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友達になってくれませんか?

ルーシー、日本を出発してアルメリアに帰る日がやってきました。




「やだぁ、これなんてサイレン⚪︎ヒル?」



「沖田二曹、ここは練馬です

静岡でも今話題の岐阜でもありませんからね」


「うるさいわね!

お黙りこの佐藤!」




朝の6時の練馬駐屯地。

寒暖差が激しいわけでも前日に雨が降ったというわけでもないのにどこかモヤが広がり始めていた。

天気予報でも関東一帯は晴れではあるが、局地的に霧が発生するとは一言もキャスターは話してなどいない。

隊舎の窓から見た景色にルーシーは眉をしかめる。




「なんとも言えぬ気配があるなぁ

これがルーシーさんの言う[キリ]なのかい?」


「そうです

これが魔力を帯びたキリです」


「手荒なお迎えというやつか

格なる上は、ジジイが

否、俺が前に出て全部薙ぎ倒す」


「田中1佐!?」


「ごめんなさいね

うちの連隊長(おじいちゃん)、一度スイッチ入ると熱くなるのよ

この前もどこかの連隊にいじめられたって聞いた瞬間、1人で相手の連隊長のところにカチコミに行って喧嘩して帰ってきたし」



「向井3佐!?

みんなの血の気が多いんじゃぁ」



「「まぁ多少はね」」


「だめだこれ!」




濛々と立ち込めるモヤが霧に変わった瞬間、魔力を帯びた嫌な何かを感じ取り剣のグリップに手をかける。

やめなさいと手をかける向井に反するように、田中とその他大勢の屈強な男たちが廊下で、屈伸や腿上げをし始める。

現れるかもわからない敵に対して総攻撃を始めようとしているのだ。




「もぅほんっとうにお下品なんだからっ!

田中さんって本当に危ない人!

やんなっちゃうわぁ!」


「財前様!」


「久しぶり…今日で帰ってしまうって聞いて

代休とって練馬に…おゎぃぁぁ!」


「仕事を休むとは…財前閣下

事に望んでは貴方を息子殿(りょうゆうかい)に引き渡しますぞ!」


「だからと言って、コ⚪︎ダ珈琲の豆の袋投げてくるのやめて!

俺、豆好きなのよ!」





キリに対して警戒しているわけではなく、財前誠がくることを予見して準備運動をしていたと気がつきもう何も言わなくなったルーシー。

この場の空気に慣れてしまった事に一種の絶望を覚えた向井。

その空気が織りなす何かを、そっと見守っていた村上と天城の女性自衛官コンビ。




「俺がここにきたのには理由があるの!

村上三曹・天城士長・室戸…スタ⚪︎三曹・沖田二曹

この4名はルーシー・アストライオスさんの護衛

及び財前瑠香三等陸曹の捜索を命ずる!

…っていたいたいたいたい!

田中さん痛いから!」


「高機動車や装甲車の準備の準備は抜かりないです

でもその前に、貴方はしばく!」


「わや痛い!

わや痛いべや!」



財前と田中のプロレスごっこの会話を話し半分に聞いていたルーシーだが、財前の会話の内容に何度も財前と村上や沖田の顔を繰り返し見つめる。

ニコリと笑う室戸スタバ三曹が装甲車の鍵を見せて、ケラケラと笑い始める。





「俺たちが最後まで君の生まれ故郷に返すから

それに俺たちの訓練にもなるし!

だからもう少しだけ君と一緒に俺たちも…へぇ!?」



涙を流し方を震わせてながら笑顔と混乱のせいで表情がぐちゃぐちゃになる。

俺なんか泣かせてしまった?

と言いたげにオロオロと混乱する室戸スタバ三曹のことを尻目に財前はそっとルーシーに近づく。

その表情はまるで娘が遠くに行くことを案じ、心配しつつも新たなる旅立ちを祝福する父親の姿だ。




「この短い期間、貴方のことを娘のように思ってみていた

貴方は責任感の強い人であり、恩を必ず返す

今の日本人にもなかなかできないことをやっている

寂しくなるけどどうか元気で

もし日本に来れるなら、また会いにきてくれないか?」





何度も頷き別れを惜しむように財前や田中にお礼を伝える。

一緒にアルメリアにくる4人にお願いしますと伝え、同行できない三宅や小野・佐藤にお礼を伝えて4人が乗り込んでいる装甲車や高機動車の止まる外へと向かう。

長い廊下に出るとずらりと屈強な自衛官たちが並び、それぞれに名残惜しそうにルーシーを見送る。






「ルーシーさん、貴方の件は俺たち武器科の方でキンキンに研いでおいたから!

びっくりするくらい切れるよ!」


「いつでも練馬に帰っておいでよ!

私たち待ってるからね!」


「サレツマ日記の鑑賞会楽しかったよ!

いつでもこっちに来ていいから!

というか早く帰ってきてね!」



「皆さん…どうか私の友達になってくれませんか!」


「友人じゃなくて仲間だぞー!!」






甲冑の軋む音や鞘と甲冑が擦れる音がかき消されるように、猛者たちの声が響き渡る。

友人ではなく仲間だという声が聞こえてさらに涙を流し、別れを惜しむ。

駐屯地司令と握手を交わし、練馬駐屯地の構成員と言わんばかりに名札と部隊帽に迷彩服一式を紙袋に入れて手渡される。

混乱するルーシーを沖田が手招きされて高機動車に乗り込み、キリの中心部へと2台の車を走らせる。

後部座席の窓を見れば手を振る男たちに混乱してしまうが、これも愛情なのかと思い見えなくなるまで手を振り続けた。




「なんか私、霊感っていうのはないけどここがやばいって感じはする」


「それは俺も思うよ」



村上や室戸が嫌な脂汗を拭き始めると同時に、目の前に見る黒い影がかった穴に吸い込まれるように2台は走り抜けていく。

場所的にはレンジャー塔の近くであるのだと推察できたが本当にレンジャー塔の付近かどうかはわからない。

だが、ずっとこの深淵の向こうからティナやニコルの魔力や不思議な何かを感じ取っていた。











「…なんだろうこと感じ

なんだかすごい暖かい何かを感じたような?」


「瑠香の姉貴、どうかしたの?」


「いや、なんとも

マリウスさんやティナは何も感じなかったのか…

ただもう少ししたら会えるんじゃないかって思って」




なんのこととティナやニコルは首を傾げ、不思議そうにふわふわと空間を漂うへべれけのウルム。

そしてなぜか千鳥足になるアリシアやマリウスに頭を抱えながら瑠香のいう言葉にどこか賛同する忍。

目的の鍛治府まで残り10キロと迫る中、夜のアルメリアを焚き火が照らす。

魔法テントのキャンプ泊に慣れてきた。

ルーシーは日本を離れてアルメリアに帰国します。

短くも濃厚な日々にルーシーはここにいたいという気持ちとアルメリアに帰りたいという気持ちの両方の葛藤が現れたのです。

そして、ルーシーの気持ちを汲み取ったかのように財前がルーシーの護衛と瑠香捜索のチームが秘密裏に作られていたみたいです。


キリに突入した瞬間瑠香は、ルーシーのことを察知したみたいです。

物語は一気に加速していきます


よろしくおねがいします

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