第7話 【学】
静けさに包まれたまま終わったSHRの後、僕はS31教室に向かう。
僕のクラスの数学担当教師は香角先生だ。
定時の神と呼ばれたり、要約が全然できなかったりする彼でも、数学の才能だけは誰にも負けない。
この学校の生徒の入試における数学の得点率は彼にかかっていると言っても過言ではない。
それだけ彼は生徒からも学校からも期待されている。
教室に着くともうすでに香角先生が黒板に文字を書いていた。
香角先生の授業は進むのが早い。
1年の3月にはもう2年の内容をやるくらい早い。
それでも誰1人として授業についていけない人がいないのだから驚きだ。
「それじゃあ、授業始めるぞー。」
香角先生がそう言い、一限目の数学の授業が始まった。
いつも数学の授業は100分あるとは思えないくらい早く感じる。
「今日は、ここまでかな...。次は、言語文化だから文学棟のL23教室だな。それじゃ、解散!」
香角先生がそう言うと、クラスメイトはそれぞれ休憩時間に入った。
授業の合間の休憩時間は20分。
少し長いが、この時間で仮眠を取れるからありがたい。
僕はS31教室を出て、L23教室へ向かう。
この高校では教科書・ノートの代わりに、1人2枚のタブレットが全生徒に配られる。
どの授業でもタブレット2枚とタッチペン1本だけを持ち歩けばいいのでメチャクチャ便利だ。
また、生徒は全員SCを持っている。
それを使えば学校電子図書館からさまざまな本を借りることなどができる。
それくらいこの高校は電子化が進んでおり、データ整理のためのDTWも必要不可欠になってくるのだ。
僕はL23教室に着くと、机に突っ伏す。
昨日、伊岐たちの分の宿題をやってたのもあり、とても眠い。
少しして、女性の教師が入ってきて、
「それじゃあ、言語文化の授業を始めます。」
と言った。
女性の教師...活田 佳奈四は、僕らのクラスの言語文化と現代の国語の授業を担当している。
実は僕の所属する演劇部の副顧問でもある。
言語文化はもう1年の内容を終えて、1年でも解ける入試問題をひたすら解いてる。
正直自分は、こういう作業に近い授業の方がハマりやすい。
特に、100分授業だと...。
二限目の授業が終わると、次は昼食だ。
僕は食堂へ向かう。
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