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再教育

ハッピークリスマス!

という事で、イシス戦最終回です。





レンジャァァァァァ!!!




そう叫び声が響き、レイラやVIP席にいたワイズは途端に背筋を正して直立不動になってしまった。

2人の気迫や怒りにおされたというわけではない。

あまりにも味わえない鬼のような扱きに戦々恐々としてしまい、一種の軍隊気分を味わってしまっている。

それは闘技場の観客席いたティナ達もそうだ。



「忍も瑠香もあんなんだっけ?」


「そういうモードだと俺っちは信じる」


「おしっこちびりそうなんだけど」


「「我慢してね…ニコル」」


「でも、なんだろう?

瑠香の心の音が怒りの中に悲しさが混じってるように聞こえてくるの」




やるせない様な感覚を覚えていたニコル。

もしかしてと言おうとした時に、ニコルは視界の端で動く何かを見つけた。

ティナが杖を持って闘技場の1番淵に陣取ったかと思えば指で大きな円を描きニコル達を呼ぶ。



「なぁまさかじゃないけどティナ…

俺っちわかっちゃったぞ!

何がしたいかわかっちゃったぞ!?」


「…やるじゃない」


「ふふふ…こんな所にいるより2人を助けに行こうよ

闘技場内に入ったら本当はダメだけど、2人を放っておけないし」




「「「戦闘(かり)の時間じゃあ!」」」






闘技場は瑠香のしばきによりボロボロになったイシスが、助けを乞おうとレイラに詰め寄っていたが引きずり戻され、攻撃を避けると同時にレイラに詰め寄って引きずられるを繰り返している。

汗と涙を垂れ流しながら無様に喚くイシスをよそに忍は楽しそうに胡座をかいて座りながらケラケラと笑う。

楽しそうに。

肩叩きがないからと刀の峰でトントンと軽く肩を叩きながら、プカプカと美味しそうにタバコを味わう。

楽しそうに。





「楽しそう、よかったねー」



「良くねぇわ!

いい加減、この馬鹿力女を止めろよ

傷だらけ兵隊!!」


「それは無理な話だよ?

あっ瑠香(ニャンコ)、今の正面蹴りは足を持ってかれやすいから気をつけるんだよ」


「レンジャァ!」


「あれ、ここでレンジャー訓練してたっけかな?

まあ坊主の考えが猛省されるならいいね!」


「笑ってねぇで助けろよぉ!」



「返事は全てレンジャーで統制されてるって言ったよな

返事ができねぇのか?

それだと戦闘隊が死ぬぞ、イシス!!」



「レンジャァァァァァァ!」



弱音をそろそろ吐くかと踏んでいた忍。

瑠香の右ストレート・左正面蹴りからの右足から繰り出される鋭利な回転蹴りからの左フックに止めの右アッパーを受けてイシスは闘技場に倒れ込が、瑠香の猛追は止まることを知らない。

イシスがよろめきながら立ち上がって、瑠香の腹部に重い右ストレートが入った。



「どうだよ?」


「うん…お父さんのストレートパンチの方が数億倍痛い」


「効いてねぇのかよ

俺の本気が効いてないなら…俺自身が本気になってならぁ!!!

真正解放(リミットオーバー) 龍神状態(ドラグーンノア)…ぎゃぁ!」



「「はぇ…え?

なんか攻撃されてない?」」



イシスの本気が頭をよぎり攻撃に備えて創作魔法(クリエイティア)でつくれるありったけの無反動砲(グスタフ)を構えていた。

照準を合わせて引き金を引こうとした時に、龍の顔目掛けて火球がぶつかってイシスは倒れ込んだ。

火球を繰り出した原因を探れば、瑠香と忍が構える10メートル後方に三つの影を見た。

その正体に瑠香は目を輝かせてガッツポーズを影に見せている。




「おいでなすって、あたし達は旅の剣客

ティナ・ウィナーと」


「ニコル・ヴォルフガングと」


「ウルムでやす」


「「「イシスドラグーンさんや

尋常に勝負でございやす!」」」




イシスの顔に杖を向け火球ではなく、大渦を巻く巨大な蛇のような水を魔法で呼び出すティナ。

詠唱魔術書をレザージャケットから取り出して、ありったけの魔力を込め風を起こすニコル。

その後ろでおちょくりの舞を披露するウルム。

これやばいかもと地面に電流を流し窪みを作った後、窪地に逃げ込む2人。

よろけながら立ち上がる龍となったイシスの眼前に広がるのは、己の体よりもはるかに大きな大蛇のような大濁流だ。



「全ての炎を飲み込む蛇となれ

地に潤いをもたらし恵みを咲かせよ

恵水爆行(ウォーターブロスフォール)




「風の神よ、フェンリルたる我に力を

全てを示す風となり、我が魔法と共に駆け抜けよ

詠唱魔法 風神賛歌(アネモイラック)!!」




「あ…あっ…!

我が身を…まも…あ!

ウギャァァァァァァ!!!」



激流と突風がイシスの体を襲う。

龍の体はアルメリア皇国で1番硬いと言われる魔力を帯びたミスリル鉱石よりも硬く、多くの戦士達が悪龍を討伐しようとも剣では相手にならないと言われている。

魔法が扱えるなら尚更だ。

だが目の前に現れた龍は、魔法士(ティナ)詠唱士(ニコル)の繰り出す攻撃に耐えきれず押し流されてしまう。




(俺…こんな所で…こんな所で!)




悔し紛れにせめて一矢報いんと、火球を繰り出そうとする。

しかし大濁流と突風が過ぎ去ったと思ったのが運の尽き。

地面に掘られた大穴から炎を吹いて、鉄の(つぶて)が目の前に迫っていた。

鼓膜を潰すほどの轟音と体を切り裂く鉄の破片によって、イシスは抵抗虚しく地面にひれ伏した。

イシスの周りから強風と水蒸気が湧き上がり、霧が晴れたと思えば、土埃に塗れた人の姿に戻ったイシスが泣きじゃくっていた。




「…こんな…所で…こんな…何も魔法も使えない奴らに」


「ちったぁ頭は冷えたのかい?

少しばかり自分の力で戦ってやろうって気概は沸いたか?

クソ坊主」



「悔しい…悔しい…くっ…うぅぅ」




攻撃が止まり、安全と判断した忍は無反動砲(グスタフ)を構えながらも壕から飛び出し、地面に突っ伏すイシスにめんどくせぇと言いそうになるのを抑えながら近づく。

どこか安心しているレイラに一礼して、まだ壕の中で立て篭もる瑠香に前進せよと合図を送りタバコをふかした。

大きめに掘ったであろう





「対象の沈黙を確認済み

現時刻をもって状況終了と判断する

あとの処理は頼むぞ瑠香」


「降参って言ってるならもういいんじゃない?

考え直してくれたらそれでいいかな?」




安堵の表情を浮かべて肩を組み合う5人。

そして互いの力強さを再認識し、5人の中で結束力が高まったのもまた事実。

イシスはふと考えた。

今もう一度攻撃を仕掛ければ形勢逆転できるのではないかと?

グッと手を伸ばし魔力を込めて炎を呼び起こす。

地面が赤く照らされていることに気がつかない5人。



(間抜けが…龍の力を思い知れ!)




そんな意味を込めて火球を弾き飛ばそうとした。

イシスの体が割れた地面と轟音と共に消えたのは。


まあ魔法も使えない、攻撃も反則的な2人に対してイシスは自身が負けたことに対して悔しいというよりもプライドズタボロになったのが許せなかったのでしょうね。


ずっとこんな所でって言ってましたから。



ティナとニコルがいい所持ってったと思われがちですが最終の決を下したのは忍です。

それでも抵抗できるのですからイシスというよりドラグーン族の強さは並大抵ではありません


次回も楽しみに

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