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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第四章 〜《神代革命》〜
79/82

第78話 【万滅斬】

 2042年6月10日19:48。

 目の前にいる女性。

 白い装束を見に纏い、顔は「参」と書かれた布で隠されている...。

 僕...河谷灯也と先輩2人は、それを見てすぐに攻撃の行動へと移る。

 僕はフリゾンソードを、2人は魔法陣を、それぞれ準備。

 そして、相手が動き出す前に...とどめを刺しにいく‼︎


 「先輩‼︎疾風(ゲイル)を‼︎」


 「「了解!」」


 僕は先輩たちに指示を出し、目の前の女に向かって走る。

 半分くらいまで走ると、背後から風の気配を感じる。

 僕はそれと同時に自身の背後で疾風(ゲイル)を発動する。

 魔法陣による強力な魔術......それに、風属性に特化した僕の風属性魔術を合わせることで生まれる加速......


 「W疾風(ダブルゲイル)!!!」


 僕と女の距離が一気に短くなる。

 今にも、僕のフリゾンソードが彼女に触れそうだ...。

 しかし突然、彼女は消える。

 そして、どこからともなく声が聞こえてくる。

 女性の声だ...。


 「そういう、普通に囚われない戦い方......私は好きよ...。//人王-Toya//さん...。」


 「何⁉︎」


 次の瞬間、僕の背後に巨大なブロックが現れる。

 これは...空中に浮いていた...。

 あのブロックもあの女の魔術によるものだったのか...?

 そんなことを考えていると、巨大なブロックは僕の方へゆっくりと傾いていく。

 マズイ...潰される...‼︎

 僕は何も考えずに、フリゾンソード()をフリゾンスピア()に変形させる。

 そして、ある風属性魔術と共にブロックを突く!


 「乱気流槍(タービュランススピア)‼︎」


 僕が感覚で放った突き攻撃は見事、ブロックの破壊に成功した。

 僕が落ち着いてため息をつくと、背後からナイフを持つ手が伸びて僕の首に回される...。

 いつの間に...⁉︎

 この女...まさに神出鬼没だ...。


 「「灯也‼︎」」


 「やっぱり私、あなたの戦い方が好きだわ...。あなた......どこでそんな戦い方を知ったの?もしかして...//廃神-Hitoe//から?」


 間違いない......こいつは、僕と廃神様のゲーム内での姿を知っている...。

 こいつは...ただ者じゃない‼︎


 「そう易々と...」


 「...?」


 「そう、易々と...廃神様の名を出すなあああぁぁぁぁぁ‼︎」


 その時、僕は彼女を風属性魔術によって操る。

 命令は...「気絶しろ」...だ。

 しかし、彼女は気絶するどころか、ふらつきもしない...。


 「そんなあなたにも...可愛いところがあるのね...。でも少し、お仕置きが必要のようね...。」


 彼女はそう、余裕そうに言いながらナイフを持っていない方の手を高く掲げる。


 「私の名前はdi()......神産巣日神(カミムスビのかみ)よ。使用魔術は、空間を司る魔術...空操(コウロス)。また、どこかで会えたら...本気でやり合いましょ♪...じゃあ......さようなら」


 彼女はそこまで言うと、掲げた方の手の指をならす。

 それと同時に、僕らはある方向に向かって高速移動し始める。

 そして数秒後、僕らは何かに衝突する。



 ――――――――――



 2042年6月10日19:48。

 背後からの衝突音...。

 僕はすぐに後ろを振り向き、驚愕する。


 「嘘だろ......みんな...」


 そこには、あらゆる部位から出血し、白目を剥いた5人の人間の身体があった...。

 宇地原先輩...須田先輩...香角先生...活田先生......そして、灯也だ...。

 僕はすぐに5人に近づいてしゃがみ、蘇生を試みる......が、


 「なんだ...これは......。なんだよこれは...‼︎なんで蘇生できないんだよ‼︎」


 蘇生ができない...。

 蘇生の魔術を使おうとしても、体の中でつっかえる感じがして、止まってしまう...。


 「クソッ‼︎...蘇生(リ・バース)‼︎ 蘇生(リ・バース)... 蘇生(リ・バース)... 蘇生(リ・バース)... 蘇生(リ・バース)‼︎なんでできないんだよ‼︎」


 その時、後ろの方で何かが着地する音が聞こえる...。

 僕は後ろを振り向き、2人をその目に捉える...。

 統徒(トウト)の両隣...そこにいる2人の存在を...。

 どちらも白い装束を身に纏い、片方は「弐」と書かれた布で、もう片方は「参」と書かれた布で、それぞれ顔を覆い隠している...。

 服装だけ見れば、あの赤い装束の男...クニノトコタチとほぼ同じだ...。

 ...ただ、雰囲気がまるで違う...。

 2人からは、布越しでもわかる、僕を見下すような視線を感じる...。

 まるで、獲物を眺める狼のような目...。

 僕に負けるという可能性はその思考に含まれていないようだ...。

 僕が2人を睨んでいると、「弐」の方が喋り出す。


 「私は、高御産巣日神(タカミムスビのかみ)モノ(mono)だ。」


 「タカミムスビ...お前も神なのか?」


 「ああ、そうだ。...でも神世七代(かみのよななよ)の君とは違い、僕は別天津神(ことあまつかみ)だ。」


 「そして、私も同じく別天津神。神産巣日神(カミムスビのかみ)(di)...よ。」


 今度は「参」の方がそう言う。

 声から考えると、「弐」の方は男、「参」の方は女だな...。

 モノ(mono)(di)......ということは、デカ(deca)オクタ(octa)の仲間か...。

 でも、目の前の2人から感じる強さは、今まで戦ってきた奴らとは比べ物にならないほどに......。


 「さて、あと1人足りていないが......まあ、問題ない。始めよう、常立一重...。さあ、神術を使うのだ‼︎」


 「...」


 僕は深く、考え込む...。

 神術を使う......しかないのか...?

 正直、これがよい選択とは思えない...。

 神術は、神以下の存在を殺せる術......これが本当なら、神であるモノ(mono)(di)を殺すことができるだろう。

 それはいい......ただ、問題は統徒だ。

 奴が、神以下の存在だという確証は得られていない...。

 ...ってか、神以下じゃないって...神を超越した存在......?本当にそんな存在があるのか...?

 まあ、そんなのどうだっていい......いつでも、最悪の可能性を考えておかなければならないのだ...。

 僕はゆっくりと立ち上がり、統徒を睨む。

 僕のフリゾンローブが風になびく...。


 「統徒...お前にひとつ、聞きたいことがある。」


 「なんだい?...常立一重。」


 「沖縄での白い光の柱......あれはお前がやったものか...?」


 僕は奴を睨み続けながら、そう強く問う。

 そして、奴は答える。


 「まあ、そんなところかな...。あれは、私がやったものだ......。できれば、あれで君を仕留められたら良かったんだけどね...。」


 「そうか............では、」


 「...?」


 「これでお前に対して神術を使う十分な理由が生まれたな...。町の民に...そして、我が仲間に危害を加えた罪...。その重さを、その身に、深く刻み込め!」


 ここで必ず奴を...統徒を、殺す。

 そうしなければ、あの東京の町が...仲間が...そしてなにより、豊野が......。

 だから、ここで、僕の神術の()()を.........


 「()()()()()!!!!!!!」


 僕はそう強く叫ぶと、大量の魔力を何の手も加えずに、放出する。

 すると、横浜中華街跡地を包み込んでいた結界が破裂する...。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 2042年6月10日22:24。

 結界が破裂する...。

 つまり...ここからは虚実融合(バーチャル)も、蘇生(リ・バース)も、使える...ということだ。

 僕が放出した魔力は結界を破壊すると、さらに広範囲に広がっていった...。


 「これが、クニノトコタチの神術......。生身の人間が扱って良いようなものでは到底...」


 「ええ...。もはやこれは、魔術の一歩先を行くもの...。魔力を持つ人間から見ても、これはチートレベルの術よ...。」


 僕の魔力を見て、モノ(mono)(di)はそれぞれそう呟く。


 「使えるものは有効に使わせてもらおう...。」


 僕はそう言いながら、虚実融合(バーチャル)虚面世界(きょめんせかい)...略して虚界(きょかい)から、ある一本の剣を引き出す。

 僕の大切な友人が、僕のために作ってくれた、最高の魔道具...。

 今こそ、これを使う時だ。

 名付けるなら...


 「疎魔(ソマ)術剣(ジュッケン)‼︎」


 僕は疎魔の術剣を右手に構えながら、左手ではフリゾンソードを作って握る。

 疎魔の術剣とフリゾンソードによる二刀流......それこそが僕の考えた、神術の()()

 僕は、右手に持つ疎魔の術剣を真上に向かって投げる。

 それと同時に、自身の身体を周囲の魔力に溶け込ませる...。

 僕は魔力に...魔力は僕に...成る。

 奴らから見れば、僕が消えたように見えるだろう...。

 次の瞬間、僕はさっき投げた疎魔の術剣の到達地点のすぐそばに現れる。

 僕は魔力化によって、一切動くことなく、そこまで移動した。

 僕は上に上がってきた疎魔の術剣を右手で持つ。

 左手のフリゾンソードを...右手の疎魔の術剣を...それぞれ、しっかりと握り直す。

 そして両手を高く掲げて、フリゾンボディスーツの質量操作を解き、重力に身を任せる。

 (ふた)つの剣によって繰り出される術、これこそが...


 『神術:万滅双斬(バンメッソウザン)


 僕はそう叫びながら、統徒の...豊野の身体の首をめがけて両手に持つ剣を振り下ろす。

 ...だが、その時響いたのは、剣が骨を巻き込んで肉を引き裂く音ではなく、高い金属音だった...。

 僕の目の前には、「肆」と書かれた白い仮面・真っ白なローブ・白い剣を装備した少年がいた。

 少年は、僕の神術を片手で握った一本の白い剣で防ぐ。

 そして、片手の力だけで僕を弾き飛ばす。


 「何──ッ⁉︎」


 僕は、後ろの建物に凄まじい勢いで衝突する。

 壁に少しだけめり込んだ僕はすぐに壁から離れて、地面に向けて落下する。

 信じられなかった...。

 最強だと...負けることなどないと...そう思っていた神術が簡単に防がれてしまった......ということが信じられなかった...。

 誰かが近づいてくる足音がする...。

 あの白いローブの少年か...?

 僕は両手にだけ回復魔術を使用し、手の力だけでなんとか、うつ伏せになった身体を持ち上げる。

 白いローブの少年は僕の目の前にたどり着くと、僕を見下ろしながら喋る...


 「久しぶりだな......一重。」


 ...と。

 僕はその声に聞き覚えがあった...。

 隠す気のないだるさを含み、何に対しても価値を見出していないようなその声に...。

 少年が、仮面をはずす......すると、彼の顔が(あら)わになる。


 「宇摩(ウマ)......阿比留(アビル)‼︎()()()...‼︎」


 「やあ、久しぶりだね...常立(トコダチ)一重(ヒトエ)。あの病院以来...かな?」


 僕は()()()の顔を睨む。

 でも、今はそうすることしかできない...。



 ――――――――――



 2042年6月10日22:24。


 「...⁉︎あれは...。」


 東京の城の中にいる俺...伊岐七斗がそう呟いた瞬間、部屋の中に何者かの魔力が流れ込んでくる。

 僕はすぐに、その何者かの居場所を魔力を辿ることで特定しようとする...が、


 「これは...なんだ?本当にこれは...魔力なのか??」


 そのとてつもなく膨大な量の魔力に思考が停止する。

 これは...もしかして、常立一重の神術か?

 だとするとマズイな...。

 この魔力は軽く、関東全域に広がっているだろう...。

 そんな量の魔力をフルで使用する神術...。


 「一体、どんなものなんだ...。」


 そう心の中で興味を持ちつつも、その場にいなくて良かったと安心もしていた...。

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