第81話 【いこう】
再誕神暦0004年6月10日。
目を覚ます。
風の音と鳥の鳴き声...。
そして、わずかな光...。
僕は、立ち上がる。
下はコンクリートのようだ...。
そして、周囲を見渡す。
まず最初に入ってきた情報は、ここがある建物の屋上だということ。
建物はそれほど高くなさそうだ...。
そしてすぐに、僕は気づく。
ここが...どこかを。
僕はもう一度、一周見渡す。
そして、確信を得る。
ここは...かつての国立天ヶ原高等学校の校舎...。
そして僕は今、その屋上に立っている...。
僕は、あの瞬間を思い出す...。
投身自殺をした、あの瞬間を...。
僕は、近くにある腰程度の低さの柵に向かって歩き出す。
その間、様々な顔を思い浮かべる...。
いつも楽しませてくれる2人の先輩を...
努力で成り上がった2人の教師を...
僕をしっかりと支えてくれる2人の幼馴染を...
ある路地裏で出会った2人の子供を...
僕に対してイジメをしてきた2人の同級生を...
そして、僕が絶対に守らなければならない1人の少女を...。
皆、僕の記憶に深く残り続けている...。
まるで、それを忘れることを誰かが許さないように...。
僕は柵に触れると、上昇していく太陽を見る。
声は...聞こえない。
僕は...今、ひとりだ。
僕は呼吸を整え...呟く。
「いこう」
『この世界の廃神様 第一神実-クニノトコタチ〔再誕神暦0001年、常立一重は死亡する〕』 完結
『この世界の廃神様 第二神実』へ続く...




