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エピソード16:悪役令嬢の宣言

事態が収束し、商店街には再び活気が戻ってきた。

不正を暴かれた政治家や企業幹部たちは、世間の厳しい批判に晒され、その地位を追われた。再開発計画は完全に白紙撤回となり、商店街の人々は、安堵と喜びに包まれていた。


商店街の広場では、住民たちが集まり、私たちに感謝の言葉をかけていた。

「お嬢、本当にありがとうございました! お嬢がいなければ、この街は……」

駄菓子屋のおばあちゃんが、私の手を握り、涙を流しながら感謝の言葉を述べる。

「神宮寺のお嬢様も、本当に助かりました! まさか、神宮寺組のお嬢様が、私たちを助けてくださるとは……」

八百屋の若主人が、アカリに深々と頭を下げた。

照れ臭そうにするレイナは、「べ、別に感謝されるためにやったわけでは……」と言いかけるが、周囲は暖かい笑いに包まれる。

「レイナさん、素直に感謝を受け取ったらどうですか」

アカリが、私の隣でくすりと笑った。

「本当に悪役じゃないのね、今のあなたは」

アカリの言葉に、私は静かに返す。

「当然ですわ。私はもう“前世の悪役令嬢”ではありません。この街の人々の笑顔を守るためなら、どんなことでもいたしますわ」

二人は、ふと視線を交わし、互いに小さく笑った。かつては仇同士だったが、今は違う。運命を乗り越え、新しい人生を歩み始めたのだと、互いに感じ取るのだった。

「アカリさん。あなたも、もう、ヒロインではありませんわね」

私の言葉に、アカリは少し驚いたような顔をした。

「どういう意味かしら?」

「ヒロインは、王子様や騎士に守られる存在ですわ。しかし、あなたは、自分の力で、この街を守り抜きましたわ。あなたは、もう、誰かに守られるだけの存在ではありませんわ」

私の言葉に、アカリは静かに頷いた。

「そうね……私も、変わったのかもしれないわ」

アカリの瞳には、この街を守り抜いた誇りと、そして、新たな自分を見つけた喜びが宿っていた。

この街で、私は、悪役ではない、新たな自分を見つけることができた。そして、アカリもまた、ヒロインではない、新たな道を歩み始めた。私たちは、それぞれの場所で、それぞれの道を歩む。しかし、その道は、きっと、どこかで繋がっている。そう、確信した。

「お嬢、本当にありがとうございました!」

「レイナお嬢様、万歳!」

住民たちの歓声が、広場に響き渡る。私は、その歓声に包まれながら、心の中で静かに誓った。

この街を、そしてこの人々の笑顔を、私は必ず守り抜く。

それが、私の、新しい人生の使命なのだから。

アカリが、私の隣に立っていた。

「ねえ、レイナ。私たち、これからも、この街を守っていきましょう」

アカリの言葉に、私は力強く頷いた。

「ええ、アカリさん。この街の未来のために、私たちは、これからも共に戦いましょう」

私たちは、互いに微笑み合った。

この街は、私たちによって守られた。

そして、この街は、これからも、私たちによって守られていく。

私は、強く、心に誓った。

この街の、そしてこの人々の、守護者として。

私は、この新しい人生を、生きていく。

夕焼け空が、私たちを優しく包み込む。

その光は、私たちの未来を、明るく照らしているようだった。

この物語は、まだ終わらない。

私たちの新たな戦いは、まだ始まったばかりなのだから。

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