コカトリスという名の災害
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
今回から、コカトリス討伐作戦がスタートします。
瑠香がコカトリスに呪いをかけられて倒れたところからスタート!
「瑠香が目を覚さなくなって3日は経っちゃった」
「聖女の祈りも届かない
病気というよりもこれは呪いに近い
本当にコカトリスにやられたの?」
「俺っち、もう一回水を汲んでくる
熱が下がらないんじゃまずい」
瑠香がコカトリスと接敵し、攻撃してからすぐに熱を出して倒れてしまった。
ネロがなんとか療養院へ連れて行き、ティナやアリシアのいるテントに駆け込み今に至る。
魔物に攻撃した後に倒れたと聞いていても立ってもいられず、療養院に来た時には瑠香の顔色は青白いを通り越えていた。
「俺の知っている魔物の性質とは全く違う
呪いだなんて性質やスキルは持ち合わせていないはずなのに
アリシアもこんなに苦戦するなんて」
「マリウスが言うように普通、魔物に『相手に呪いをかける』なんてスキルは持ち合わせてないわ
私の呪い返しの加護か効かないとなると
どうしたら」
明らかに瑠香の熱は異様に高く、街でいちばんの医者ですら病気ではなくやはり呪いの類ではないかと首を傾げ、他の施しようがないと言い始めた。
だが忍だけは違っていた。
呪いといったものを信じていないわけではない。
忍の父親は住職であったため、そういった話をよく聞いていた。
だが今の瑠香の状態は呪いではなく、別のものだと思っていたのだ。
「瑠香
もしかして、モンエナの効力が無くなったのかい?
仕方がないなぁ
売店行って買ってくるって言っても、ここは習志野じゃないね
ごめん!」
「…しゃー…くぞ」
「「「「「「目を覚ました!?」」」」」
「ごめん…もう少し…寝る
Fox…die
ハイボール飲みてぇ」
「「「「「瑠香の姉貴ぃぃぃ!!!!」」」」」
「ぬふ!」
変な笑い声と謎の確信めいた笑みを浮かべて忍は病室から出ていった。
目を覚まして戯言を言いながら、再び沈みゆく瑠香とあの手この手で看病をするティナ達の渋い目線を掻い潜って、療養院の屋上に向かう。
瑠香と一緒に飲もうと、秘蔵の日本酒を酒瓶に入れていたのだが、瑠香が倒れたと聞きどこかいても立ってもいられなかった。
「もう星が見えるのかい?
ふざけてるねぇ」
「あんた…ここ、療養院だぜ?
飲んだら婦長さんにぶっ殺されるぞ?」
「おや…貴方は獣種のライドさん
婦長さんなんて…怖いけど
一緒に飲みますかな?」
「まぁいただきます」
ライドに桝を手渡し、並々と酒を注いで月を見ながらぐいっと忍は仰いだ。
初めて見る桝に興味を示しつつ、グッと酒を仰ぐ。
不思議な感覚を覚えたライドだが、隣に座る人間の顔を見た。
瞬間に背筋が冷え切り全身の毛が泡立ち、さっきまで見ていた忍の姿と、今の姿は全く違う姿に恐怖を覚えてしまい、生唾を飲み込んで忘れるように桝の中に残る酒を仰ぐ。
「…あんた、何者なんだ?
さっきまであんたの目が」
「俺は曰く付きでしてね…
驚かせてしまってすいません」
「い…いや、いいんだが」
「ずっと考えて込んでいてね
昔の…自分がでてきたんでさぁ
鳥の化け物風情が俺の娘に呪いをかけたのかと
何か無理矢理でも無くさせるか、奪うなどしないと相手を恨むと思えないなぁ」
グッと飲み込む酒の味がにが苦しいのだろう。
桝に注ぐ酒のペースが早く、どこか自暴自棄になっているのでないかとライドは思い込んでいた。
やけ酒だろうが、どこか心の奥で何かがすぐに療養院へ来ることを忍は予感していた。
それに呼応するように入り口がザワザワと人が集まり、ゴブリンやオークが何かを持って運び込んできていた。
よくよく見れば尻尾のところに斬撃を構えられたような傷と火傷以上に黒い焼けた跡が目につく。
「ようやく来やがったな
コカトリスという名の災害が
迷宮から生まれた厄災がヨォ
許さねぇからなぁ」
「…あんたの目、元に戻ってやがる」
ゴブリンやオークがのたうち回るそれを必死になって抑えている。
ティナやニコルが気味悪がり、どうするかを駆けつけた組合長のセドと話し合っていた。
アナコンダとよく似ているが、眉間にツノのようなものが生えており、その蛇が忍を見つけてほくそ笑むように舌を出しながら鎌首を掲げて忍を見た。
「こいつ、きっとコカトリスの尻尾の蛇だ!
だけどこんなにでかい蛇がくっついてるものか!?
おっ
おい、あんた近づきすぎると蛇に殺されるぞ!」
押さえ込んでいたゴブリンが叫ぶが忍はヤンキー座りで蛇と相対し、挑発するようにチロチロと舌を出すが急にしまい首を倒して療養院から逃げようと再び暴れ始める。
もう良いと呟いたように聞こえ、ニコルが聞き返そうとした瞬間だった。
ひっと声を漏らし、その場で腰を抜かし気がついたらティナが看病しようとした時だ。
「ぎゃっ!」
蛇の悲鳴が聞こえ、振り返って忍を見ればオークやゴブリンも腰を抜かしていた。
鍛治府で肝が据わっていると言われているセドですらたじろぐ。
そんな状況を作った人間は、顔色も変えず恨みを相手にぶつけている。
軍刀を蛇の脳天を突き刺し、薄グレーの軍服に返り血を浴びても何も感じず、白目が真っ黒く濁り目の中の光はなく濃い青い目が蛇の骸を睨んでいる。
「これで俺に瑠香と同じ呪いが掛けられた
今頃…向こうも俺にキレ散らかして、殺しにくるだろう
その前に俺がお礼参りに行ってやる!」
グリグリと軍刀を押し込んだ後、ゆっくりと軍刀を引き抜いてボロ布を取り出して血を拭いとる。
頭を冷やしてくると言って、療養院の裏手に案内してもらい消えていく。
その場にいたセドやライド、ゴブリンは呆然としながら腰を抜かしてへたりこんでいたがニコルやティナだけは違った。
蛇は黒い砂塵になって消えていき、跡形もなく消えていった。
そして蛇の頭が倒れていたところに、木の板が落ちていた。
札に書かれた紋様に2人は顔を見合わせて、恐怖と嫌悪で胸がむせ返していく。
「「なんでエストラゴ共和国の紋章があるの?」」
迷宮から出てきたコカトリス討伐に向けてなんとかしないといけない反面、瑠香が倒れて高熱にうなされてしまいました。
マリウスやアリシアの言うように、魔物と呼ばれるものは呪いをかけると言うスキルを持っていません。
アリシアは聖女の力が使えるため、呪い返しの加護の力を使って呪いを跳ね除けようとしましたが効かないのです。
そんなこんなをしていれば、療養院に大蛇が運び込まれてきました。
そのコカトリスの蛇を睨み、あまりの怒りで脳天に一撃を加えてしまいました。
娘に呪いをかけた方で、本気で怒ってしまった忍お父さん。
忍の着用する軍服(降下服)に返り血を浴びても平気な顔してます。
そんなことより、エストラゴ共和国の紋章が見つかったみたいです。
ぎゃーんと事態が動きます
次回もよろしくおねがいします




