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別れはまた会うための魔法

王凌府(ヘラクシス)から海星府(アンフィートリス)へ向かう出発の朝になります。




「朝早すぎやん」


「言い出しっぺは瑠香(ニャンコ)だよ?

と言うか青なじみ作ってどうしたの?」


「…ベットから落ちました」


「だって瑠香、そそっかしいもん

ベットの上からいきなり落ちたのびっくりした」


「ティナが気がついて浮遊魔法かける前に、落ちちゃったからどうにもできなかったんだよ?」


「ニコル特製の痛み止めがなかったら、たんこぶだけじゃ済まなかったんだけど」


「……面目ありません」



(俺っちが今まで、お世話してた連中(パーティ)と比べて

やっぱりいろいろおかしいっちぃ)


(ウルムさんや、お父さんも同じこと思った)


(忍…俺っちの頭に直接語りかけてきた!)





体感にして朝の5時前。

早朝覚醒限界突破パーティことチーム異邦人は、街が目を覚ます前に行動を開始していた。

宿主のスミフと協会組合長(ギルドマスター)のゴルドゥに別れを告げて次の街と言うよりも、アルメリア皇国の中で海に面している海星府(アンフィートリス)に出発する。



「この皇国の構成国って北斗七星みたいになってるのね

今気がついたのね!

コレカラハ油ギトギトノカリーヲ作ッテイクカラネ!」


「話の論点おかしな方向になってるよ?

それになんでカタコトになってるの?

忍…瑠香がおかしなことになっちゃった」


「ティナ…ごめん

チューニングしてないから後でやっておく」





皆が何でチューニングっと言いたい顔を浮かべて、先行きの不安を覚え始める。

ざわつく胸の内を漏らすか惑うが、苦笑いを浮かべて宿から出発するしかなかった。

おかしな方向に進む瑠香を、何度も静止し歩かせを繰り返して眠りから醒めない街を目に焼き付けて去る。

この旅が始まる前に決めていたのだ。




「私達自身、特異事象だからね

あんまりアルメリアの人たちを驚かせちゃ行けないんだよね…

早めに出てしまうのは、あまり留まると良くないことが起きるかもだし」



そうだよねなどと口々に言い合うが、瑠香の言葉は途中でクソデカため息へと変わる。

アルメリア皇国に対する配慮のつもりで早朝出発をしていた。

王凌府(ヘラクシス)でもそれは変わらない。

だが懸念事項というよりも、どうしてこうなったのだという疑問が発生していた。

一つ目、闘技場で出会った少年がシューマが鼻息荒く関所の前で母親らしい女性と立っていた。

そして二つ目、これが一番の引っかかりになってしまった。



「なんで

なんめ…何でルベルトさんが…ここに?」


「そんなに嫌そうな顔をしないでください

ニコルさん

皆さんが次に行く海星府(アンフィートリス)に用事があるんです

その道中、ご一緒させてください

それと、マリウスと呼んでください」



(((((…すっごい爽やか笑顔が怖い)))))




白い甲冑を着込み、背中には旅用の道具を担いでルベルト白騎士団副団長改めてマリウスが笑顔で立っている。

整った顔立ちにすらっと伸びた背丈。

いかにも町中の女性たちが振り返って、黄色い歓声を上げること間違いなしを体現した姿に5人は引いてしまっていた。




「それと、何でこんな朝早くにシューマ君はいるの?」


「お姉ちゃん達が出発するって聞いたからぁぁぁぁぁぁ!!!」


「クソデカボイスやめろぉぉお!!」



シューマのクソデカボイスとティナの引き攣った顔が、朝の王凌府(ヘラクシス)にこだまする。

自分たちの存在が、アルメリアにいい影響か悪い影響か。

どちらに転んでも被害が少ないようにしようとしたが、行手を阻まれてしまいどうしようもなくなってしまっていた。

だがそんな状態が滑稽でいつの間にか笑い合っていた。




「…あのね!

あのね!

この前買ったイロアーズカード、お姉ちゃん達みたいな人たちが描かれてたの…

そしたら」




シューマが持っていたイロアーズカードの縁は金色に輝き、戦闘力や防御力に魔法スキルなどの面で全てが上位ランクに入り、アタッカーポイントはイロアーズカードの上限ポイントに当たる9999ポイントとカウントストップしていた。




「僕、お姉さん達にみたいに強くなりたい!

強くなってみんなを守れる騎士になりたいの!

…なれる?」


「こぉら!

やめなさい…お兄さんとお姉さん達困ってるじゃないの!



「だって…」






あどけないが、どこか見据えた目線がマリウス以外の5人に突き刺さる。

旅の目的はあくまで皇女の捜索だが行動を起こしたことにより知らずのうちに5歳の男児の心を動かしたのだ。

5歳児特有のヒーローに憧れるそれだが、小さなきっかけになっていたことに笑い合う。





「「「「「なれるよ!」」」」」





パァっと目が輝くのを見てマリウスは遠い昔を思い出す。

かつて子供の頃に夢見た騎士達。

強くなりたいと願って白騎士団や黒騎士団の入団試験を受けたこと。

何より兄と思いながら慕っていた存在の背中を追いかけた日々をシューマに重ねてどこか涙腺が緩んでしまった。




「涙腺が緩んでますよ?」


「すこし…昔を思い出しました

大昔の自分がなぜ騎士に憧れたのか

忍さん…お恥ずかしい所をすいません」


「いいのではないですか?

そんな気づき…俺は羨ましいです」




関所を抜けて旅路を進む。

また会おうねーと叫ぶシューマに、遠くから手を振る関所番の衛兵達が手を振って頑張れと大声に振り返って手を振って答える。

関所が小さくなり見えなくなってどこか寂しさを覚えつつ次に向かう海星府(アンフィートリス)へ向かう。




朝早くから出発します。

瑠香達なりの気の使い方なのでしょう。

そんなことを知らずにマリウスとシューマが関所の前で構えてました。

今回からマリウスが仲間入りします。

仲間入りした理由はまた次に


次回も楽しみに

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