前を放っておくと何をしでかすかわからん」
「ぐ!!」
「ついてこい……」
勇者はその一言を言うと、私の確認も取らずに歩き始めた。
「!!ったく!!リックさん!!悪いけど私……!!」
「分かってる、行ってこい。……エイシャ様にあまり迷惑をかけるなよ?」
「分かってるわよ!!……ありがと!!」
「……………任せたぞ……ミリヤ……」
苦笑いして私を送り出してくれたリックに礼を言って、勇者についていく。
「どこに行くのよ?」
「……今回の事件は不可解な事が多すぎる。コウの件もそうだが、何よりレオンの暴走だ」
「第一王子と婚約者の人って、仲が悪かったの?」
「国の決めた許嫁だ、仲が良い悪いの問題では無いが……少なくとも俺が見る限り険悪では無かったはずだ。それに……レオンは真面目な男だ。あのような大切な場所で、相手の名誉を傷つけるような物言いをする様な男では無かった筈だ」
でも実際しているではないか……。と言いたい所だが、話の腰を折ることになるので黙っておく。
というか私の質問はどこに行くかなのだが……。
「あのファリスとかいう女が何より怪しい。あの女、この俺に魅了を掛けてきた」
「魅了!!それで!!」
「あの場でそれを皆に公表して、あの女を捕らえても良かったのだが……恐らくそれは不可能だっただろうな。なぜならあいつはレオンだけではなく、父上にも魅了を掛けていた。父上を上手く使えばあの場で捕まる可能性など皆無だろう」
「なるほどね……」
「……少しは落ち着いたか?」
言われて気が付いた。まだ怒りはあるが、先ほどまでの駆け巡る様な衝動は収まっている。
「コウを救いたいのは俺も同じだ。だが、急いては事を仕損じる。父上も操られているとなると、俺も表立って派手な行動は出来ないからな」
「……ごめん……」
「謝るな。気持ちは分かると言っただろう……。安心しろ。幸い協力者はいる」
「協力者……?……あ!!」
私の頭の中に、つい最近コウの友達になった少女がよぎった。
そうだ。彼女は聖女なので、そちら側から何かアプローチできるかも知れない!!
聖女教会は強大な組織だから、もしかしたら国王に何か言うことだって……!!
「今から聖女に逢いに行く。……本来なら直ぐにでもコウの面会に行きたいのだが、俺はコウとの接触禁止命令が出ているからな……」
「そんな……!!」
「安心しろ。コウは必ず救い出す。どんな手を使ってもだ……!だが、まだそれには早い。正攻法でどうにかなるならそちらの方がいいからな」
私は大きく頷いて、勇者について行った。
勇者の言う通り、ホントは直ぐにでもコウに会いたい!!……でも、ここでコウに会った所でコウを救い出すのは難しいだろう。
ならばマリィの力も借りようと言う勇者の言葉に、異を唱える事などなかった。
コウ……。少しまっててね!必ずお姉ちゃん達がコウを救ってあげるからね……!!!
私は決意を新たに、聖女教会へと向かうのであった。
その選択を後に大いに悔やむことになるとは……その時の私はまだ知らなかったのであった……。




