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お別れしたはずなのに、また出くわすってどういうこと?

次の街へ俺は旅に出るぅって話なんですがね。

話だったんですがねぇ。





「ふんふんふーん」


「のどかだねぇ」


「平和だねぇ」


「「「ねー」」」



(((肩身がせっまい!)))




女性達の女性達しか、わからない共感性に似た何かに忍やウルム。

直近でチーム入りしたマリウスはなぜだか肩身の狭い思いを募らせる。

そんな6人は、王凌府(ヘラクシス)から海星府(アンフィートリス)までの約60キロの旅路を行く。

のんびり歩いていけば3日ほどかかる計算。

瑠香の頭の中にある、頼りにならない計算方式によればだ。

この街道は海星府(アンフィートリス)だけではなく全ての国に通じる分岐が今より約15キロほど先にある。

そこは小さな街となっており、王凌府(ヘラクシス)領内に当たるがだいぶ離れた場所になる。



「まずはその街とやらまで行って物資を調達

そこから海星府(アンフィートリス)までいけばいいね」


「そろそろ薪を買っておく必要なるなぁ

俺っちは目利きがいいから、買い付けしておくっちぃ」


「ウルムさん、さすがですね」


「まあな!」




王凌府(ヘラクシス)を出る前に組合協会長(ギルドマスター)であるゴルドゥの警告がマリウスを除いた5人の頭の中に叩き込められていた。

海星府(アンフィートリス)以遠の道を行けば必ずと言っていいほど[キリ]なる存在と会敵する。

自然現象として発生する霧とは違う。

[キリ]はアルメリアの古くからの言い伝えで、目が退化した人間か魔物達の成れの果てが移動しながら生きているのだと。



『もし道中でキリに出会したら、その場を離れるか

逃げきれなさそうなら、魔性テントに篭ってキリが過ぎ去るまでテントの火を守り続けろ

火が消えた瞬間、あいつらは襲ってくる』





それを聞いたが故に5人は震え上がり、あらかじめ大量に買っていたが長期戦を持ち込むと踏んで次の街で新たに薪を購入しようとしていたのだ。

それにせっかくのキャンプ旅ということもあり、瑠香と以外なことにアウトドアが好きなティナが張り切っているのだ。



「ねぇ…みんな

後ろからすごい音がするの

馬が全速力で走ってくる蹄の音が、だんだん近くなってきてる」



「敵襲!!!!」




ニコルの耳がとらえた大地を駆け抜ける馬の蹄の音を捉え、すかさず忍は来た道の方向に対していつでも抜刀できるように構え、殺気を立てる。

まじかよと言いたげにウルムは鉄フライパンを取り出し、素振りをはじめる。

呆れながらも杖を取り出してティナも攻撃魔法を打ち出せるように魔力を高めていく。




「あー…後ろからもなんか来てるね

そんな感じがするよ」


「一体どんな敵が来るのでしょう?

その青い雷は…昔に私達を撃ち抜いた?

まさか使い手が瑠香さんだったのですか!?」


「これ…私の特異体質なんです

びっくりさせてごめんなさい、マリウスさん」



89式にカスタムして取り付けたスコープを覗き、瑠香の感じた敵の到来方向に銃を指向つつ、青い雷を帯電し始める。

驚きながらも、マリウスが剣を抜き応戦する構えを見せていた。

だが、たった1人だけその音の正体に気がつきしょっぱい顔をして肩をがくり落とす。





「この馬さんの主は、メラク王だと思う

その後ろからミザールさんとセレーネさんが来てるわ」



「「「「「え?」」」」」



ガクッと項垂れるニコルの発言を聞いて、全員が素っ頓狂な顔をしてニコルを見つめる。

その正体がわかり、もう一度来た道の方向。

到来方向をみて全員が項垂れた。

本当に全速力で馬を走らせ向かってくるメラク王。

その後ろをミザール黒騎士団長にセレーネ戦闘魔法団長が追いかけてきていた。

さらには、メラク王専用の馬車がなんとか追いつこうと必死になっていた。





「追いついたァァァァァ!!!」


「「待ってくださいメラク王ぉぉおお!!」




ミザールやセレーネの忠告を聞かずメラク王は忍の方にめがけて飛び込んできた。

咄嗟の事すぎてついていけず、忍はメラク王と共に3メートルほど吹き飛び派手に転がっていく。

それはまるでスローモーションのように。

わぁぁぁと変な声をあげて、瑠香やウルムは宙に舞う2人を見つめていた。






「あーれーぇ?」



「なんで勝手にでていっちゃうよぉ〜!!!

僕寂しいじゃんかぁぁあ!!

一緒に朝ごはん食べようって約束してたのに!

みんながいなくなるって聞いてはいたけどこんなに朝早くにでていくことないでしょうが!!

いがないでょぉぉお!!」





あまりの気迫に全員が呆気に取られ、ミザールが無理やりメラク王を、引き剥がしそのままセレーネに説教を受けていた。

いきなりすぎることもそうだが、政策をほったらかして城を抜けたこと。

そして何より、忍を押し倒して困惑させてしまったことが原因になった。






「だってみんなが、ぎゅうにいなぐなるがら!

寂しぐで…寂しぐで…もっとお茶とかしたがったぁぁあ!!」


「涙と鼻水…ちょっとぉぉぉぉおぉぉお!!」






その場にいる全員が心を閉ざし、悟りを開く。

助けてと叫ぶ忍を放置して、武器を片付け荷物を背負い歩き始める。



裏切るのかー!!




なんて忍の叫び声が聞こえて来ていたが、微笑みを浮かべて歩き出し何も考えぬように耳を塞ぐ。

心の中で合唱をしている5人に、発狂した忍が後を追いかけようともがくがメラク王のラブコールからは振り切れずにいた。

なんとかミザールが引き剥がしたが、メラク王の五歳児とほぼ同等のギャン泣き攻撃にセレーネの怒りが爆発して、宥めようと必死になる。



「なんでこうなった?」


「ごめんなさい…あとは俺たちでやっておきますので」


「ミザールさんも、セレーネさんも苦労人ですね」


「「忍さんもですよ」」




「他のみんな行っちゃったぁぁぁぁあ!

帰って来てェェェェェ!!

寂しいじゃんかぁぁ…うぇっ…げっぼ!」




昼下がりののどかな街道が、国王の咽び泣く声と咳が響き渡る。

空を飛んでいたレイラやココがその光景を目撃し、置いて行った瑠香達に戻ったほうがいいよと声をかけるまでの約1時間に忍は疲弊しきってしまい、娘達と勝手に認識されていた瑠香達に説教したのはいうまでもなかった。




メラク王、メンタルがへらになりました。

寂しがりやの王様だったようです。

お別れしたはずなのに、寂しくなって連れ戻そうとしたところをミザールやセレーネに連れ戻されてしまうのです。

忍を置いて行ったのは、生贄ですね、

知らんけど。


忍「あのね、みんなさぁ」


「「「「「っす!」」」」」


こんな感じで旅が続きます。

よろしくお願いします

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