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この世界の廃神様 第一神実  作者: ZAB
第三章 〜《失踪》〜
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第66話 【思考ガ止マル】

 崩壊してゆく結界と強く光る満月が目に映る。

 閉じかけていたオレの目は、その瞬間一気に見開かれる。

 絶望が希望へと転ずる...。


 「ようやく...か。ようやくオレらが...」


 オレ...香角刻四はそう呟きながら立ち上がる。

 分離したはずの下半身は自然と治っている。

 無意識のうちに回復魔術を使用したのか...。

 その時、背後からも立ち上がる音がする。

 彼女...活田佳奈四も回復魔術で全身の傷を癒していた。

 オレらは湖のそばで2人、並び立つ。

 気づけば、オレらはフリゾンボディスーツを見に(まと)っていた


 「やっと反撃の(とき)ね......刻四。」


 「ああ、そうだな...。行くぞ、佳奈四‼︎」


 オレらは湖に一歩、踏み出す。

 すると、湖の表面がオレらを中心としてじわじわと凍っていく。

 オレらは湖の中心まで歩みを進める。

 そして、湖の中心に着くとオレらは互いに向かい合い、それぞれ創った剣を空で交わらせる。

 満月の光はオレらの剣を神々しく輝かせる。

 その光に思わず目を(つむ)ってしまう。

 次に目を開けた時、オレらの剣はあるものへと変わっていた。

 木でできたそれらは...


 「「バチ!?」」


 オレらがそう驚くのと同時に、バチの交わっている部分を中心として景色が白黒になっていく。

 辺り一面が白黒になってゆくのをオレたちはただ、見守った。

 しかし、木よりかなり高い2つの場所で唯一、白黒になっていないものをオレたちは見つける。


 「「和太鼓...」」


 オレと佳奈四は同時にそう言い、互いに目を合わせる。

 今はなぜか、彼女の考えることが全てわかる。

 これは間接的にわかると言うわけではない......彼女の考えることが直接わかる...。

 彼女もきっと、同じはずだ。

 まさに、オレと彼女の意識が一体となっているのだ。

 オレが彼女となり、彼女がオレとなる...。

 双人(ふたり)が......一つに...。

 気づくと、佳奈四の瞳が緑色に光っている。

 オレらは互いから目を離し、空に浮かぶ2つの和太鼓を見つめる。


 「「いこう」」


 僕を...私を殺そうとしたあの龍も、僕の...私の努力を才能で捻り潰した奴らも、僕に...私に創造魔術を与えたこの世界も全部.........この最強の(ワザ)で...


 「「()()()()()()()」」


 僕らはそう叫ぶのと同時に、和太鼓に向かってそれぞれ跳んだ。

 そして、バチを片手で握って大きく振りかぶり、


 『『双神術(フタガミワザ)魔破(マハ)』』


 と叫びながら2人同時に太鼓を思いっきり打つ。

 すると、二つの和太鼓を中心に周囲の景色が歪み、あらゆるものが湖の上に集まっていく。

 木の葉も、溶けた湖の水も、そして空を飛び交っていた龍でさえも、そこに無理矢理集まっていく。

 それらは湖の上で一つに固まりながら、縮み続ける。

 龍の体も縮み続ける。

 僕らが湖のそばの地面に着地してもなお...。

 そして、集まったものがある大きさまで縮み切った瞬間...ボンッという爆発音と共に、龍の体が粉砕して血が吹き出す。

 その血は空高くまで昇ると、雨のように地面へ降り注ぐ。

 地面には血の水溜まりが出来上がる。

 僕らはそれぞれ体に付着した血を洗い流しながら、互いに目を合わせる。

 彼女の目はもう、緑色に光っていない。

 そういえば、彼女の考えることもわからなくなった...。

 でも、まあ...


 「勝てたし、いいよな?...佳奈四!」


 「そうね、勝てればいいのよ...ね。...刻四!」


 僕らは互いに見つめ合いながら、しばらく無言の時を過ごす。

 ふと血溜まりを見ると、美しい満月の光が反射して見えていた。



 ――――――――――



 森の奥から2人の人間が近づいてくる...。

 香角先生と活田先生だ...!

 香角先生は愛莉を、活田先生は恵理を、それぞれ抱きかかえている。

 愛莉と恵理はどちらも眠っている。

 4人とも無事だったのか...。

 僕が安心してため息をつくのと同時に、花が目を覚ます。

 彼女は愛莉と恵理を見ると、すぐに駆け寄っていく。

 そして、先生たちが降ろした2人に抱きつき、涙を浮かべる。


 「無事でよかった...」


 彼女はただそう呟き、しばらく止まっていた。

 しばらくして、彼女は立ち上がって僕の目の前まで歩いてくる。

 そして、


 「えっと...その......ありが...とう。あなたたちのおかげで、助かったわ...。」


 と彼女は恥ずかしそうに言う。

 僕はそんな彼女を笑顔で見つめながら、返答する。


 「魔人は花が倒したんだから...僕は何もしていないよ。」


 「でも、一重の魔力がなければ私は...」


 「花、君にこれを渡そう。」


 僕はそう言いながら、(ふところ)から3本の試験管を取り出し、彼女に渡す。


 「これ...何?」


 「これは僕の魔力だ。いいかい花、もし君がどうしても勝てない相手と対峙して()(すべ)がなくなった時、これを飲み込め。そうすれば、どんな状況でも勝つことができる。」


 「どんな状況でも...。」


 「ああ。ただ、無闇(むやみ)にこれに頼るような戦いはしないように。これはあくまで、君を守るためのものだ。」


 僕は優しく...でも、しっかりと伝える。

 彼女は静かに頷き、


 「わかった」


 とだけ言う。

 僕はそれを確認すると、


 「よし!じゃあ、次はどうしようか...」


 と言う。

 なんだか最近、これが口癖になってきたな...。

 まあ、それだけ平和ってことだろう。

 きっと、戦争の最中でこの言葉は出てこない。

 しばらく沈黙が続いた後、口を開いたのは活田先生だった。


 「そういえば、Myパネル見れるようになったんじゃない?」


 「確かに...確認すべきですね...。」


 僕がそう言うと、活田先生と香角先生と花の3人が一斉にMyパネルを展開する。

 しばらくすると、


 「僕と活田さんの方には特に何もきてないな...」


 「私も...っていうか、メールとか送ってくる人がいないけど...」


 と香角先生と花が言う。


 「やっぱりそんなもんか...。だったら、僕の方にも特には......ん?」


 その時、僕は「メール」の項目が赤く強調されているのに気づく。

 誰かからメールが来ている...。

 誰だろう......豊野か...灯也か...?

 それに、何のために?

 僕らが沖縄へ来てからまだ1日ちょいなのに...。

 僕はそっと、「メール」の項目をタップする。

 すると、2つの新着メールが1番上に表示される。

 思考が止まる。

 いろんな感覚が頭に入らなくなる。

 視界がぐわんぐわんとする。

 地に足がついている感じがしない。

 香角先生が僕の異変に気づいて何か声をかけてくる。

 でも僕は何も言わない...いや、言えない。

 しばらくしてから、僕はようやく口を開く。


 「僕の方には......灯也から2通、表題のみのメールが...来てました。」


 1通目は昨日...2042年6月9日23:19に、2通目は1時間前...2042年6月10日19:59に届いている。

 活田先生が、


 「...内容は?」


 と聞いてくる。

 僕は一度...いや、三度ほど深呼吸をしてからその内容を読み上げる。


 「1通目、昨日(さくじつ)...『豊野二千花、失踪』。そして2通目、1時間前...『関東にて白い光の柱、出現』」

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