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事後処理って大変だよねー

お昼間に更新します。

戦闘後、忍がダウンしてからのお話です。






忍はひたすらに真っ暗などこかを歩いていた。

ジメジメとしているような、うだるようだ暑さとは似ているが何かが違う。

体の外も中も全てが煮えるような感覚に襲われていた。




(これは…そうか

俺はずっと繰り返すのか

夢だとわかっているが、許してはくれないか)





耳をつんざく破裂音に、体を切り裂く爆風。

何度目を擦っても目の前にある光景をただひたすらに眺め続けているだけしかなかった。

悪夢のはずだが心地の良い感覚すら覚える。

自分がしてきた辿ってきた道の果てを永遠と繰り返す。

そう。

己の体が地面に横たわり、原型すら留めない姿。

四肢は吹き飛び飛び出た眼球と顔面の半分が自分を見ていた。



(俺は最期を繰り返す)




「ぶ…か…ざ…

起きて忍、早ぐ起きろぉ?!」


「ふぇ…瑠香…

俺、寝てた?」


「「「「凄くうるさいいびきかいて寝てたよ」」」」


「「「「「…あーー」」」」」




気がついたのは木張りの部屋。

どうやら瑠香が、闘技場から宿までの道を体重73キロもある忍を背負って歩いて帰ってきたのだと言う。

片道6キロほどの道を、あらかじめ持って来ていた武器も全て担いでいたのだ。

組合長(ギルドマスター)であるゴルドゥは腰を抜かし宿主であるスミフも白目を剥いたのだとか。




「街の人たちみんなびっくりしてた!

あの男の子はすごい重力を背負って、闘技場から街まで来たんだって言って」


「1番びっくりしてたのニコルじゃん」


「ティナもびっくりしてたでしょ!」


「2人とも顔がひきつってたぞ?」


「ウルム兄さんもそんな事!

もういやぁぁ!」



馬鹿笑いする子供達を愛おしそうに見る忍。

真に平和とはこの事かと言いそうになるが、あえて口を閉じてふふっと笑うだけに留めた。

それ以上いえばきっと心配すると思ったのだ。



「世話をかけたな

すまない」


「「「「後で全員にシンディスイーツの、ショーケースにあるケーキを全段買ったら許す」」」」


「…俺の財布、吹っ飛ぶ!!

イテテテ、古傷が痛むなぁ」




起きあがろうとするが身体中に痛みを覚え、そのままベットに寝転がる。

今回受けた傷ではなく古傷が開き、包帯からじわりと血が滲む。

どこか目線を外すウルムに気がつくが何も言わない。

正確にいえば何もいえないのだ。





「よくあんな作戦思いついたよなぁ

あんな剣戟の中で…あんなに忍を大量発生させて…

白騎士団の連中、泣いて抗議して来たし

オスカー団長なんて、ヘソ曲げて部屋から出てこねぇってさ」



「…やりすぎたっすね」



何度も首を振る5人。

今回の作戦における損害と反省を踏まえてミーティングを始める。

横たわる忍のことを笑いながら、思い思いのことを話し始める。

一番の目標である白騎士団のオスカー団長失神計画はうまくいったと思いながら、マリウス・ルベルトから得た白騎士団の本来の任務を深掘りしていく。






「やっぱり、ルーシーの事を探していたんだ

赤い大地の呪い…あそこは行きたくないなぁ」


「赤い大地

もしかして最近アルメリアで流行ってる変な病気って?」


「おかしな事じゃないなぁ」





赤い大地が何であるのか。

ルーシー・アストライオスが解こうとする呪いの正体。

アルメリアで蔓延しつつある奇妙な病とどう関わりがあるのかなど、日本人2人に知ることではない。

だがふと瑠香の、脳裏にはメラク王のある言葉が思い浮かんでいた。




『ところでメラク王

なぜ臣民でもない、異邦人をこの国…

ひいては皇国中に蔓延しているアレの調査をさせようとするのですか?

我々白騎士団だけでは、到底解決に向かわないと!』


『違うよ

皇国を蝕みつつある謎は、皇女様が行方不明になったと同時に拡大を見せた

異邦人である彼女らが救いならば…あるいは』




ここで一つの仮説が瑠香の頭の中で導かれた。

ルーシー・アストライオスはもともと赤い大地の謎。

アルメリアで蔓延しつつある奇病との関連を調べつつ、仮に呪いと呼ばれるものであるならば呪いを解く任務を与えられていた。

なんらかの理由によってルーシー・アストライオスは行方不明になる。

その時にすれ違ったのが、瑠香と忍である。

すれ違った先はどうなったかわからない。

仮に呪いの影響で安否が不明になったか、魔神から説明を受けて聞いた敵対勢力に誘拐されたか。



「ルーシーさんは、魔神様の願いを受諾して行方不明になった

解決しようとしていたのが赤い大地と奇病

調査中に会敵したか、行方不明になった

理由は?」



「赤い大地…そのものが禁忌だからじゃないか?

とすると、敵対勢力も赤い大地の何かを奪取するつもりなのか?

瑠香(ニャンコ)が考える理由は、ルーシーさんそのものが敵にとっても好都合な存在だからか」



「話は聞かせてもらったぞ

あの場所に行くって言うなら、それ相応の覚悟がいる

赤い大地…アルメリア人だけじゃないが、嫌がるんだよあそこはな」





不毛の地であり、終焉の大地だ


忍は戦闘しながらルベルト白騎士副団長と情報交換をしていたみたいです。

喧嘩ふっかけられて、情報交換し合う謎が発生しました。

ウルムもびっくりでしょう。



そしてあらすじに書いている忍の意味深なポイントは最初に書いてあります。

もう一つの意味深ポイントも出て来ました。

ルーシーがいなくなった理由の根幹に当たります。

赤い大地が何をしますのかは、今後のお楽しみです。

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