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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第四章 〜《神代革命》〜
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第69話 【結界ノ解析】

 2042年6月10日21:10。

 影が揺れる...。

 僕らの影が踊るように揺れる。

 僕らに対する玄武の影もまた、踊るように揺れている。

 僕らが伸ばした手の間には、一つの炎が灯っていた。

 静かに...でも、確かに強く燃えるその炎は...


 「「白い...炎」」


 僕らはその炎の維持に力を注ぐ。

 僕らが唯一、魔法陣なしで使える魔術...熱魔術。

 それに僕らが出せる限りの魔力を注ぐ。

 こうしてできる炎は、白く輝く。

 そして、通常の炎ではありえない火力を発揮する...。

 これこそ、僕らの...


 『双神術(フタガミワザ)真焔(シンエン)


 次の瞬間、白い炎は目の前の玄武に向かって飛び、一瞬でその巨体を包み込む。

 そして、玄武と白い炎はスッと消える。

 静寂...それだけがここに残る...。


 「ショボ...」


 え、ショボくね?

 いや、火力は十分だよ?

 あの巨大な玄武を一瞬で燃やし尽くしたんだから、そりゃ強いよ。

 でもね、演出がショボいんだ......うん。

 僕は隣で立ち尽くしている須田智三の顔を見ながら


 「なあ、智三...」


 と話しかける。

 ...が、彼女は一切反応しない。

 彼女の目を見ると、演劇をしている時並みに輝いていた。

 彼女は感動しているのだ。

 神術を使えたことに...玄武を倒せたことに...そして何より、自身が強くなったことに...。

 今は...そっとしておくか。

 文句は後からでも言える......でも、彼女の感動は今でなければ味わえない...。

 今、優先すべきは後者だろうな...。



 ――――――――――



 2042年6月10日21:45。

 僕ら...香角刻四と活田佳奈四は、空を舞う青龍を目で追う。


 「「()()()()()()()」」


 僕らはそう叫びながら、創った剣を(くう)で交える。

 すると、剣はバチへと変化してゆく。

 同時に、剣を中心として世界がモノクロになってゆく。

 ただ、2箇所だけモノクロにならない部分が存在した。

 和太鼓だ。


 「行くぞ佳奈四!」


 「言われなくても‼︎」


 僕らはそれぞれ和太鼓に向かって跳び、


 『『双神術(フタガミワザ)魔破(マハ)』』


 と叫びながらバチでそれを叩く。

 次の瞬間、青龍の体が雑巾のように(ねじ)れ、ついには弾けて血肉が辺りに飛び散る。

 道路...信号...建物...あらゆるものに血がこべりつく。

 僕はそんな道路に降下しながら、


 「余裕だな!」


 と言う。

 佳奈四も華麗に着地を決める。

 1日で2度も神術を使うことになるなんて思わなかったが、少し時間をあければ、ほぼ影響なく再使用可能か...。

 また、神術の可能性が広がった......そんな気がする。


 「見てたか、常立...!......あ、」


 僕が常立に自慢しようと振り向くと、そこには青龍の血を全身にかぶった人影があった。

 その手は解析を止め、その肩はプルプルと震えている。

 どうやら、彼の結界解析を邪魔してしまったみたいだ...。

 僕は素直に謝る。


 「ごめん...」


 「...はい。」


 彼はそれだけ言って、解析を再開する...。



 ――――――――――



 2042年6月10日22:00。


 「これはここにつながって...でも、それだと魔力同士が衝突してしまう...。それにこの形...どう読めばいいんだ...⁉︎」


 結界の解析をしている僕...常立一重はそう呟く。

 焦り...ただ、それだけが僕の中へ広がってゆく...。

 結界の解析に10分以上かかった......こんなことは初めてだ。

 白い光の柱がいつ動くかわからない今、この解析時間は好ましくない。

 一体、どうすれば...


 「なあ常立、結界を這う線がたまにボヤけるのはなんなんだ?」


 「ああ、それは魔力周回によるものですね。魔力が結界を流れるときに、魔力が少ない部分はボヤけるんですよ...。」


 僕は香角先生の質問にそう答えながら、結界の上の方を見る。

 そして、とあることに気づく。


 「あれは...繋がってないのか⁉︎......まさか──」


 僕は再び解析を始める。

 でも、今度のは今までとは違う......今度は魔力なしでの解析だ。

 魔力線...結界を這うようにしてできる線で、ここを魔力が流れることで結界が維持される。

 そして、結界の効果はこの魔力線のルートによって変わる。

 そのため、解析では魔力線に自分が1番見やすい自身の魔力を流して、その形を見ることで結界の効果を特定する。

 ただ、今回は解析の際に魔力を流したことが仇となった。

 僕がなぜ、解析で混乱したのか...その理由は至って簡単、結界が2枚重なっていたのだ。

 僕は重なった2枚の結界どちらにも等しく魔力を流した。

 その結果、2枚の結界の魔力線が重なって見えた...ということだ。

 つまり、今回の解析の最適解は...


 「魔力を流さないこと...か。」


 僕は結界をただ見つめながら、効果を特定しようとする。


 「常立、何かわかったのか⁉︎」


 「はい!でも、これは......見たことない術式ですね...。理論上は大丈夫だと思うんですけど...。」


 僕は香角先生とそう会話しながら考える。

 見たことない術式...予想はできるだろうが......。

 これ以上、時間をかけられるのか...?

 その時、活田先生が突然話しかけてくる。


 「常立君!」


 「はい?」


 「結界に魔力封印の効果はなかったんですよね?」


 「まあ、一応そうですけど...他に未知の効果が......」


 「私は魔力封印がないならば、結界に入るべきだと思います。」


 「......香角先生はどう思いますか?」


 僕は香角先生に聞いてみる。

 すると彼は、少しだけ悩んで


 「僕も...入った方がいいと思う。それで救われる命があるのなら、オレは...オレ自身を賭けてもいい...‼︎」


 とはっきり言う。


 「なるほど...確かに、結界に未知の効果があると言えども、それだけではあの白い光の柱を放っておく理由にはならない...ですね。では、行きましょう!結界の内部へ。」


 僕は結界と向き合って、それを見つめる。

 そして一歩、前に踏み出す。



 ――――――――――



 2042年6月10日21:35。


 「......しい、...かしい、おかしい、おかしい‼︎」


 そう叫ぶ。

 結界の解析開始から45分程度...僕は未だに解析を続けている。

 終わらない...わからない...理解できない...。

 何かがおかしい...ただ、それだけはわかる。

 おかしいことはなんとなくわかる...でも、それを詳しく説明することはできない...。


 「答えはあるはずだろ......なんでわからないんだぁぁ‼︎」


 僕は自身の髪をグシャグシャにしながら、そう叫ぶ。

 どうする...?

 五藤富地に場所を示すメールを送ってから約30分...。

 もしかしたら、廃神様がタイミングよく城に戻ってきて、今はもうこの中華街にいるとか...


 「いや、ないな......というより、ないと思った方がいいな。」


 僕はすぐにその可能性を捨てる。

 増援は基本、来ないものとして考えよう。

 ...とするならば、解析は諦めて結界内に侵入すべきか...?

 結界内で何が起こるか分からない...でも、あの白い光の柱がいつ動き出すのかも分からない...。

 どうする...?

 僕は......いや、彼ならどうするか...?

 彼なら...常立一重なら...。


 「入る。きっと...いや、絶対に入って行く‼︎」


 やることが決まった...。

 あとは、実行に移すだけだ。

 僕はゆっくり、深呼吸をしながら、結界の内部へと入って行く。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 2042年6月10日19:48。


 「これは...」


 結界に入った僕は思わず、そう声を漏らしてしまう。

 結界の中に広がっていたのは、無数の浮遊ブロックだ。

 まだ、僕の見たことがない魔術......本当に、この中では何が起こるかわからないな...。

 僕はそんなことを考えながら、無言で歩みを進めて行く...。



 ――――――――――



 2042年6月10日22:06。


 「お兄ちゃん!今、一重(ひとえ)(にい)ちゃんたちが圏外になったよ!たぶん、結界に入ったんじゃないのかな?」


 東京の城の最上階の部屋...そこでボクはそう言う。

 すると、お兄ちゃんは


 「そうか...じゃあ、次はこちらから指示を出せるように向こうの土地を理解しなければ...。」


 と冷静に返す。

 ボクはそれを聞いて思わずあくびをしてしまう...。

 お兄ちゃんはそれを見ると、


 「乃々華、一旦寝ても大丈夫だぞ。結界の破壊までまだかなりかかると思うから...。」


 と珍しく優しめに言ってくれる。


 「いいや、大丈夫。お兄ちゃんたちが頑張っている中、ボクだけサボるのはいやだからね...。」


 「そうか...でも乃々華、もし何かあったらすぐに...」


 お兄ちゃんがそこまで口にしたとき、何かが砕ける音と共に、突風がボクをすり抜けて行く。


 「何!?」


 ボクはそう言いながら、顔を上げる。

 窓が割れている...。

 そしてその前には、刀を持ち(はかま)を着た黒髪の男がいる。

 その刀はさっきの攻撃で、ある人物に振り下ろされた。


 「お兄ちゃん‼︎」


 ボクは弓掴(ゆみづか)でその攻撃を防いでいるお兄ちゃんを見つける。

 そして、攻撃している男に向かって一本の矢を放つ。

 男は、それを避けると部屋の隅へと飛び移る。

 そして、刀をこちらに向けながら


 「常立一重を出せ...」


 とだけ言う。

 だめだ、これ絶対出しちゃいけないやつだ。

 いや、もし仮に出したくても、出せないんだけどね。

 とりあえず、ここは断らなきゃ。


 「断る...。それよりあなた、名は?」


 「俺の名前は、伊岐(イキ)七斗(ナナト)...だ。いいから早く、常立一重の居場所を...。」


 謎の男...伊岐七斗は懲りずに一重兄ちゃんの居場所を聞いてくる。

 その時、お兄ちゃんが立ち上がって、ボクを庇うような姿勢で


 「断ると言っただろう。こちらが常立一重を渡す気は一切ない。もうこれ以上関わるな。」


 と言う。

 伊岐は、


 「もし、俺がここに残り続けたらどうする?」


 と聞いてくる。


 「力ずくにでも、追い出してやる。」


 「ほう...なら、やってみろ。」


 次の瞬間、伊岐の目の前に無数の矢が突然現れる。

 この矢はお兄ちゃんのものだ。

 それらの矢が伊岐にあたろうとした瞬間、矢が消える...いや、切られたのか⁉︎

 伊岐は、姿勢を変えずに立っている。

 刀も、動かした様子はない。


 「これは......乃々華‼︎」


 「はい!?」


 「使うぞ。」


 「ほ、本当に⁉︎」


 「ああ、これしか方法はない。こいつを殺す方法は──。」


 伊岐の顔を見ると、不敵に微笑んでいる。

 余裕の顔だ...。

 まるで、全てが見えているかのように...。


 「わかった......行くよ、お兄ちゃん‼︎一重兄ちゃんを奪おうとする奴を...」


 「行こう、乃々華‼︎この町の平和を乱そうとする奴を...」


 「「()()()()()()」」

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