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海を癒した聖女伝説

新しい国へと突入します。

今回も一悶着ありそうです




かつてアルメリア皇国が皇国として存在していなかった神話の時代。

人々と魔族など多くの種族は海に畏怖を抱くと同時に福音を与える存在として崇めて奉り、ほそほぞと生活を営んでいた。

だがそんな世界と影が現れた。

海から魔物とも言えず、他に言葉にすることのできない何かが現れた。

総力を結集して鎮圧にかかるものの、鎮圧はできず困り果てていたところに1人の女性が現れた。



『私がそれを鎮めに行ってきます』




女性は小高い丘に立ち、荒ぶる海からの何かを祈りの力を持って鎮めた。

彼女の祈りが淡い光に変わり、海に向かって何度も弧を描くように照らされ続けた。

人々は女性に感謝して、海を照らす星月の様だと讃え国として発展させる際に、その女性の名前にちなみ海星府(アンフィートリス)と名付けた。






「そーんな歴史があんのね」


「実はこの国は歴史が長いのです

申し遅れました、私はアリシア・ヴェロナー

この国の守護を任される近衛騎士団の団長です」


「マジかよ」


「忍さん、そんなに緊張しないでください」






ほとんど内陸国であるアルメリア皇国の中では珍しく海に面している海星府(アンフィートリス)

面積は福岡県とほとんど同じであり、隣国である鍛治府(ヘパイースト)とは運河で挟まれている。

そしてこの国は龍や魔人とは違い人間が統治しているのも変わった特徴なのである。




「この国には聖女がいるのです。

海を癒したアンピトリティ様と同じ魂を持った方がいらっしゃるのです」


「と言いますと?」



どういう事だろうと疑問に思った忍だが、マリウスが指差す先には荒れる海を丘から見下ろし、困惑する人々に慈悲深く手を差し伸べる髪の長い女性のブロンズ像が町の中心に立てられており、ほぉっと声を漏らす。



「まるで灯台みたいだね」


「灯台?」


「大海原を進んでいた船が陸地に近づく時に、陸地の場所を示してくれるんだ

夜の見えない海から光が見えるから、見えると安心するんだって知り合いが言っててね

そんな存在みたいな人だね」


「なんか…かっこいい」




ニコルと瑠香が談笑し、つられてティナがふふっと笑い和やかな空気にウルムの目元が緩んだ。

柔らかい雰囲気を纏う瑠香達は、アリシア率いる近衛騎士団に連れられ海星府(アンフィートリス)の中心街にあたるカロリ街へとやってきた。

町の人々は瑠香達を王陵府(ヘラクシス)龍生府(ラードーシア)での戦闘で名を馳せた戦士のパーティとして見ているが、組合(ギルド)で低ランクの任務(ミッション)やクエストをそつなくこなす職人集団とも、見られていたらしい。




「街の人は皆さんが来ることを喜んでるんです

不思議な人たちだけど、かっこいい人たちが来るぞーって

様々なパーティがこの街を訪れますが、みんなどこか上から目線なところがあるんです

でも、皆さんはそんなのがないので」


「私たちの事をそんな風に」


「それに、私も皆さんにお会いしたかったのです

初めて、魔人様の前で騎士団(わたしたち)を壊滅させた戦法も

イシス様や王陵府(ヘラクシス)の白騎士団皆さんとかを

あんなふうに」


「「「「「あの時は本当にごめんなさい」」」」


「アリシア…みんなの目線が」


「あっ…!」






アリシアに先導されてついたのは、海星府(アンフィートリス)を統治する侯爵が住むアルビレオ城に入る。

海をモチーフにしたコバルトブルーの回廊を渡り、王宮に向かう。



「侯爵様が皆様にぜひ会いたいとおっしゃっていました

ここから先は失礼のないようにお願いします」




アリシアのどこか含みのある話し方に背筋が伸びていく。

そして王宮の中に今まで感じたことのない魔力を感じ取って警戒するティナをマリウスは見逃さず、ウルムも気がついたかのように身震いをした。

その先に何があるのか、考え込むティナだったが王宮に入って違和感を覚えた。

対イシス・レイラ戦の時のように何かがわかられているような感覚や魔力に似た何かを察知する。



(この…麗しい王女様が?)




怪訝そうな顔で見るティナを察したニコルが今はダメと声をかけようとするが、今は堪えてと小声でアリシアが話しかけたのを瑠香は聴き逃さなかった。

その声を踏まえて、警戒するように王座に座る男とその隣に座る若き女王を見つめた。



「遠路はるばる…よく来てくれました

私はジャクソン…ジャクソンヴェロナーと申します

この国の領主であり侯爵として魔人様の元、国を守っております

ほらクラリス…挨拶をしなさい」


「ごきげんよう…クラリスですわ」



「アリシアが粗相をしてしまったようだ

まさか道中で、皆様を捕縛するとは」




そう。

この海星府(アンフィートリス)に来る道中で、一度捕縛されたこの五人組。

なんとかマリウスの説得もあり助けられたのだ。

報告があったのだろう。

アリシアに対して憤りを感じていたのだ。

便乗するかのようにクラリスは鼻で笑い、どこか瑠香達を軽蔑するかのように見下す。



「私たちは魔人様の命の元、皇女様を」


「話は魔人様から聞いています

皇女様の我々も協力いたしますので

長旅で疲れているでしょう

どこか…海の見えるお宿を案内してあげなさい

アリシア」


「仰せのままに」





この時を持って忍は己の中にある警戒心のレベルがガツンと高くなっていく事に、ちらっと握り拳を見て気がつく。

なぜかヒリヒリする頭のようなものを感じ、手の力を緩めるとじんわりと血が滲んでいたのだ。

そして今回の敵が強大すぎるのではとも、感じ取っていた。


(この人達は、俺らを

特に瑠香と俺を歓迎していない

街の人間はそうではないが…

面倒ごとになりそうだ)



未だかつてない何かが渦巻きつつあるこの状況にマリウスとウルムは憤りを感じ始めた。

どうか具現化されないようにと祈りをこめて。

海を癒した聖女に由来した国である海星府(アンフィートリス)

海沿いに面した国だそうで、これは日本と同じです。

海を癒した聖女と同じ魂をもつ人間が今後現れます。


というか既に現れました。

次回は聖女の魂を持つ人間にフォーカスを当てて時間を起こします


よろしくお願いします

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