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第31話

 きもい!!きもいきもいきもいきもい!!俺!!本当に気持ち悪い!!!


 エイシャの顔をまともに見れなくなって、俺はエイシャの前から逃げ出した。とにかく顔が熱い!!


 何だあの思わせぶりな態度!!?あの時ハッキリと「そうです。婚約者(フィアンセ)とか絶対に嫌でした。二度とそんな事言わないで下さい」って言えば、エイシャは傷つけるかもしれないけどそれで話は終わってたんだ!

 

 エイシャはいいやつだし話も分かる男だから、これ以上話をこじらすことなく穏便に婚約者という事じゃなくなってたはずだ!!

 

 エイシャのあの表情を見て同情したのか!?そんな事で、これ以上彼をもてあそぶってのか!?なにが、ばかぁだよ!!俺が馬鹿だ!!


 ああああもう自分が本当に分かんない!!


 心の中の黒騎士が、今までになくはっきりと俺を罵倒する。

 気色の悪い男女。見てくれだけで人の心をもて遊ぶこの世で最も醜悪な売女。

 心が男でありながら男に媚びる腐った娼婦。貴様のせいでまた勇者殿がお前何ぞに囚われてしまう。ならばこのまま消えてなくなった方が世界の為だ……!!


 前も同じような事を言われた気がするが、今度こそはっきりとそう言われているのが解った。


 はぁぁぁぁ。

 なんで俺……エイシャをはっきり拒絶出来なかったんだろ?

 エイシャが俺に好きだって言いそうになるのを、俺は必死で止めてしまった。でもそれは嫌だったわけじゃなくて、唯々恥ずかしかったんだ。

 だって俺生前から今まで告白なんてされたことなし、それが……相手が男だったとしてもだ。

 

 そもそも……やっぱり俺って女なのかな?男なのかな?

 ああやってはっきりと女としての俺に好意を持ってくれているエイシャに、俺はどうやって答えたらいいんだろ。

 ……この際エイシャにドン引きしてもらうために、実は心は男なんですーって言ってみようかな。

 性同一性障害って事になると思うけど……この世界でこの言葉あるんだろうか?


 ぐるぐる、ぐるぐると考えても答えなんて出ないのに、何時も俺はこの思考の渦から抜け出せない。


「キー!キー!」

「キーちゃん……」


 腕の中のキーちゃんが心配そうに俺に鳴く。

 そんなキーちゃんの頭を撫でていると、自然と俺も心が落ち着てきた。アニマルセラピー。


 そしてやっと気づく。

 今俺がどこにいるのか全く分からなくなってしまっている事に……!!


「ま……迷子……!?」

「キー……」


 やばい。迷子になっちゃった。


「ど……どうしよう……!キーちゃん……!」

「キィ……」


 キーちゃんに聞いても仕方ないのに、俺は焦ってキーちゃんに問いかけた。

 当然キーちゃんは答えなんて持っていないので、呆れた様に鳴くだけだ。

 

 うーん。本当にやばい……が!!ここはエイシャのお膝元の王宮!

 きっとすぐに誰か騎士の人とかに会えるだろうし、その人に道とか聞けば何とかなるだろ。


 俺は心落ち着け能天気にそう考え、取り合えず来た方向(多分)に向かって歩き出した。



 なんて能天気に思ってた自分をぶん殴りたい。


 ここ王宮だけど、なんでこんなに人いないの!?今出払ってるの!?誰にも遭遇しなくて泣きそうなんだけど!?


 それとも俺が歩いている場所が悪いのだろうか?

 中庭が見える廊下をひたすら歩いているのだが、この辺は何時も人が居ないのかもしれない。……俺全然元の道に戻れてねぇじゃん……。

 

 どうしよう……引き返すべきかな?


「もし……こんな所で何をしていまして?」

「ひぇ!!?」


 どうしようかと迷っていると、突然背後から声を掛けられた!!

 慌てて振り向くと、そこには滅茶苦茶な美人さんが立っていた!!

 

 漆黒を思わせる綺麗な長いストレートの髪。お人形さんの様に整った顔立ちに少し切れ目な赤い瞳。

 すらっとした長身に黒いロングワンピースドレスを着た姿がまた様になっている。


「あの……そんなに見つめられると困ってしまうのですが……」

「はっ!!すみません……!!すごく……綺麗だったので……」

「……ふふ。ありがとうございます。」

「あ……あの!私……コウって言います。今日宮殿(ここ)に呼ばれて来たんですけど……えと………迷子になってしまい……まして……」


 最後の方の言葉は消え入りそうになってしまった。ハズイ……。

 そんな俺を美人さんはしげしげと眺めた後、微笑んで口を開いた。


「そうでしたの。私の名前は……マリフィセント。聖女をやっておりますのよ?」


 おおおおお!!

 この人が聖女の人!!


 すごい!!こんな美人さんが聖女なんて……なんかすごい!!


 俺が白銀の(エンシェント)ドラゴンで聖女などとエイシャ達は言っていたが、とんでもない!!

 聖女ってのはこの人みたいな美人でカッコイイ人の事を言うのだ!!断じて俺ではない!!

 初めて名前を聞いたときは、例の魔女を思い出してどうかと思っていたけど、やっぱり名前なんて関係ないな!!それどころか今ではその名前が彼女の魅力を引き立てる一つにすらなってる様な気がする!!

 そう言えば実写版ではすごい美人さんが演じてたしな!!


「すごい!かっこいいです!」

「……!!?……私……黒髪ですのよ?それを……」

「???……綺麗な髪ですけど……?」

「!!?」


 んんん??なんで聖女様驚いたんだ?

 黒髪がなんかコンプレックスなんだろうか?

 でもエイシャもそうだし、この国の王妃様も黒髪だし、特に問題ない気がするが……?


「ふ……ふふ。あはははははははは!」


 俺が頭に疑問符を浮かべていると、聖女様は突然笑い始めた。

 えー。俺また何かやっちゃいました?


「あははは!ご……ごめんなさい!ふふふ!なんだか構えていた私が馬鹿みたいで……!!ふふふ」

「え……えと……」

「ふふふ。実は……私貴女の事知っていましたの、コウ様。こんな所でお会いするとは思っていなかったけど。そして……貴女の正体も知っていますのよ?」

「正体……!!?」


 な…………!!!!なんだとぉ!!!!


 俺の正体って……!!まさか俺が黒騎士だとバレたんじゃ!!?


「貴女……白銀の(エンシェント)ドラゴンなのでしょう?」


 あ、なーんだそっちか。

 最近皆知ってるから、てっきり周知徹底されてのかと思ってたよ。俺が白銀の(エンシェント)ドラゴンな事。


 俺は気が抜けた様に、ふへーっと息を突いた。


「あら!もしかして白銀の(エンシェント)ドラゴンであること以外にまだ何か隠し事があるのかしら?」

「な……ないです!!」

「ふふふ。ほんとうかしら?私気になりますわ?」


 そう言っていたずらに微笑む聖女様に、俺はたじたじになるのであった……!!

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