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第143話 流石に怒るべき!(ミリヤ視点)

 ホズムの後をついて森を駆けると、ついに私達はコウの元へと辿り着いた!


 コウを見つけた瞬間、私はホズムを追い抜き急いでコウの元へと翔る!……そして……


「コウ!!!」


 息を切らせながらも、コウの名前を呼ぶ!


 コウはビクリ!っと肩を震わせ、恐る恐る私の方へと振り返った。

 やはりコウ自身、私達に訳も説明せず駆け出したのは悪い事だと思っている様で、冷や汗を垂らしながら瞳を潤ます。


 ……ずるい!!


 そんな可愛い顔されたら……ちゃんと怒れないじゃない!!


 私はコウのその顔にグっと喉を詰まらせる………でも!!今回は!!流石に今回は私は怒らなければいけない!!

  だってこんな危険な場所で、一人で勝手に走っていってしまうなんて……あり得ないのだから!!


 コウは自分がどれだけ狙われているか、どれだけ私達にとって大切な存在なのか、解っていないのだ。

 確かにエイシャは心配だったかもしれない。でも……だからといってそれを理由に、一人で行動していいなんて事はないし、旅館で私達が巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)を倒した後、改めてエイシャを探せば良かったのだ!


「コウ……今回ばかりは……私は「ごめんなさい!!お姉ちゃん!!」……コウ……」


 私の言葉にかぶせる様に、コウは深く頭を下げる……。


 うう……。先に謝られたら私達が何に怒っていて、これからどうして欲しいのかを説明するのが……ちょっとしにくくなるじゃない……。


 でも……謝ってくれたコウをこれ以上私は怒るの?何かそれも違う気がするし……。


 そう思い、困ってしまった私に、ホズムが助け舟を出す。


「いやいや。今回の事は謝って済む問題ではありませんよ?コウさん。送り出した私が言うのもなんですが、貴女は自分がどれだけ狙われていて、どれだけ我々にとって大切な存在なのか、いまいち理解していない様だ……。確かに勇者エイシャの安否が解らないのは不安になるでしょう。ですが、それを理由に貴女が一人で行動して、貴女の身に何かあったら……残されたマリィさんやソフィアさん……そしてミリヤさんはどう思うか……考えた事はありますか?」

「あう……」

「まぁ貴女には勝算もあったのでしょうが……それを皆さんに言えない以上、その勝算は無いに等しいのですよ?ですから軽はずみな行動は控えるべきです」

「うう……ごめんなさい……」


 ホズムの言葉に、コウは項垂れて小さくなってしまう。


 そんなコウを可哀そうと思いながらも……流石に今回は私もホズムに同意見だった為、助ける事は出来ない。………ていうか今この探偵、何気に自分が送り出したって言わなかったか?


「そこまで言う必要はないでしょ?コウはこうして無事だったんだし、勇者エイシャも無事だった。なら……そんなにグチグチ言う必要なんて無い……」


 そんなコウを見かねたのか、私達と共に着いてきていたソフィアがコウの傍に寄って慰めるように肩を抱き、ホズムを睨みながら言った。


「ええ……?そっちに立っちゃうんですか?ソフィアさん……」

「当然。私はコウの味方だもの……。コウのやることは全て肯定してあげたい……」

「ソフィア……!」


 そんなソフィアの言葉にコウは感動したように瞳を震わすが……それはまずくないか?


 だってここでコウが反省しなかったら、また同じ事をしてしまうかもしれない!!それは……流石に許容できないわ!!


 ここで口を挟まなければ……!そう思い口を開こうとした時、今まで黙っていたエイシャが口を開いた。


「コウを責めないでやってくれ。今回俺はコウは来てくれなければ……恐らく死んでいただろう。そんな俺を察知してくれて、コウは危険を冒してやって来てくれたんだ。つまり全ての非は俺にある。……俺がこいつに敗北しなければこんな事にはならなかった……。すまなかった……」


 そう言って頭を下げるエイシャだが……今更ながらに気付いたが、エイシャの傍には見た事も無い魔族と、それに寄り添う人一倍大きい巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)が横たわっていた!!


「ああ。こいつらはもう戦う気はない。今回は魔王軍に協力していたそうだが、それも今回限りだそうだ……。故にこれ以上の攻撃は俺もしないと約束した」

「……随分と……甘い対応ですね?エイシャさん?……その魔族がまた人間を襲わないという保証でもあるのですか?」

「……お前は?」


 エイシャの言葉に質問するホズムだが……そう言えば、ホズムとエイシャがこうやって顔を合わせるのは初めてだったな……。


「おっと!!これは失礼!!私は名探偵のホズム・エドワードと申します。()()()()()……勇者エイシャ殿……!」

「……!!!……お前……探偵……だと……?初めまして……だと……!?」


 ん??

 最初は何気なくホズムを見ていたエイシャだが、何かに気付いたのか驚愕に表情を歪めた。……二人は知り合いだったのかしら?


 そんな疑問に首を捻っていた私の傍に、おずおずとコウはやってきて、そっと私の手を握り言った。


「お姉ちゃん。心配かけて本当にごめんなさい……」


 そう言って目を伏せ頭を下げるコウに、流石に私はそれ以上文句を言う事なんて出来ない。

 それに……エイシャも言ってたけど、コウが行かなかったら本当にエイシャも危なかったみたいだし……流石にそれを怒るのは酷だろう。


 それにコウの右腕は、本当に良くなっているみたいだし……コウの行動は決しておかしくは無いのだ。


 私は握られていない方の手で、コウの頭を優しく撫でて言った。


「ううん。解ってくれたらいいの……。それに、本当にエイシャもやばかったみたいだし、私こそごめんね?そんな事情も知らずに怒って……」

「!!お姉ちゃんは悪くありません!!私が勝手に行ってしまったのが……悪かったんです!!」

「じゃあ……今回はお互いこれで終わり!!って事にしましょうか?……ソフィアの言う通り、皆無事だったんだしね!!」

「……はい!!」


 コウは私にぎゅっと抱き着いてくる。そんなコウを、私も強く抱きしめて……安心する。

 結局コウは無事だったのだ……だから……これで良かったという事にしよう!!

 

 そうして抱き合っていると、コウの後ろからソフィアがコウに抱き着き言った。


「コウ……私約束通り、あの旅館の人達を守ったよ?だから……ご褒美の何でも言う事聞いてくれるの……楽しみにしてるからね?」

「ありがとう!ソフィ!任せて……なんでも言う事聞くからね!」


 後ろから抱き着かれたコウは、首だけソフィアに向けてそう言って笑うが……その答えを聞いてソフィアがニヤリと笑ったのを私は見逃さなかった。


 何と言うか……ソフィアのコウへの好意はちょっと危険な気がする。主にコウの貞操的な意味で……。


 でもまぁ……本当に良かった。

 エイシャを襲ったっていう魔族はまだここにいるけど、本当に戦意がないのか大人しくしてるし、私も魔族は皆殺し!!って思ってるわけじゃないので、戦う気が無いならそれでいい。


 エイシャ達が納得しているのなら、私がこれ以上口を挟むことなんて……。

 そう思いエイシャに目をやると、エイシャは険しい表情でホズムを睨み、驚きの言葉を言った!


「なにが探偵だ……!!少し変わっていて一瞬解らなかったが……流石に俺の目は誤魔化せんぞ!?」

()探偵ですよ?エイシャさん」

「黙れ!!お前は探偵などでは無い!!…お前はここで何をしている!?なぜ……探偵などと偽ってこんな所で油を売っている!?……答えろ!!聖槍(せいそう)の勇者、マキシモ!!!」

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