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魔神のもとへ

お城の中に潜入し魔神の住む場所より上階に辿り着きました。





城の警備を固めているであろう兵隊をよそに瑠香達はある場所に到着していた。

あらかじめ探知していた王。

いや、魔神なるものの居住地点の2階上の地点ま登り詰めていた。

魔神の住まうサグラダファミリアのような城だが、瑠香が潜ってきた地下一階から7階ほどの高さになる。

今、魔神が住まう5階一帯にはその家族が住む部屋にダイニングにリビング。

客人が来た際の応接室に少し離れれば客人用の寝室もある。

一つずつ脅威を確認し終わり、さらに2人は階上を目指す。

7階まで上り切った正面のエントランスから瑠香達が最初に見た庭園が見下ろすことができる。




「俺たちここから見られていたのか

それにしても美しい庭園だ」


「だよね〜」



なんて呑気に言っていた。

そんな時もありました。

今や2人は城の7階部分に差し掛かり、次の行動へと移す準備をしていた。

あくまで隠密行動だが、瑠香はどうしても確かめないといけないからと5階からエントリーすることを拒んだ。

この城の特性を知ってしまった以上、自分達の行動を魔神の前で謝らなければならなくなると察知したのだ。




「この城…この国の人たちのライフラインだったんよ

どうりであんなにキンキンに冷える水がいるっしょ」


「あぇ?」


「忍さん、このお城の8階から天井階まで全て太陽光発電をしてるんだよ」


「太陽光…発電

まさか城のほとんどが集光施設になっているってか?

だとすればあの地下水路潜っていた時に緩かったのは

冷却水の流れを変えて俺たちを温めたのか?」





日本人が知っているであろう太陽光発電はソーラーパネルによる太陽光をエネルギーとし、日常生活を送るために必要な電気を蓄えることを目的とする。

各家庭でソーラーパネルで発電してしまえば、火力発電や原子力発電のような熱を発生させる大型な発電機と違い冷却装置は必要ない。

だか、この城のシステムはそうもいかない。

城の8階から最上階は全て、ソーラーパネルのようなものが組み込まれているのであろう。

空冷では追いつかないほどに電力を蓄電する際に発生する熱を抑えるが故に、大量の水を必要とするのだ。

その冷却水が瑠香達が通ってきた用水路に流れ出る仕組みになっているのだ。





「なんとも言え…目の前に敵がいる」


「あれは、瑠香が雷弾をご馳走させたやつじゃないか!

なるほどねぇ

俺に喧嘩売って来てんだな」


「なんでそうなるの?」


「あの野郎、女性を下に見てやがる目ぇしてら

お灸を据えてくるから瑠香(ニャンコ)は待ってなさい」


「だからなしてそうなるの?」





後ろ警戒しながら休んでろー

と言いながらわざと敵の前に出る忍。

場所は最初に出た広間よりも狭く目の前に見える階段には、純白の甲冑を纏う騎士たちが今にも忍を斬り殺そうと殺気立っていた。

目の前にいる敵の総数は30人、対して忍1人で応対する。

自殺行為でしかない。




『あいつ…1人で精鋭たる白騎団に挑んできたぞ?

お前たち、盛大に蹴散らしてやれ!」



「さて、やるからには本気出すしかねぇな

ジジイの、本気見せてやる

今こいつら日本語を話さなか…なんだこれ?」





驚いてしまった。

目の前の敵が踊り現れたことに気を取られ、頭上から数多もの金色の札が降り落ちていたことを。

それに気がついた騎士団も、勝利の雄叫びのように声を高らかに拳を突き上げているのも。

このような妖術があるのかと感心してしまった。



「ところで、無作法にも程があるぞ?

俺がそう簡単に降伏すると思ったか?

俺の間合いに勝手に入ったのが悪かったな」



「え…何がどうなっている?」





忍の手には刃を返した日本刀が握られており、忍を囲うように25人ほどの騎士達が呻き声をあげて苦しむように横たわっていた。

あっけに取られた瞬間に一斉に遅いかかって来た騎士達をいなし、相手の急所をかわして峰打ちだけで済ませたのだ。

ほとんど全員が甲冑の右胸を袈裟斬りされた箇所。

両方の胸を抑えるように横胴をなで。

姉妹には心臓付近を正面付きされたように息を絶え絶えに苦しんでいた。





「バカな…ありえん…有り得んだろう!」



その光景を騎士団の長は口をぱくぱくと動かし、慌てふためくように隣に立つ男と忍を目線で何度も追う。

余程応えたのだろう。

整えられたオールバックは、掻きむしった影響でぐしゃぐしゃになり、尋常ではない脂汗が顔から噴き出る。

余裕をこいていた影響でか、右頬から少し伸ばした髪は整えられた顔に張り付き、数十秒前に見せていた品性は消えている。

それどころか右手には剣を握りしめてぶるぶると震えていたのだ。






「もう投降しろ

お前さんの負けだ」


「うるさいうるさいうるさい!

お前なぞ消してやる…精霊よ我が剣に集え!

まごう事なき正義の炎を我が剣に宿れ!」



「何が始まるという

この場所の空気が暑くなっている

まさか!」


「やめてくださいロイル団長

その詠唱をつかえば敵だけではなく、我々も消えてしまいます!

どうかおやめください!」



「黙れ黙れ!

天の炎を我が剣に宿し罪有しものを業火にて裁かれん!

闇を滅失させ、灼熱の煉獄へと誘え!」






血迷った団長なる男を別の騎士が止めにかかるが、吹き飛ばされ轟々と剣に炎の旋風が噴きあれる!

今まで刀を構えていたが、倒れていた騎士達が慌てふためき逃げ出していた。

斯くなる上はと構えていた刀を納め、あらかじめ持ち込んでいた胸に固定している大型のカバンから、見慣れない銃を取り出し銃剣も取り付けた。





「こいつの血迷った行動のせいで.仲間は逃げ出したみたいだな

阿呆の上官を持つとこうなる…副隊長は苦労人と見た

突貫する…」


「それでもいいけど右によけて」







忍の決意を後押しするかのように、左隣スレスレを蒼い雷が空を切り裂くように走った!

ついでやってくる火薬を叩く慟哭。

忍が叩く相手に有無を言わさぬために、後方30メートルから壁から上半身だけを寝そべるように寝転がり伏せ打ちの態勢で、瑠香は弾いていたのだ。

そのコンマ三秒後に敵の剣はボロボロと壊れて、破片が地面に転がり落ちていた!



「は?

はぁ?

はぁ!!!?!!?!

あっ…あっ…ぴぃあああぁ!!」



「情けねぇ悲鳴ぇだこった…

貴様の首はこの神前忍が頂戴致す!

覚悟ぉ!」






迎え撃つ伏兵3人を、全て薙ぎ払い真上からひらりと舞い上がる如く忍は天を舞い上がり敵の頭上へと一挙に銃剣を突き立てた!

その瞬間に団長なる男は失禁してしまい、意識を手放し天を仰ぐように倒れ伏し勝負はついた!

と思えたが副隊長クラスの男が、団長の首根っこを掴むと味方を呼び寄せすぐに撤退して行く。

突き立てた銃剣を地面から引き抜き、銃に追い紐をつけ肩にかけた。






「大丈夫、忍さん?

百式軽機関銃だっけ、壊れてな

…物足りないって、顔してません?」


「いや、あの団長なる男より副隊長クラスの男が気になってね

彼らにはいずれ出会うだろう

ともなれば副隊長らしい彼は1番の脅威だけどね」





敵の心臓部までもう少しだ。



目の前の光景に呆然としている忍ですがやる時やります。

瑠香の拙い説明を、噛み砕いて状況を理解して敵の攻撃とも思える金色の札が舞い散っていようが関係ありません。

攻撃は今流行りの即落ち二コマみたいになりました。

最終突撃が目の前です

よろしくお願いします


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