表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/57

答え合わせ

アリシア率いる近衛騎士団の事

そして聖女のことを答え合わせする回です。




アルビレオ城の近傍に厳重に警備されている門を3度ほど抜けるとそこには、近衛騎士団の庁舎が姿を表す。

アルビレオ城のような海をモチーフとした通路や建物かとばかり想像していたが、見た目はどこか陸自の駐屯地の様に規律と武力を兼ね備えつつどこか殺伐としていた。



「どっかで見たことある景色だべぇー」


「練馬かい?」


「ソコダァ」


「お父さん当てちゃったよ」




全員の目線が瑠香の方へと向けられていく。

練馬という言葉にアリシアや近衛騎士団はピンと来なかったが、瑠香の顔色を見て嫌な場所なのだと推察した。

その理由は目の前の景色を見てピンときた。

庁舎を抜けてグラウンドが広がり、若き騎士達が模擬戦を繰り広げられていた。

騎士達の手には木製の剣が握られ、それぞれの刀身に赤や青など様々な光を灯されていた。



「簡易的に魔法で剣を強化してる

それぞれ火の属性や水の属性魔法を使いこなしてる」


「それに詠唱も使ってるから強化されてるみたいな」



「さすが!

よくわかったね

ティナやニコルはやっぱりすごいよ!」



「「アリシアに褒められたら嬉しいわぁ」」




形容し難い笑顔を貼り付けた2人が、グラウンドに入った途端騎士達の目線が2人に注がれどこか後退りをし始める。

ここにいる騎士達は気がついていたのだ。

自分たちよりも格上な存在に恐れ慄きつつも、2人に挑もうと剣を構えるか否か惑い、その後ろから現れたマリウスに気がつき咄嗟に剣を構え始める。






「なんだか…嫌な予感がするっちぃ

なんか敵意を向けられている様な」


「ウルムさんも気がついたのですね

ここの騎士達はどうやら手合わせして欲しいみたいだよ」


「マリウスさんはどうするんだ?

騎士団は戦おうとしてるってまずいんじゃ

瑠香は息してねぇ…自分で自分の首を絞めてるよぉ!」


「待て待て待て待て

情報量が多い、情報量が多い!

マリウス・ルベルト対処できないからね!

無理だからねェェェェェ!!」





数分前のアリシア同様に瑠香は首を絞めたかと思えば、ブリッジの姿勢をとって声にならない奇怪な金切り声をあげて今にも体制を維持したまま走り出そうとしていた。

本当に某ホラー映画の伽⚪︎子よろしくとばかりに、暴れ狂おうとしていた。

瑠香を警戒していた騎士達は、剣を隠し怯え切った表情で別の意味で逃げれる様に、警戒するものや団子の様に固まる。




「皆さんにお願いがあります

私たち近衛騎士団からの依頼になります

どうか私たちを強くしてください」




アリシアが頭を下げたかと思うとリリアやヘレナも頭を下げ、次々と警戒していた騎士達が頭を下げ始める。

ホラーモードに突入した瑠香を警戒していた騎士達も、おっかなびっくりしながら頭を下げ始める。

何が近衛騎士団を突き動かしたのか。

一同がぽかんと口を開けていたが、忍は何かを察したかの様にめんどくさそうに頭を掻きむしる。




「皆さんが何に警戒しているのか察することはできますよ

普段、何を生業としているのかも

だから既存の戦闘方法では、勝てないと踏んだ

娘達にこの任務は酷なものがある…

オレが相手しますよ」




はぁと忍は嫌ため息をつき、困った様に瑠香達を見た後にアリシア達に頭を上げる様に伝えて難しそうな顔を見せてしまう。

忍の意図に気がついたウルムがマジかと言いながら何度も強く目を擦りつける。











「アリシア殿、あなたがこの国の本当の聖女様ですよね?

最初、この国に来た時に、城の回廊で伝え忘れたかの様に




『クラリス様はこの国の聖女様

粗相がない様にお願いします』



と言っていましたでしょう

でもオレはどうにもそう思えなかった

この国のありとあらゆる場所を見て、そして謁見した時にティナとニコルが何かに気がついて感づいたのです」










アリシア殿が真の聖女であり、近衛騎士団はその聖女を守るための組織だったのでしょう?

そして今、なんらかの理由でアリシア殿の身が危ないのでは?







「忍さん、何言ってんだよ

アリシアさんが聖女?

っていうかアルビレオ城で謁見した時に気がつくもんなの?」


「偶然だよ瑠香(ニャンコ)

でも、兵隊時代に人の顔を見て判断する能力がついたからね

いやでも隠し事してたらわかるものよ」



「…隠せない…か

確かにアリシア・ヴェロナーは聖女の魂を持つものです

いいえ、私は運命の悪戯で聖女の魂を持つ存在として生まれました

そしてこの国の人たちから怖がられてはいけないと、先代の侯爵様

私の祖父が、聖女であることを隠してくださいました」







そこからポツポツと近衛騎士団の生まれた経緯と己が聖女である理由を話し出すアリシア。

聖女を命を狙うもの達から守るために生まれたのが近衛騎士団の祖となる存在。

時代は変わり、この国の商船を悪党や海賊から守るために特化した存在に変わっていく。

現在になり生まれてくる聖女を守る任務に就きつつ、商船を守っていく日々。

そんな中でアリシアが聖女の魂を持つものとして生まれたが、その次に生まれたクラリスを家族の皆が可愛がり聖女として崇め始めた。




「私が聖女であることを理解していた先代の侯爵

私の祖父は、家族から見放されていた私に武術を教えてくださいました

自分の身を守れる様にと」



「だけどそうも行かなくなってしまった」


「そうです

私の魂を…聖女の魂を狙うものが現れたのです

それに気がついたのは、皇女様と一緒に終焉の大地を確認した後からです」






あの場所を、癒して欲しくない存在がいるから



アリシアは聖女様でした。

だから勝手に出歩かれると、リリアが黙っていられなかったのです。

高潔な存在であるアリシアや歴代の聖者の魂を持つ存在を守るためにいた騎士団。


家族から虐げられていたアリシアを見た先代の侯爵が武術を教えて、何かしらのタイミングでティナとニコルと出会いそして今日に至ります。



そして魔神の娘であるルーシー・アストライオスと終焉の大地を確認した後に命を狙われている事を察したようです。


瑠香達は近衛騎士団からの依頼を受けるのでしょうか?


次回も楽しみに


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ