表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/64

第37話

「お兄様!!?何をおっしゃっていますの!!?リリーナ様は我が国にとって無くてはならない、アンスウィルム家の公爵令嬢ですのよ!!?それを差し置いてどこの馬の骨とも知らない女性を……!!?」


 あ!エレナが話に入って来ないと思っていたら、レオン様の所に行ってたのか。


 血相を変えてレオン様に詰め寄るエレナだが、レオン様はそれを涼しい顔で流す。


「ふん。ファリスは真の聖女だ。爵位など関係ない……。それに俺は真実の愛を見つけたのだ」

「レオン様……!!」


 真実の愛ってなんやねん。

 フィリスさんも顔赤らめて感動してるけど、周りの反応見えてるんだろうか?そんな事してる場合じゃない気もするけど……。

 

「お兄様!!」

「……エレナ様……ありがとうございます……。ですが……もういいのです」

「リリーナ様!?」

「小娘にうつつを抜かすだけではなく、この様な大切な場で辱められてわたくし……レオン様にほとほと愛想がつきましたわ……!」


 俯き、絞り出すように言葉を話すリリーナ様。

 誰がどう見ても悪いのはレオン様なのだが……当の本人のレオン様は満足げに大きく頷く。


「リリーナ……。貴様には問いたださねばならない事が山ほどある……。真の聖女であるフィリスをいたずらに傷つけた罪……!!獄中でたっぷりと反省してもらおう!!」


 獄中!!!?

 この人リリーナ様を捕まえるつもりなのか!!?この場で!!?頭大丈夫!!?

 絶対おかしいって!!マジで一回しか顔合わせて無かったけど、こんな事する人じゃないと思うけど!!?


「第一王子ってあんな人だったっけ?もっとまともな人だと思ってたけど……」


 俺と同意見なのか、ミリヤが首を傾げる。ですよねー。


「いえ……。あのようなお方では無かった筈ですが……」


 マリィも訝しげに首を捻り、レオン様を鋭い視線で睨む。

 ううむ。マリィは俺達よりもレオン様と関わりが深いだろうから、間違いないんだろうけど……やっぱり今のレオン様に違和感があるようだ。


「更に、罰せねばならない者がいるな?」


 レオン劇場である。

 もうだれ一人レオン様について行けない。


「それは……真の聖女であり、白銀の(エンシェント)ドラゴンであるファリスを差し置いて、自ら白銀の(エンシェント)ドラゴンを名乗り、あたかも自分が真の聖女であるように皆を騙した悪女……コウ!!貴様だ!!」


 はーい。俺でしたーー。

 ………えええええええええ!!!?


 まっていろいろ突っ込ませて!!?

 まず俺自ら白銀の(エンシェント)ドラゴンなんて名乗ったことない!!あと真の聖女とも!!

 確かに俺の親(?)は白銀の(エンシェント)ドラゴンだったから、俺がドラゴンの娘であることは間違いないんだろうけど、それを皆に自慢げに言った事ないけど!!?

 それと……真の聖女はマリィだ!!!断じて俺じゃない!!


 心の中の黒騎士が手を叩いて爆笑してる!!それ見た事かと!!お前どっちの味方だ!!?


「はぁ!!?コウに何てこと言うのよこの馬鹿王子!!」

「今の言葉を聞き流せませんわ?レオン様……訂正なさって……!」


 レオン様の言葉にミリヤとマリィが食って掛かる。ミリヤさん!!かっとなってすぐ罵倒するのやめた方がいいよ!!馬鹿王子はないよ!!馬鹿王子は!!


 しかしレオン様はそれをまた涼しい顔で流した。


「聖女マリフィセント……お前はこれから持てる技術を全てファリスに伝えるのだ。真の聖女であるファリスに生涯仕えよ」

「お断りします。生涯お仕えするお方はもう決めております故……!」

「ふん。お前の意見など聞いておらん……。それより衛兵!!リリーナとこの悪女コウを「おい貴様……」うあぁあ!?」


 次の瞬間騒めいていた会場が、冷や水を浴びせられたようにシーンとなる。


 俺の隣に立っているエイシャの一言で、会場全体が凍り付いた様になった。


「貴様の見るに堪えない三文芝居などどうでもいいが……よもや貴様ごときがコウを捕らえるつもりか………?」

「エ……エイ……シャ……!」

「ここからは慎重に言葉を選べ……これ以上戯けた言動をするのなら、……我が兄とて容赦はせんぞ?レオン……」


 殺気というのだろうか?

 静かだが圧倒的な殺気が会場に浴びせられる。


 殺気を浴びせられた当事者でない人たちも、顔を青くしてガタガタと震える。中には気絶している人もいるぐらいだ。

 かく言う俺も……ちびりそうになった……。隣で殺気出すのやめて貰っていいですかね?


「エイ……シャ……兄に向って……お前……!?」

「普段の貴様ならばこのような阿呆な事はしなかった筈だ。……答えろレオン。なぜリリーナ嬢を蔑すますような事をし、そのような小娘を抱え込みコウを侮辱した?……ましてや二人を捕らえるなど………言語道断!!答えろ!!レオン!!」


 カッと目を見開き言葉を荒げるエイシャ。だからやめろ!!殺気出すな!!ちびっちゃうだろ!!俺が!!!


 問いかけられたレオン様は、蛇に睨まれたカエルの様にカタカタと震えて固まっている。

 そりゃエイシャの殺気を浴びせられてる張本人なんだ。怖くて動けないだろ……。

 

 取り合えず話が進まなさそうなので、エイシャの殺気を止めるため口を開こうとして……レオン様の前にファリスが飛び出した。


「やめてくださいエイシャ様!!私が……私が悪いんです!!」


 甘くとろけるような可愛らしい声。涙をいっぱいに溜めた瞳は、吸い込まれそうになるほど綺麗な青色だ。

 震えながら懸命にレオンを守ろうとする健気な姿は、見る者の心を鷲掴みにする。


 なるほど……これはレオン様惚れてもしょうがないな!!女(?)の俺だって惚れそうだ!!


「どけ。俺はレオンと話しているんだ。邪魔立てするなら貴様とて容赦はせん」


 血も涙もないの?この人。

 こんな可愛い娘が懸命に、震えながら愛する人を守ろうとする姿に、何か思う所無いの?


 そんなエイシャの反応に、ファリスさんが驚愕する。


「え!!?」

「……貴様……まさか……「これは一体どういうことだ?何が起っているのだ?」……父上……」


 エイシャの言葉を遮る様に、王様が言葉を発した。

 

 今会場に足を運んだであろう王様は、会場のこのありさまを見て目を見開き呆然としているのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ