第36話
真の聖女であるマリィと聖女(笑)の俺を差し置いて始まった真の聖女対決……。
まぁ聖女と言われたのは茶髪さんだけなので、金髪の元(?)婚約者さんは名乗ってないけどな!!勝手な俺の妄想!!
あれ?
聖女ってそんなぽこじゃか出てくるもんなんだっけ?
話では聖女教会に一人、んでドラゴンである俺が昔言われてた聖女って事なんじゃなかったっけ?
「あれ?一体何があったの?コウ」
話について行けず混乱していると、いつの間にか隣にミリヤが立っていた。
あれ?ミリヤって晩餐会参加しないって……?
でも今のミリヤはちゃんとドレスを身に纏い、片手にはワイングラスを持っている。
「ん?ああ!そろそろ時間だからね。取り合えず警備は置いといて来たのよ」
「時間?」
「ん?コウってば聞いてなかったの?今日の晩餐会で私達を勇者パーティーとしてお披露目するって」
そーいや最初にそんな事言ってたような気がする。
「ホントは警備の合間に参加するつもりだったから警備の格好で参加するつもりだったんだけど、流石にそれはないだろうって団長達がね。大急ぎでドレス着させられたのよ!」
あはは!と笑うミリヤを見て俺はようやく今回のパーティーの趣旨を思い出した。
そうだ。俺達は勇者パーティーとして皆さんにご挨拶しに来たのだ!!ついでにエイシャのパートナー(笑)として俺とエイシャの仲を聖女教会の人と聖女様に見せつける(怒)って話だったはずだ。
……もうマリィには十分俺達の仲を見せつけたね……。
うーーーん。
第一王子の話では俺が白銀のドラゴンなのは面白くないって話だった筈だが、マリィと関わってると全然そんな感じはしないけどどうなんだろ?
まぁ実際聖女としての格は天と地なので、もはや争う必要すら感じないのかもしれないね!!
それならそれで良し!!
とすると後は勇者パーティーの話になるわけだが……どうなんだろ?
何かそれ所じゃない気もするけど……。だって今注目の的は第一王子達だし……。
「そうだ!!コウ様!!」
俺が第一王子たちの演劇を眺めていると、さしてそれに興味が無いのかマリィが両手をポンっと叩き俺に言った。
「私も勇者パーティーに加入したいと思っていますの!実はつい最近国王陛下から打診はあったのですが、お答えは控えておりましたの。……ですが、コウ様たちを見て私も決めました!ぜひ、私を仲間に入れて下さらないかしら!?」
おおお!!嬉しい!!
マリィが仲間になってくれれば、俺的には大いに嬉しい!!だって友達だし!!
「はい!はい!嬉しいです!!……ね!お姉ちゃん!!」
「ええ!!もちろん私に異論はないわ!!貴女コウの事をよく見てくれているし、何よりコウのお友達だしね!」
「お友達だなんて……!!恐れ多いですわ!!」
「俺抜きで何勝手に盛り上がっているんだ……?」
俺達がきゃいきゃい盛り上がっていると、非常に不機嫌そうな声でエイシャが話しかけてきた。
……他の女性はもういいんですかねー。
「あらあら……婚約者を放っておいて、別の女性と仲良く楽しそうにしていた勇者様ではありませんか?いまさら何しにここへ?」
「は……?そうなのこの屑野郎」
「勝手に妄想を垂れ流すな。大体にしてあの女性たちは誰の差し金だ?聖女教会の差し金じゃないのか?」
「何のことやら存じ上げておりませんわ?」
「はっ!どうだかな!それより……なぜお前が俺の仲間になる様な話になっているんだ?」
うーん。
エイシャとマリィは相性が悪いため、どうやって説得したものか……。
簡単な方法はある。前やったみたいに、エイシャにまたおねだりすればいけると思う……。でも……。
俺がエイシャを意識してしまっている今あの必殺技は使えない!!
只でさえ恥ずかしいのに、意識している相手にあれをやるなんて恥ずかしすぎて……これ以上意識しちゃいそうでヤダ!!!
俺が一人で悶々としていると、いつの間にかエイシャは俺の前に立っていた。
「放っておいて悪かったな……コウ。言い訳にならないかもしれないが、あの状態で君の所に行けば余計な事が起きる気がしてな……」
「う……!全然大丈夫です……」
「くく!なら俺を見てくれないか?目を逸らされていると悲しいのだが……」
あーーーーー!!もう!!
やっぱり解っててやってんだろ!?性格悪いなほんとに!!
告白まがい(キャンセル済)なことされてからほんっっとうに困る!!
くうう!!
この手だけは使いたくなかったが、仕方ない!!
俺は……心の中の黒騎士を解き放つ!!
……なんておぞましい娼婦だ。いっちょ前に女のつもりなのか?
自分を雌犬だと思い込んでいるのか?男に気色悪く顔を赤らめ、思わせぶりな態度で遊女を気取っているのか?
もう消えろ。男のくせに売女を気取るこの世で最も醜い存在。
お前の本性を勇者殿にさらけ出してやろうか?人に媚びる事しか出来ない寄生虫のお前を……!!!
……ビークール……。
この方法は俺の心に多大なるダメージを負うため本当に使いたくないのだが、この罵倒の後は少しだけ俺は気持ちが落ち着くのだ……ただ落ち込むだけとも言う。
いつもはぐるぐるこの後思考の渦に飲み込まれそうになるのだが、流石にそれはストップして俺はエイシャに笑顔を向ける。
「本当に大丈夫です……エイシャ様」
「……?コウ……?」
エイシャが俺の笑顔に違和感を覚えたのか、俺を覗き込み口を開こうとして……。
「衛兵!!この女を今すぐ捕らえろ!!」
第一王子の物語は今、クライマックスを迎えようとしていた!!
いや始まりなのかな?まぁどちらにせよ一旦幕を閉じようとしていた!!
それにしても……レオン様ってあんな感じの人だったっけ?
まぁ最初に顔合わせた時以来お話していないので、あの人の性格とかよくわかんないけど、もうちょっと冷静な感じの人だと思ってたんだけどなー?
「レオンは一体何をやってるんだ?」
俺が首を捻っていると、隣に立ったエイシャも訝しげに顔を歪める。
あ!やっぱりエイシャから見ても今のレオン様は違和感あるんだ!!
だとするとレオン様は一体どうしてしまったんだろうか?
糾弾された令嬢を睨みつけるレオン様を眺めて、俺は疑問に更に首を傾げるのだった……。




