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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
序章 〜《一変》〜
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第9話 【人外】

 国立天ヶ原高等学校の昼休みは2時間もある。

 そんなに休み時間があって何をするんだと思うが、大体の生徒は自習室で勉強する。

 そんな大体の生徒にならい、僕も食堂から自習室へ向かう。

 日の当たらない少し薄暗い廊下を歩いていると誰かに肩を叩かれる。

 僕は無意識に後ろを振り返る。

 後ろを振り向いた途端思考が停止する。

 目に入ってくる情報が何かで阻害される。

 ようやく思考ができるようになると同時に腹部に重い痛みを感じる。

 僕の後ろには悪魔のようにニヤニヤしている伊岐と伊美がいた。

 僕は2人を睨みつける。

 だが、できてその程度。

 僕は手も足も口も動かせなかった。

 伊岐が手を振り上げた瞬間、僕の意識はプツンと途切れた。



 風を感じる。

 ここは外か...。

 目を開けて周りを見る。

 僕は校舎の壁を背に寄りかかっていた。

 右足の近くには財布が落ちている。

 嫌な予感がする...。

 そんな嫌な予感は見事的中。

 財布の中の現金はほぼ全て抜き取られていた。

 まあ、金なんていくらでもあるからどうだっていい。

 ただ誰かに暴力を振られたという事実は正直ショックだ。

 僕の頬に涙が垂れるのと同時にチャイムが聞こえてくる。

 今は何時だろう...。

 僕はまた、目を瞑る。



 「...く...!...ち君!」


 誰かの声が聞こえてくる。


 「常立君!」


 僕はハッとする。


 「先生!?」


 「常立君、大丈夫?」


 「あっ...まあ...大丈夫...です。」


 「本当に?」


 「あっ...やっぱ...ダメかも。」


 香角先生に詰め寄られて嘘をつこうにもつけなくなった。


 「誰にやられたんだ?」


 「僕が見た限りは伊岐と伊美の2人でした。でも今思い返すと後ろに他の2人もいたような...。」


 「そうか...。」


 「まあ...そんなに心配しないでください。現に僕はこのように生きてるので...それにどうせ......」


 「...でからじゃ遅い...」


 「はい?」


 「死んでからじゃ遅いんだよ!!!!」


 香角先生が珍しく声を荒げたので僕は黙ってしまった。


 「この件はしっかりと上に伝える。もし伝えても対応しなかった場合は...」


 普段見ない香角先生の真剣な顔に僕は気圧されてしまった。


 「皆殺しにしてまでもこの環境を変えてやる...。」


 僕は何も言えなかった。

 今まで香角先生は僕へのイジメをなんとか解消しようと努力してくれた。

 でも何も変わらないまま、学年末になって僕も香角先生も薄々気づいている。


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 香角先生は僕の怪我の状況を確認すると僕を保健室へ運ぼうとした。

 しかし僕が咄嗟に、


 「すみません...少し一人にさせてください...。」


 と言うと渋々去って行った。



 1時間くらい経っただろうか。

 僕はゆっくり立ち上がり、殴られたところをおさえながら校舎の中のトイレへ行く。

 鏡を見る。

 とても醜かった。

 顔は痣まみれで、かけていたメガネのレンズはヒビだらけだ。

 あまりの醜さに僕は吐いてしまう。

 吐瀉物をそのままにして僕はトイレを出る。

 トイレを出たあと、僕は階段を駆け上る。

 なぜこんなことをしているのかは分からない。

 でも、なぜかこうしないと気が落ち着かない。

 階段を上り切ると扉があった。

 扉には


 『関係者以外立ち入り禁止』


 と、もはや入ってくださいと言わんばかりの定型文が書いてあった。

 僕は、何故か鍵のかかっていない扉を開けて入る。

 扉に入った先は当たり前だが、屋上だった。

 僕は柵へ近づく。

 屋上の柵は僕でも簡単に越えられるほどの高さだった。

 僕はずっと...考え続けていた...。

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