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第38話

 結論から言うと、その後結局俺達は捕まった!……なんでやねん!


 あの後王様と王妃様が会場入りしたわけだが、側近たちに現状を聞いた王様が、迷うことなく俺とリリーナ様を捕らえる様に兵士たちに命じたのだ。


 驚く会場。さらに殺気立つエイシャ。怒りの抗議をするミリヤに、それに声を合わせるマリィ。

 王様の隣にいた王妃様も驚愕して抗議の声を上げるが、王様はその全てを封殺して俺とリリーナ様を牢にぶち込んだのだった。


 申し訳なさそうに俺達を捕らえる衛兵の人達には申し訳なかったが、あの場でミリヤが暴れなくて良かった。というか、暴れそうになるミリヤを騎士の人達が必死で抑えてくれていたみたいだ。


「必ず助け出して見せますわ……!コウ様!」


 兵士の人達に連行される俺に、励ます様に声を掛けてくれるマリィに笑顔を返し、俺達は牢へと連行された。

 本当は牢屋代わりにちゃんとした部屋を与えられる予定だったみたいだけど、それも第一王子の仕業で無くなり、俺とリリーナ様は同じ牢にぶち込まれた。


 うーーーーん。

 やっぱりどう考えても可笑しい。


 第一王子は良くわかんないけど、王様はそんな事する人じゃない筈だ。


 この二週間、王様とは何回か会う機会があったが、優しく大らかでとてもあったかい感じの王様だった。ちょっと雰囲気が神父様に似てる感じ。


 だからちゃんと話すら聞かずにこんな横暴する人じゃないと思ってたんだけど……。


「コウ様……でしたよね……。申し訳ありません……巻き込んでしまいましたわね……」


 疲れ切った目で俺を見つめて、申し訳なさそうに言うリリーナ様に俺は慌てて口を開いた。


「いえ!リリーナ様のせいじゃありません!」

「すぐに父が、わたくし達を此処から出してくれる筈ですわ……。だからしばらくの辛抱です」


 自分が一番打ちのめされてるだろうに、俺を励まそうとする姿は正にノブレス・オブリージュ !!

 やっぱりこんな人が牢にぶち込まれるなんて間違ってる!!

 なんでこんな事になったんだろう?聞いていいのかな?


「あの……リリーナ様……、聞いてもいいですか?」

「ふふ。そんなに委縮しなくてもいいですわ?なんでもお聞きになって?」

「ありがとうございます。……何時から第一王子はあんな感じになったんですか……?」

「ああ……。それは……二週間前、あの女が……ファリス嬢が現れてからですわ……!」


 二週間前!!

 俺達が王都に来た時期と合致する!!


 妙だな……。心の中の眼鏡の少年探偵が呟く……。

 

「レオン様はすぐにあの女に夢中になりました。いつも冷静沈着なレオン様からは考えられないような……それこそあの女の我儘を全て受け入れていました」

「そうなん……ですか……」

「わたくし何度も忠告しましたの……。でもレオン様の行動はエスカレートしていって……。ついにはあの女が真の聖女などと言って、聖女教会にまで足を運ぶようになりましたのよ……」

「わぁ……」


 行動力の化身!!

 そーれで彼女が真の聖女だって言ってたのか……。


「マリフィセント様が居られないタイミングを狙って訪問されていたようで……いつの間にか聖女教会の方もあの女を担ぎ始めた様です……」


 へぇぇ。すごい。

 聖女教会まで手中に収めるとはあの女やりおるわ。マリィもその事はしらなかったんだろうなー。


 第一王子(というかファリス?)のやり手っぷりに戦々恐々としていると、リリーナ様は目を伏せ静かに言った。


「レオン様は……あのような事をされる方じゃありません……。今でもそう信じております……。原因はあの女です!あの女が……レオン様を……」

「リリーナ様……」

「そう思ってわたくし、あの女について色々調べましたの……」


 リリーナ様の話によると、ファリスは何でもない男爵令嬢らしい。

 正直爵位がどれが上で下なのか今いち解らないのでほへーって感じだった俺に、リリーナ様は優しく爵位について教えてくれた。端的に言うと男爵は一番下の位で、リリーナ様のお家の公爵は一番上の位らしい。

 何でもリリーナ様のお家のアンスウィルム家は四大公爵家として先祖代々この国に仕えてきた、由緒正しき貴族のお家らしく、現王妃様であるエメラルド様もその四大公爵家出身の方の様だ。


 リリーナ様は小さい頃からレオン様の婚約者として育てられてきたそうで、そんなレオン様とリリーナ様の仲はとても良かったそうだ。


 っと、話が逸れた!!

 ともかくファリスはリリーナ様よりも随分格下(失礼)のお家の様で、いきなりポッと出てきてレオン様の恋人になれるような立場では無いようだ。


 うーーん。男爵令嬢の私が、公爵令嬢を差し置いて王族に溺愛されてるんですけど!?って訳のようだが、どーにも腑に落ちない。

 勝手な憶測だが、レオン様ってそんなほいほい女に惚れるタイプじゃ無さそうなんだよな。

 実際小さいときからレオン様を見ている、リリーナ様がそう言われるんだから間違いないだろう。


 とすると……。

 

 その時シュピーンっと俺の頭の中に声が響く!!


 解ったぞ!!


「……魅力(チャーム)……」

「!!!魅力(チャーム)ですって!!?」


 たぐいまれなる俺の推理力により導き出された答え……という訳ではなく、例によって黒騎士の罵倒により答えを得たのである。でも黒騎士も俺なんだから、やっぱり俺の推理力だよな!!


「はい……。私もファリスさんを見た時に、なんかこう……嫌な感じがしなかったんです……!」

 

 語学力の無さよ。

 まぁとにかくそうなのだ。ファリスを視た時俺は、なんて可愛い人なんだろうと、この女性が言い寄ったら仕方ないよな!!みたいなことを考えていたのだ!!


 思い返してみるとあれが魅了だった訳だ。


「魅力…それならレオン様が急におかしくなったのも頷けますわ…!!」


 俺とリリーナ様は二人で大きく頷く。

 答えは得た!!後はこのことを誰かに伝えてファリスを調べて貰えば…!!


 そう思い牢の看守に声を掛けるため、牢の鉄格子に手を掛け……。


「やあ!二人とも大丈夫かい!?いやー、兄上も酷い事するね?こんなかわいい子を二人も牢にぶちこむなんてさ!」


 第二王子であるフェネクスが、牢屋の外から俺達を優し気に微笑んで覗き込んできた。


 なんでこの人がここにいるんだ?

 俺は疑問に思い、首を傾げるのであった……。

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